2014年5月24日より全国公開
ファントム・フィルム
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病気、借金、バラバラな家族など、全てにおいて生々しさを感じ、決して他人事とは思えない物語でした。いろいろと考えさせられる場面も多かったのですが、家族としての教訓がたくさん詰まっていて心にジーンと響く作品でした。キャストも豪華で妻夫木聡を始め、原田美枝子、長塚京三、池松壮亮の演技が本当に素晴らしく、それぞれが適役でした。家庭的なイメージがあまりない妻夫木聡ですが、ちょっと尻に敷かれた夫役がなかなかハマっていましたよ。あとは池松壮亮のバカ正直な弟役も良かったです。 物語は母親が急に病気になるところから始まりますが、何か家族に危機的な状況が突きつけられたときに、今まで無視してきた問題が芋づる式に出てくるのは、どんな家族でもあり得ることなのかも知れないなと思いました。特に大人になると親や兄弟のほかに、結婚して自分が作る家族と、2つの“家族”が存在し、本作では妻夫木聡が演じる長男が親と嫁の板挟みになっていてかなりかわいそうでした。女子としては相手が危機的な状況のときに追い討ちをかけるのではなく、支えてあげられる余裕を持った人になれたらと思いますが、現実にはそのときの自分の状況にも寄るのかも知れませんし、なかなかデリケートな問題だなと考えさせられました。 本作は母親の病気をきっかけに家族が再生していく物語ですが、一言では言い表せないような苦しさや痛み、勇気や希望が詰まっている作品です。私は後半で泣いたシーンがありましたが、きっと観るタイミングによって共感ポイントも変わる気がします。まずは今の感覚で本作を観て“家族”について考えてみてください。 |
どの世代のカップルが観ても何か心に残るものがある作品だと思います。ただ夫家族との関わり合い方や、夫が嫁と親との板挟みになる場面もあるので、結婚を控えたカップルだと、観ていて辛い場面もあるかも知れません。でも敢えて観て反面教師と捉えて、むしろ本作を機に自分たちの家族観について話し合うと相手の新たな一面が見えてくるかも知れません。家族の大変さやおもしろさの全てをひっくるめて参考にしながら観てみてください。 |
家族の良いところも悪いところも出てくる作品なのでキッズには中学生くらいになってから観ることをオススメします。ティーンも今は現実味を感じないかも知れませんが、親と子のやり取りや兄弟のやり取りは共感できるところもあると思うので、それぞれのキャラクターの立ち位置や状況を考えながら観ましょう。男の子の場合は「長男だから」とか「一家の大黒柱だから」といった言葉にちょっと身構えてしまうかも知れませんが、この家族の様子を観て男の覚悟や度胸というものを学んで欲しいと思います。 |
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2014.4.30 TEXT by Shamy