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ブルージャスミン

2014年5月10日より全国公開
ロングライド
公式サイト　　　

イタくて笑えるけど切ないという絶妙なバランスで描かれたストーリーは、やっぱりウディ・アレン監督独特の世界観で見事でした。そして壊れていく人生を必死でとりなおそうとする女性を演じたケイト・ブランシェットは、アカデミー賞主演女優賞受賞も納得の演技。他人事として観れば笑えるけれど実際に自分にも起こりえると思うとゾッとして、“笑えるけど笑えない”感がとてもリアルでした。自分の人生がどこから壊れていたのか、自分が悪いのか、悪い人に騙されたのか、主人公ジャスミンの視点で観ていくうちに、女性がはまりがちな人生の落とし穴について考えさせられました。そして、セレブだからこその不幸と外見的な幸せが虚栄に満ちているという描写によって、そういう生活への憧れ自体も薄っぺらいように感じつつ、それでも世の多くの女性はこういう生活に憧れると思うと、皮肉だなと思いました。でも、イタイだけで終わらないのも良くて、私は前向きなラストだと解釈しました。あの結末から先こそがその人次第なんだと思うと、人生はやり直せると思えます。
あと、本作の見どころはケイト・ブランシェットのファッション。とてもセンスが良くてマネしたくなる着こなしです。女子のみどころ満載の映画ですので、ぜひ観てください。

女子に本作に没頭して観て欲しい作品なのでできれば１人か女子同士で観て欲しいと思います。意識してか無意識かは別として条件の良い男性を求めて得た末に堕落していく女子のイタイ姿、自分ではそれなりに頑張っていたつもりなのに中身が伴っていない様子が描かれています。今現在セレブとつきあっている人はなおさら自分を客観視するために1人でじっくり観て欲しいし、凡人と付き合っていることに内心お嘆きの方も自分の幸せとは何かを考えながら観て欲しいので、デートでないときに観る方が良いでしょう。

キッズにはまだピンと来ない内容だし、高校生以上のティーンは自分の恋愛観が固まる前に参考に観てみるのも良いでしょう。若いうちは特に見た目で恋愛相手を選ぶことが多いと思いますが、セレブに見える人のなかにもいろいろな人がいます。嘘で固められた生活で財力や地位を築く人もいるので、将来そういう人と出会って恋に落ちてしまったらどうするかをシミュレーションしながら観てみると感情移入しやすいと思います。

2014.4.9　TEXT by Myson