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今回の部活では、『舟を編む』の石井裕也が監督、脚本を手掛けた『ぼくたちの家族』を鑑賞。ごく普通の家族に母が倒れるという突然の悲劇が訪れ、目を背けていたさまざまな問題が一家に突きつけられます。どこの家族にも起こり得る問題や家族間のやり取りがたくさん観られる本作ですが、皆さんはどんな視点から観たのでしょうか?
※一部、ネタバレする箇所があります。
マイソン:まず感想をお願いします。
Aさん:観ている間はいろいろな思いが交錯して泣けてしまいましたが、人間を信じてみたくなるような映画でした。リアルな場面がたくさんあって、例えば長男(妻夫木聡)の奥さん(黒川芽以)が、最初はなんて嫌な嫁って思いましたけど、実際についその場の勢いで本音とは違うことを言ってしまうことってあるんですよね。あとは、お母さん(原田美枝子)がすごく魅力的な女性で、私は子どもたちにとってこういうお母さんになれているのかなって思いながら観ました。
Bさん:私は今まで池松壮亮の出演作をあまり観たことがなかったので、一度ちゃんと観てみたいと思って、この作品に興味を持ちました。実際に観たらすごく良くて、池松壮亮が評判が良いのも納得できました。物語を通して思ったのは、端から見たらすごく幸せそうな家族でも、大なり小なりいろいろな問題があるんだろうなって感じました。
シャミ:私は今回2回目の鑑賞でした。本当にどこかの家族の日常を切り取ったようなお話で、実際にあり得ることばかりだったので親近感が沸きました。あとは、お母さんが倒れて男兄弟とお父さんだけになったときのちょっと頼りない感じとかも生々しくて、もしこれが姉妹だったらまた違った展開だったと思います。でも男性があまり素直に話し合いをしない分、個々でいろいろ考えて行動していく姿は、女子としては新鮮に観られました。
Cさん:お調子者の弟に、口数が少ないけどなんとかしようと頑張るお兄ちゃん、そしてあたふたしちゃうお父さんとか、まさに男性って感じですよね。現実で本当にありそうなお話ですが、改めて家族って良いなって感じました。
Aさん:あとは家族問題だけじゃなくて、長男の過去や、借金とか、いろいろな社会問題がこの家族に凝縮されているなって思いました。医療問題に関しても、病院のたらい回しとかもそうですよね。だから単なる家族の再生物語っていうよりも、社会問題を上手く混ぜて訴えている映画だなって思いました。
マイソン:長男や長男の嫁だからとか、家族の立ち位置によって求められることって何かありますか?
Aさん:私は長女で長男の嫁です。旦那の両親はそこまでうるさくないのですが、私が長女なせいか常にきちんとしないといけない、しっかりしなきゃいけないっていう“〜ねばならない”がいつもあるんです。だから例えばお見舞いはいいわよって言われても、やっぱりちゃんと行かなきゃっていう“〜ねばならない”の気持ちになるんですよね。下の子はわりと自由にやっているのに対して、長男長女っていうのはそういう性格の人が多いように思います。だからこの映画の兄弟を観ていてわかるなって思うところが結構ありました。
マイソン:この映画では男兄弟ですけど、私自身も姉と2人姉妹なので、男女で違うとはいえ通じるところもあると思いました。ほかの皆さんは兄弟姉妹でどうですか?
Bさん:私も長女で女2人姉妹です。よく母親に姉妹で同じように育てたつもりだけど、性格が全然違うと言われることがありますが、この映画を観ていると、兄弟とか家族っていうのはそれぞれに役割があるんだなって思いました。
Cさん:私は長女ですがお兄ちゃんがいるので、この映画で言うと次男(池松壮亮)の感覚です。みんなで深刻にしていたら悩むだけなので、ちゃんとどうするのか考えようと言うタイプですね。しかもこの兄弟の場合、お兄ちゃんが病院を調べて、弟が実際に動いていましたよね。私自身、考えるより動く派なので、きっと病院探しとかしちゃうと思います。
シャミ:私は5人姉弟の長女ですが、何かが起こったときでも人数がいる分、この兄弟ほどいろいろなことが重くのしかかってくることはないと思います。でも、もし自分が長男だったら違ったでしょうね。この兄弟の場合、次男が敢えて空気を読まないで、常に核心を突いた発言をしていましたが、やっぱりそういう人が家族のなかに一人は必要なんだと思います。
Bさん:この映画を観ていると、女同士だったらこうするのにとか、逆に一人っ子だったらどうするんだろうとか、いろいろなパターンを考えてしまいますよね。
マイソン:そうですね。家族だからこそオブラートに包んで敢えて言わないことがあったり、逆に家族だからこそこういうときは団結するっていうのがリアルでしたよね。では、もしあの家族のようなことが身の回りに起きたらどうしますか?
