2014年3月21日より全国公開/PG-12
クロックワークス
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2009年ニューイヤーズ・デイにアメリカで実際に起こった事件をもとに描かれた本作。新年を祝う人々で賑わう電車のなかで起きたいざこざが発端で鉄道警官に銃殺された22歳の黒人青年オスカー・グラントの最後の一日を追ったドラマです。ドキュメンタリーに近い描写で淡々と彼の日常を描いているだけのように見えて、85分という短い時間のなかにオスカー・グラントの人となりをここまで描いているのは見事です。 監督は1986年生まれ(製作スタート時25歳)の若き新鋭ライアン・クーグラー。この事件は現場での目撃者の多くが携帯電話で一部始終を撮影していて、その動画が公開され社会の関心をより一層引いたという経緯もあり、時代を反映した事件であると言えます。そのことともリンクさせてなのか、映画本編のなかでもオスカーと家族や知人との携帯電話のやりとりが画面に効果的に表示されたり、若い監督ならではのセンスも感じられます。そしてこの映画は人種問題だけをクローズアップしているのではなく、オスカーが誰の身近にもいる人物として描かれており、彼のいろいろな側面を描きつつ、彼と娘、家族との愛のストーリー、彼の成長物語として見せることで、この事件が投げかける問題の深さをより痛烈に感じさせています。 本作はアメリカで7館から1063館に公開が拡大され、サンダンス映画祭2013で作品賞と観客賞をW受賞したほか、数々の映画祭でも受賞しています。事実を描いているので悲しい結末だということは変えられませんが、切ないけれど心に刺さる作品ですのでぜひ観てください。 |
トラブルに巻き込まれ、22歳で亡くなってしまったオスカー・グラントに起きた事件をもとに映画化されたストーリーなので、結末は悲しいものではありますが、私たちの身近にいるような普通の青年が家族のために自分の人生を立て直そうとする姿や、彼の弱さ、不器用さ、優しさも描かれ、共感する点が多々ある作品です。男性の方がより感情移入しやすい内容なので、ぜひ誘ってみましょう。でも、観終わったあとは悲しくてやるせない気分と愛を感じる部分と両面があります。すぐにテンションの高いデートメニューに気持ちを切り替えられないかも知れないので、少し余韻を感じる余裕を持てるよう鑑賞後に食事するかお茶をするなど会話の時間を挟むと良いと思います。 |
キッズにも観て感じて欲しい部分はある作品ですが、キッズ向きとは言えません。でも高学年以上なら理解できると思うので、大人と一緒に観て、この映画で感じたこと、こういう事件がなぜ起きてしまうのかなど話し合うと良いでしょう。ティーンは自分たちに近い年代の青年のお話なので、より心に刺さる部分があると思います。実際の事件を映画化したものなので、国は違えど世の中にはこういうことが起きていることに感心を持ってもらえたら、それだけでも意味があると思います。 |
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2014.2.17 TEXT by Myson