ダニエル・デイ=ルイスが演じる、独身主義を貫いてきた主人公レイノルズが、アルマという女性に出会い、ときめき結婚する…。そんな冒頭はとても穏やかでロマンチックなのですが、長年独身主義だった男性がそんなに簡単に習慣を変えるわけもなく、結婚生活に陰りが見えてきます。レイノルズは仕事人間で、何よりも仕事優先。アルマは自分のほうに振り向かせようと、大胆な方法をとるのですが、物語は意外な結末を迎えます。2人に何が起きるのかは、映画で観て頂くとして、本作は結婚の難しさを描いているばかりでなく、夫婦にしかわからない奇妙な絆も描いています。それが愛なのか、ただの自己満足なのかがは、観る側の解釈に委ねられていますが、端から見るとゾッとするような状況でもどこか幸せそうな夫婦がとても不気味でありながら、ようやくこれで本当の夫婦になったのだなとも思いました。また、夫婦関係におけるパワーバランスの変化も描かれていて、例えば亭主関白に見えても、ある点では妻が力を握っているという具合に、ある程度の均衡が保たれないと、夫婦としては居心地が悪いものなのかなということも考えさせられました。結婚生活において誰もが経験するであろう姿が、すごく生々しく描かれていましたが、わかるようでわかりたくない感覚を突きつけるストーリーで、良い意味で憎らしい作品です(笑)。 |
結婚して気が抜ける女、結婚して気が張る男という構図はとてもリアルで、これから結婚を考えているカップルが観ると、いろんな意味で怖じ気づいてしまうかも知れません。会話の論点がずれていたり、ささいな仕草や行動でイライラしたりという日常の描写も男女関係ではよくあることですが、2人で笑っちゃうか、ドキッとするか、いずれにしても、反面教師として観るにはもってこいな作品とも言えます。でも、まだ結婚への理想が高く、夢を壊されたくないと思っている乙女は観ないほうが良いでしょう。 |
大人の男女のとても複雑な心情を描いているので、キッズやティーンの皆さんには、まだピンとこないと思います。結末については、「何で???」と思うはず。まだ皆さんは、恋愛も結婚もキラキラしたものに見えているかも知れませんが、本作では、恋愛、結婚におけるとてもシビアな内容が描かれているので、ある程度無垢な恋愛を楽しんでから、大人になって観るというのでも良いと思います。 |