2014年12月13日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
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本シリーズの最終章であり、『ロード・オブ・ザ・リング』へ繋がる章でもありますが、ホビット族がいかにしてピュアで忍耐強いか、そしてなぜ『ロード・オブ・ザ・リング』の旅でまたホビット族が選ばれたのか、納得がいくストーリーでした。章によって闘う相手は異なりますが、全章通して軸にあるのは、うちなる欲望との戦いです。13人のドワーフと行動を共にするビルボは、自分との戦いというよりも、第三者の葛藤の行方を左右する立場で奔走します。知恵と勇気、そして揺るがない美しい心。これがホビットであるビルボの武器で、各国膨大な人数をそれぞれに引き連れて挑んでいる戦況を彼が変えられるのかどうかというのが最大の見どころとなります。もう一つ、今作で印象的だったのはエルフたちの物語。エバンジェリン・リリーが演じるタウリエル、オーランド・ブルームが演じるレゴラスとその父スランドゥイル王の姿に投影される愛は、クールなエルフだからこそ、余計に深く感動しました。原作『ホビットの冒険』にはタウリエルもレゴラスも出てこないようですが、わざわざ入れただけあって、本作の物語の奥行きを広げています。『ロード・オブ・ザ・リング』ではレゴラスはただの王子様的な存在に見えて、正直なところキャラクターにあまり深みを感じなかったのですが、本シリーズのレゴラスは未熟なところからだんだんと成長していく姿が描かれていて、こういう背景を知ってから『ロード・オブ・ザ・リング』を観ても、以前とは違う印象でまた楽しめそうだと思いました。 壮大なスケールで描かれる軍勢の戦闘シーンも迫力満点ですが、それぞれの接近戦も凝っていて、特にエルフたちの身のこなしが見事でアクションも期待以上に見応えがありました。シリーズ通してですが、やっぱり映像の美しさが飛び抜けていて、広がる草原や山々が目の前にあるような、自分がその世界に入り込んだ感覚にしてくれます。『ロード・オブ・ザ・リング』も大好きですが、本シリーズもひっくるめて何度も観たくなる作品です。 |
誰が観ても楽しめる内容ではありますが、やはりシリーズ第三章なので、物語の内容は前作を観ていないとおもしろさが半減してしまいます。全く観たことがなくても相手が興味を示したら、前作を一緒におさらいしてから本作を観ると良いでしょう。気に入ったら、その後は『ロード・オブ・ザ・リング』をおうちデートで一緒に鑑賞してもっと盛り上がれることでしょう。熱いファンも多い作品なので、お互いのテンションが違い過ぎる場合は、鑑賞後に一緒に盛り上がれるか分かれ目になりそうです。気になる場合は、同じテンションの人と観る方が良いでしょう。 |
シーンによって幼い子どもさんは怖がる可能性もありますが、小学生高学年以上なら楽しめると思います。ただ上映時間が165分とかなり長いので集中力があるお子さんでないと耐えられないかも知れません。さらに前作をおさらいするとなると少々キッズには負荷が大きいかも知れないですね。集中力があり、好奇心旺盛な映画好きのキッズならチャレンジしてみてください。ティーンは問題なく楽しめます。ただエンターテイメントとして楽しむのも良いですが、大切なテーマも描かれているので、何を感じたか、友達や家族と話し合うと有意義です。 |
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2014.12.8 TEXT by Myson