Cさん:問題にもよりますね。借金だったら仕事さえしていればなんとか返せると思いますが、病気だといろいろなことを受け止めないといけないし、何とかできることとできないことがありますよね。
シャミ:もしこの家族と同じようなことが起こったとしたら、私はまず1つ下の妹に相談します。そこで話し合った上で、みんなでどうするのかさらに話し合います。ただやっぱり男性ではないので、この映画の長男がしたようなことまではできないと思います。
マイソン:女性の場合だと姉妹や母親と普段から情報共有をしているから、そこまで大きな秘密は出てこないと思うのですが、この話みたいに残ったのが男兄弟とお父さんだと、急にいろいろな問題にぶつかってしまうのかも知れませんね。
マイソン:この作品をどんな人にオススメしたいですか?
Cさん:一人で観ても良いと思いますし、この兄弟と同じ世代(20代〜30代)の人には特に観て欲しいです。家族と離れて暮らしているとしたら、次にお母さんに会ったときは優しくしようとか、何かしら家族に対する考え方や接し方が変わると思います。
シャミ:みんなに観て欲しいのですが、特に男性にはこの家族みたいなことがあり得るという意味で観て欲しいです。この家族と同じ状況じゃなくても、どこか心に引っかかるところがあると思いますし、些細なことで良いので自分の家族を見つめ直してもらえたらと思います。
Aさん:男兄弟2人とお父さんで観てもらうのもおもしろそうですね。でも現実とかなり近い内容なので、誰でも観られると思います。こういう問題が何かしらの形で自分にも起こるかも知れないって考えながら観て欲しいです。それから私自身は母親目線で観て、自分がもし突然こういう状態になったときに、このお母さんみたいにいつも笑顔でいられるのかなって思ったので、同じお母さん世代にも観て欲しいと思いました。
マイソン:本当ですよね。お母さんのことが好きじゃないと、息子たちもあそこまで頑張れませんよね。Bさんはどうですか?
Bさん:カップルで観たらどこが気になったかでお互いに話し合うことがききそうですよね。それにお互いの家族の話もしやすくなって、より距離が近づくきっかけにもなると思います。
今回の参加者は、偶然にも全員兄弟姉妹がいる方だったので、それぞれの家族や兄弟の話をたくさん聞くことができました。また宣伝担当の男性にもご自身の兄弟関係についてお話頂き、男女の家族問題との向き合い方について熱く語り合いました!
本作は、家族の良いところ悪いところの両方が詰め込まれた物語で、その生々しさは決して他人事とは思えません。ですが最後には家族って良いなと思える心温まる作品です。また、本作の石井裕也監督、妻夫木聡、池松壮亮が『バンクーバーの朝日』(2014年12月20日全国公開)で再タッグを組んでいます。ぜひその前に本作をご覧ください。
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『ぼくたちの家族』
2014年11月21日ブルーレイ&DVDリリース
(レンタル同時)
監督・脚本:石井裕也
原作:早見和真「ぼくたちの家族」(幻冬舎文庫)
出演:妻夫木聡/原田美枝子/池松壮亮/長塚京三/黒川芽以/ユースケ・サンタマリア/鶴見辰吾/板谷由夏/市川実日子
TCエンタテインメント
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ある日、母に脳腫瘍が見つかり、末期症状で余命はあと1週間と宣告された若菜一家の男達。やがて、借金、嫁との確執、兄弟の関係…と、このごく普通の幸せな家族に潜んでいた問題も浮き彫りになっていく。だが、母の命が残り少ないという現実を突きつけられた彼らは、最後の悪あがきを決意し…。
© 2013「ぼくたちの家族」製作委員会
2014.10.18 event