イギリスのオーディション番組をきっかけにスターになったポール・ポッツの実話に基づき、『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケル監督、『最高の人生の見つけ方』の脚本家ジャスティン・ザッカムの最強コンビにより映画化された本作。
自身の物語が映画になったことについて、「普通なら死んでから自分の映画が作られるのですごく不思議です」とおっしゃるポール・ポッツさん。苦い体験と夢が叶った瞬間のお話、本作でも描かれた奥様との関係について質問をぶつけてみました!
ケータイ電話ショップの営業マンをしていたが、オペラ歌手になるという長年の夢をかけて、2007年にイギリスの国民的にオーディション番組【ブリテンズ・ゴット・タレント】に出場。初代チャンピオンに輝き、同年7月にデビュー・アルバム“ワン・チャンス”をリリース。全英アルバム・チャートで3週連続No.1に輝いただけでなく、全米Classical Crossoverアルバム・チャートNo.1、他14ヵ国でもNo.1となり、18枚のプラチナ・ディスクを獲得した。そしてこのアルバムは全世界で400万枚の大ヒット。現在もオペラ歌手として世界各国を飛び回っている。
2014年3月21日より全国公開
配給:ギャガ
監督:デヴィッド・フランケル
出演:ジェームズ・コーデン/アレクサンドラ・ローチ/ジュリー・ウォルターズ/コルム・ミーニイ/ジェミマ・ルーパー/マッケンジー・クルック/ヴァレリア・ビレロ
子どもの頃からいじめられっ子だったポールの唯一の救いはオペラ。辛いときはいつも歌って乗り越えてきた彼は、ある女性との出会いがきっかけでやっとオペラ歌手への一歩を踏み出す。幸先良くスタートを切ったように思われたオペラ歌手への道だったが、当然そう簡単にいくはずはなかった。
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マイソン:
本作はサクセス・ストーリーでもあり、素敵なラブ・ストーリーでもありました。夢を叶えるために恋愛は諦めるというタイプの方も世の中には多いと思いますが、夢と恋愛を両立するコツがあったら教えて下さい。
ポール・ポッツ:
たまには奥さんからイライラされたりするんですけど、お互いのバランスをとにかく大事にしています。海外に来ているときもテレビ電話で連絡をとったり。少し話は逸れますが、テレビ電話で話しているときに犬が自分の声と顔をみて不思議がってますね。実際どうなっているのか理解していないと思うんですけど(笑)。離れててもそうやってうまくやっています。
マイソン:
奥様は本作についてどんな感想をおっしゃっていましたか?
ポール・ポッツ:
すごく楽しんでいたみたいです。映画のなかの僕自身を観て、たまにこれは違うんじゃないかと思う部分を奥さんに言うと、「いや、あなたはこんな感じよ」と言われました(笑)。例えばパヴァロッティに携帯のバッテリーのことを話すシーンで「俺だったら実際にこんなこと言わないけどね」って言ったら、「言うでしょ」みたいな感じでした。彼女は全部正しいなと思いました(笑)。
マイソン:
一番お気に入りのシーンはどこですか?
ポール・ポッツ:
一つ目はデュエットのシーンです。撮影の仕方など映画的にも素晴らしかったし、仕上がりも良かったです。そして実際に自分の声がシーンに使われているのを観ると本当に感動しました。もう一つはカラオケで歌っていたシーンなんですが、あれは映画のなかでもターニングポイントです。その2つのシーンがお気に入りです。
マイソン:イタリア留学中にバヴァロッティの前で歌ったときと、優勝したオーディション番組で歌ったとき、どちらも緊張したと思いますが、一番の違いは何だったと思いますか?
ポール・ポッツ:
どちらも緊張しました。パヴァロッティの前で歌ったときは映画で描かれているよりも実際の反応は良かったんですが、「ここから音楽的に繋がっていくのかな」と少し期待しちゃったところがあります。オーディションのときは「これがたぶん最後だろうな。どこにも繋がらないだろうな」と思っていました。そういう違いがありました。
マイソン:
もしあのオーディション番組で優勝していなくても、またチャレンジしていましたか?当時の覚悟、気持ちはどういったものでしたか?そして夢を持つ人たちに一言お願いします。
ポール・ポッツ:
ステージに立ったときは逃げ出したいと思っていました。「これがたぶん自分がステージで歌う最後だな」という気持ちで歌ってたんですけど、そこで進まなかったら本当に歌とは縁がなかったかも知れません。いつ、そのワン・チャンスが訪れるかは僕のようにわからないので、いろんなことが起きても夢に向かって進むしかないです。信じ続けることが大事です。怖くても進むのが大事です。
奇跡を起こした御本人のお話を聞いて、覚悟は覚悟でもオーディション番組に出場したときの覚悟はやっぱり違っていたんだなとしみじみ感じました。劇中にも出てくるオーディション番組出場のシーンは、YouTubeで実際に御本人が出場している動画が今でも観られます(2014年3月19日現在)。何度観ても、じわじわと感動が押し寄せ涙ぐんでしまいますが、ただ歌がうまいというのではない“何か”がやっぱり違いに現れるんだなと思いました。
このインタビューの翌日には来日イベントで歌を披露してくださいましたが、お話しているときはチャーミング、でも歌っているときは男らしく堂々としていてさすがだなと思いました。劇中でも歌は御本人が吹き替えていますので、ストーリーとともに音楽もぜひ楽しんでください。
2014.3.11 取材&TEXT by Myson