マイソン:
大野さんに質問で、愛美は震災の被害に遭ったという設定でしたが、演じる上で難しかったところ、気を付けたところはありますか?
大野いとさん:
私は阪神淡路大震災も東日本大震災も経験していないので、資料を読んだりするところから始めました。演じる上で気を付けたことは、そこに対して真剣に向き合いたいという気持ちと、日本人は特に弱みを見せることが恥ずかしいというか、なかなかそれができなかったり、隠すのが良いみたいなところがあるので、言いたいけどなかなか言い出せない苦しみみたいな部分を、大切にしたいなと思いました。
マイソン:
森崎さんは、ミャンマーご出身で日本に来られて長いですが、今回の役は日本人でもミャンマー人でもなく、ベトナム人ということで、微妙なニュアンスの違いを出すのは、難しかったのではないですか?
森崎ウィンさん:
ベトナムという国に住んだこともないですし、もちろん歴史も知らなかったので、まず歴史から勉強しました。ベトナムという国はどういう風に独立したのかとか、美味しくて現地でよく食べていたバインミー(ベトナムのサンドイッチ)があるのは、昔フランスが入ってきたからだとか、役名のグエン・コアの“グエン”という名前は王家からどんどん発信していったとか。正直、歴史がこの作品にそんなに関係なくても、生き様とかでその人が出るという意味では、勉強しなきゃと思いました。普段あまり勉強は好きじゃないのですが、案外何かを調べるのってすごく楽しくて、「そうなんだ、そうなんだ」って台本の裏に書き込んでいきました。
マイソン:
お2人ともすごいですね!俳優さんはいろいろな人生を演じられるので、ご苦労も多いですね。大野さんは俳優をやっていて良かったと思うときはありますか?
大野いとさん:
作品を観てもらえて「良かった」という感想をもらった時が一番嬉しいし、この人の心に響いてくれたんだなと思います。でもそれは音楽、編集、監督など、スタッフさんがたくさんいてでき上がるものだから、演じている時よりも、演じ終わって本当に全部がまとまった状態のものが世に出た時の感想というのが嬉しいです。
マイソン:
映画は総合芸術ですもんね。森崎さんは、ダンスボーカルユニットでボーカルをされたり、『レディ・プレイヤー1』ではハリウッドデビューもされましたが、今後チャレンジしたいことはありますか?
森崎ウィンさん:
チャレンジというより目標ができまして、10年以内にアメリカでアカデミー賞を獲りたいんです。「俺、賞を獲ったぜ」というのではなく、理由が2つあります。スティーブン・スピルバーグ監督という巨匠が「ウィンが良かったんだよ」って言ってくれたことに対して、「やっぱりスティーブンが選んだ奴は、やってくれるな」という意味で、監督に対して恩返しがしたいなって。もちろんこれまで僕が携わってきた方々全員に対しての恩返しにもなるのかなっていうのもあります。2つ目は、音楽も結構自信があるんです。冗談じゃなく、歌も上手いですし(笑)。
大野いとさん:
私もライブに行かせてもらいましたが、本当に歌が上手で輝いていました。
森崎ウィンさん:
今日は褒めるね!恥ずかしいんだけど(笑)。音楽は自分から発信させてもらえる環境で、常に向き合っていられるんですけど、役者としての森崎ウィンはまだまだです。今後壁にたくさんぶつかるだろうし、そういう意味では役者として自分で自分を認めてあげたいから、賞を獲ったら「役者もやっています」と、胸を張って言って良いんじゃないかって思うんですよね。今は、タレントで歌手だとは言えますが、役者としてはまだそれが言えないので、10年って決めました。そういう意味では今後どんどんやらないといけないことも見えています。
マイソン:
すごくカッコ良いですね。
森崎ウィンさん:
アーティストはカッコ良いことを言うから(笑)。
マイソン:
逆に大野さんからご覧になって、ボーカルの森崎さんと俳優の森崎さんは全然違いますか?
森崎ウィンさん:
そういうこと聞きます(照笑)?
大野いとさん:
別人です(笑)!役者さんの時とプライベートの時と、歌手の時で全然違いますね。本当にどこをどうしたらそんな三重人格になるんだろうって(笑)。
森崎ウィンさん:
三重人格ってヤバいね(笑)。
大野いとさん:
でも本当にすごいなって思います。
森崎ウィンさん:
役者としては経験がまだまだなので、現場に行く度に盗もうとするんです。あの人はどうやっているんだろう、どう取り組んでいるんだろうって。現場で初日にいとちゃんを見て、本当にリスペクトしました。この人スゲーなって、心から思いました。本当に共演できて良かったです。
大野いとさん:
やだ〜、恥ずかしい。
マイソン:
ハハハハハ!今日はありがとうございました!
2018年4月24日取材&TEXT by Myson
2018年5月12日より全国順次公開
監督・編集・脚本協力:牧野裕二
出演:大野いと/森崎ウィン
配給:エムエフピクチャーズ
東京で暮らしていた愛美は、亡くなった母との思い出が残る沖縄に移り、叔母と暮らすことに。一見元気に振る舞いながら、心のなかに悲しみを抱えていた愛美だったが、ベトナム人のコアと出会い、真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるコアに徐々に惹かれていき…。
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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