『アレックス』を観たときに、あまりの強烈さにギャスパー・ノエ監督ってどんな方なんだろうとずっと思っていましたが、遂にインタビューでお会いできました!『LOVE【3D】』は、若者達の情熱的な恋愛の日々を描いた作品ですが、濃厚で刺激的なラブシーンを3Dで映していて、まさかのアノ液体が3Dで飛び出してきます(笑)。「『アバター』の3Dを観て、このシーンも3Dにしたらおもしろいと思った。もしも『アバター』が2Dだったら、正面からじゃなくて、横から映していたかも知れないけどね(笑)」と意外にお茶目な監督でしたが、ずばりR指定についての考えなど聞いてみました。
PROFILE
1963年12月27日アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれで、子どもの頃、数年間はニューヨークで暮らし、1976年にフランスに移住。パリのエコール・ルイ・リュミエールで映画を学んだ後、スイスのサースフェにあるヨーロッパ大学の映画科客員教授となる。1985年、1987年に短編映画を撮った後、中編映画『カルネ』でカンヌ国際映画祭批評家週間賞を受賞。その続編で初の長編映画『カノン』(1998)はアニエス.bの資金援助を得て完成し、カンヌ国際映画祭でセンセーションを巻き起こした。その後、モニカ・ベルッチ、ヴァンサン・カッセル主演の『アレックス』(2002)がカンヌ国際映画祭で正式上映され注目を集めた。この商業的成功で『エンター・ザ・ボイド』(2010)の制作も実現し、確固たる地位を築く。その他は『セブン・デイズ・イン・ハバナ』の1編「金曜『儀式』」を監督。父は画家ルイス・フェリペ・ノエ。
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マイソン:
愛について、それぞれのキャラクターのセリフから、いろいろな解釈が得られたので、観客によってはそのうちのどれを自分なりの答えとして受け入れるかが分かれると思いました。監督は映画を撮る際に、ご自身なりの答えがあったんでしょうか?それとも、ご自身も探求するスタンスだったのでしょうか?
ギャスパー・ノエ監督:
愛に関する考え方は人それぞれだし、矛盾していることもあります。愛は自分の身の回りのことの解決策だと思っていたら、実は問題の始まりでしかなかったり、思っていることと結構違います。ドラッグとは違って自然なプロセスではあるけれど、恋に落ちることによって盲目になったり、正気を失ったり、世界観が変わることもあります。科学的にもホルモンの分泌で、エキサイティングに感じるときもあれば、ストレスフルですごく苦痛に感じるときもあります。あと、その愛を失うのが怖いという不安にかられたり、恋愛に陥ると、最高なことと最悪なことが混在しています。だから、一概にこれですというのではなくて、状況も人それぞれだけど、いろんな考えがあるということをすべて描いてます。“LOVE”も自分の子どもを愛する、親を愛する、友人を愛することは、自分を平穏にさせてくれるけど、恋に落ちる方の“LOVE”は生きる力を与えてくれると同時にそれを失うんじゃないかっていう不安をもたらす危険性を孕んでいるので、その脆さ、儚さという部分も描いています。
マイソン:
なるほど!では、濃厚なラブシーンについて、演じる役者にとってはかなりハードルが高かったと思いますが、キャスティングをする際に、役のイメージに合う役者さんと、どんなシーンも思い通りに演じてくれる役者さんの2択だったら、どちらを優先しましたか?
ギャスパー・ノエ監督:
キャスティングについてとにかくこだわったのは、本物のカップルに見えて信憑性があるということです。最初はある程度露出オーケーの本物のカップルを探したけれど、見つかりませんでした。他人同士の場合は気が合わないとダメなので、信頼関係ができて気の合う人達で、一緒に演じて相乗効果で本物に見える人達を探しました。クララ(オミ役)をカール(マーフィー役)に紹介して、カールをアオミ(エレクトラ役)に紹介して、この3人ならいけそうだと思っていたら、実際に3人のあいだに信頼関係を築き上げることができました。演技的にどこまでだったらできるか、どういったところをトリックにして本物っぽく見せるか、いっぱいディスカッションを重ねました。役者同士だけではなくて、チームとの信頼関係もすごく重要だったんですが、3人とも私の過去の作品を観てくれていて、私がちゃんとシリアスな仕事をする人だとわかって信頼してくれたからこそ実現できました。
続きを読む>>>>> 1 2:作り手からして、R指定ってどうなの?
2016年4月1日(金)より、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国公開
監督・脚本・編集・製作:ギャスパー・ノエ
出演:カール・グルスマン/アオミ・ムヨック/クララ・クリスティン
配給:コムストック・グループ(配給協力:クロックワークス)
若い妻と2歳の子どもと暮らすマーフィーは、以前付き合っていたエレクトラの母からの留守電を聞き、エレクトラが行方不明になっていることを知る。それを機に、マーフィーはエレクトラとの濃厚な2年間の日々を思い返す。
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