『南国料理人』『横道世之介』の沖田修一監督の作品ということで、ほのぼのとした雰囲気や日常を切り取ったような描き方はほかの作品と共通する監督らしさを感じました。本作では、モヒカン頭の息子が結婚相手を連れて故郷に帰るところから始まり、父と息子の親子バトルが勃発し、さらに父のガンが発覚するという家族のドタバタが描かれています。
本作の父と息子は客観的に観ていると性格がそっくりなのですが、2人にはそんな自覚はないので、とことん衝突し合います。家族だからこそ言えること、逆に言えないことがあるところは共感できましたが、それが父と息子の男同士の場合だと、さらに素直になることが難しいんだなと感じました。でもそんな深刻になりがちな親子関係を松田龍平と柄本明が演じていたからこそ、爽やかに笑えるシーンになっていたのが良かったです。この親子以外にも本作には広島カープが大好きな母、しっかり者の弟、天真爛漫な嫁が登場するのですが、どのキャラクターも個性豊かで、観ていてとても微笑ましかったです。
笑える要素満載ながらも家族の絆や、生きていることの素晴らしさをそっと感じさせてくれる温かい作品です。ぜひご覧ください。
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デートで観てもOKです。恋愛のロマンチックな展開はありませんが、結婚を考えるカップルにはぜひ観て欲しい作品です。上記映画批評では父と息子の関係について紹介しましたが、本作では前田敦子が演じるお嫁さんと、もたいまさこが演じる姑(モヒカン息子の母親)にも注目です。この2人の場合、嫁姑バトルなどが一切なく、あっという間に馴染んでいたのですが、これくらいスッと相手の家族に馴染めることって本当に素敵なことですよね。ぜひ本作を機に相手の両親がどんな人なのか聞いてみたり、将来どんな家族を持ちたいかなど話し合ってみてください。 |
キッズも観られますが、結婚や親の病気を機に家族について考えさせられるお話なので、もう少し大きくなってから観た方がより感情移入できると思います。ティーンはコメディ要素を楽しみながら観つつ、家族の形の変化について考えてみましょう。皆さんが成長すると共に家族も歳を重ね、結婚や妊娠、出産、親の病気や死などさまざまなことが起こり、その形はどんどん変化していくものです。今は日々当たり前のように家族と過ごしているかも知れませんが、本作を観て家族の温かさや、当たり前の毎日の大切さを感じてもらえればと思います。 |