映画に隠された恋愛哲学とヒント集61

独身主義の初老の男性が、ある女性に出会って、ようやく結婚。でも、結婚生活を送るなかで、男女それぞれの習慣やクセが見えてくると、徐々に関係がギクシャクしてきます。相手がいることが当たり前になってきて、気遣いも薄れていくなかで、特に不満を募らせる妻。彼女が夫を繋ぎ止めるためにとった行動とは…。

職人肌で神経質な性格のレイノルズ（ダニエル・デイ=ルイス）が、アルマに出会い、徐々に心を開いていく様子はとてもロマンチック。ドレスを作り、女性を最高に美しく見せることに長けているレイノルズだからこそ、女性の扱いもエレガントで、紳士的なのですが、結婚してお互いのすべてが見えてくると、綺麗事ではない状況も出てきます。
結婚しても、独身の頃のレイノルズの習慣を簡単に変えることはできず、“彼の日常”に入り込めないアルマは、不安を募らせます。仕事に打ち込み、彼女への関心もあるのかないのかわからない状況で、アルマはレイノルズにある事を仕掛けます。これを歪んだ愛とみるのか、束縛とみるのか、依存ととるのかは、観る側の解釈に委ねられますが、純粋な愛情だけでは結婚生活は繋ぎ止められないのかと、考えさせられます。アルマは、極端な方法で、“彼が自分を必要とする状況”を作りましたが、少なからずこういう状況が夫婦のあいだに必要だなと思う部分もみてとれます。