その個性的な作品で世界からも注目される井口昇監督が、『リアル鬼ごっこ』や『パズル』など多くのベストセラーを生んだ山田悠介の原作を映画化した『ライヴ』。血だらけのシーンや、ちょっとエッチなシーン、人によっては笑っちゃうシーンと、観る人によって楽しみ方がいろいろな本作で初主演を果たした山田裕貴さんにインタビュー。
PROFILE
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年『海賊戦隊ゴーカイジャー』でゴーカイブルー/ジョーギブケン役にてデビュー。その後、『GTO』『イタズラなKiss〜Love in TOKYO』『スターマン・この星の恋』などのテレビドラマに出演。2014年は初主演映画となる『ライヴ』(監督:井口昇)ほか、『俺たち賞金稼ぎ団』(監督:坂本浩一)『奴隷区 僕と23人の奴隷』(監督:佐藤佐吉)など多数出演作が公開される。
2014年5月10日より全国公開
監督・脚本:井口昇
出演:山田裕貴/大野いと/森永悠希/入来茉里/森田涼花/山本愛莉/亜紗美/佐々木心音/河合龍之介/村杉蝉之介/虎牙光揮/笠原紳司/デモ田中/江田結香/中別府葵/津田寛治/森下能幸/諏訪太朗/生稲晃子/志垣太郎
配給:KADOKAWA
うだつの上がらない毎日を過ごしていたフリーター田村直人の携帯電話に、ある日突然母親の拉致映像が送られてきた。そこへ謎の男から電話があり、直人の元に届いているはずの小包みを開けるように指示される。箱の中には山田悠介の単行本『ライヴ』があり、「殺人ウィルスを母親に注射されたくなければ、その小説に隠されているヒントをもとにデスレースのゴールを目指せ!」と脅迫された直人は、同じくこのレースに巻き込まれた人々と共にこの“ゲーム”に参加させられることに。
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
©2014 「ライヴ」製作委員会
マイソン:
衝撃的なストーリーですが、初めて脚本を読まれたときの印象を教えてください。
山田裕貴さん:
まず「原作と全然違うじゃん」って思いました(笑)。
マイソン:
原作を先に読まれていたんですか?
山田裕貴さん:
はい。この映画に出演することが決まって、台本をもらう前に原作を読みました。なので台本を読んで、小説が映画のなかに出てくるという設定に、なるほど、こういうやり方があるんだなって思いました。
マイソン:
この映画は残酷で怖いシーンがありつつ、笑っちゃうようなシーンもありましたが、山田さんご自身はこの映画はどんなジャンルに入ると思いますか?
山田裕貴さん:
僕は血が出たり、首が取れたりするシーンで笑うっていう感覚がないので、笑いをとるように演じる気は無かったんですが、スタッフさんたちが撮影期間中に「絶対おもしろいよね」「これ絶対爆笑だよね」と言っていたので、その辺では僕の中での想像とギャップがすごくありました。だから、ジャンルとしては何ですかね、笑うところでは笑う、普段笑わないようなところでも笑う“ギャップデスレース”みたいな(笑)。あんなに血が出ているのに最後にあれだけ爽やかに終われるっていうのはギャップなんじゃないでしょうかね。
マイソン:
なるほど。スタッフさんたちは結構楽しそうに残酷なシーンを作っていたんですか?
山田裕貴さん:
そうですね。特殊造形の方とも仲良くなって、「次、顔ぐっちゃぐちゃになるからさ〜」って楽しそうに言っていて、「そうですけども…」みたいな(笑)。
マイソン:
ハハハハ(笑)。じゃあ個人的にはあんまり笑えるところはなかったですか?
山田裕貴さん:
そうですね、撮影中には全く笑えなかったですね、僕は(笑)。
マイソン:
監督がちょっとエッチなシーンを爽やかに撮っている点も見受けられましたが…(笑)。
山田裕貴さん:
爽やかではないですね(笑)。
マイソン:
ハハハハ(笑)。ああいうところは男子的にはウケるのかなと思ったんですが、男子目線ではどうですか?
山田裕貴さん:
僕の正直な気持ちとしては、あんなにまじまじと大画面では観たくはないかなって。僕の感覚ですけどね(笑)。でも中学生くらいの子たちにはとてつもない衝撃でしょうね、血と裸と。R-15なので、中三の子しか観られないですけど(笑)。
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マイソン:
この業界に入ったのはどんなきっかけだったんでしょうか?
山田裕貴さん:
もともとテレビっ子で、映画やドラマ、バラエティ大好きで、すごく興味があったんです。そこで、上京してきて芸能養成所に入りました。スポーツとかなら技術でダメだったら諦めが付いちゃうけど、演技は内面のことだから想像力や感性は無限に広げようと思えば広げられるので、そういうところでは皆同じ土俵だからこそ負けたくないなって思って余計にハマりました。
マイソン:
今回、個性的な映画を撮られている井口監督と一緒にお仕事をされてどんな印象でしたか?
山田裕貴さん:
監督は脚本も書いているっていうこともあって、自分の撮りたいものとかイメージがたぶん決まっていると思うんですが、かといって僕に全然自由度がなかったかというとそうでもなくて、すごく自由に演じさせてもらいました。「僕はこう思うんですけど…」って言うと、「なるほどね、そうだよね」って、その場にいる田村直人としての感情を大事に優先してくれました。
マイソン:
じゃあ心地良く泳がしてもらったと。
山田裕貴さん:
そうですね。でも「ここはしっかり言いたいな」とか、「もうちょっと間を取って言いたいな」っていうところを、監督に「もっとセリフの間を詰めて、詰めて」って言われていたところもあって。でも、それは映画が完成して観たときに、あのスピード感を出すために言われていたんだなと気づきましたし、それにはすごく納得しました。
マイソン:
主人公の田村直人と御自身が似ていると思う点、共感する点、共感できない点はありましたか?
山田裕貴さん:
「主人公的要素がゼロで、でくの坊でキレイごとを言えない男なの」って言うシーンがあるんですけど、そのセリフに一番共感しました。
マイソン:始めの方に大野いとさんが演じるヒロインに言うセリフですね。
山田裕貴さん:
あの言葉が一番自分のなかでしっくりきて、山田裕貴としてもちょっとわかるなって。目立つことの大変さというか、目立とうとすることの大変さだったり、発言するときのことだったり、それは自分にとっても勇気のいることだし。逃げたり甘えたり頼った方が楽じゃないですか。だから、彼のそういう一番人間らしいところがすごく好きでしたね。
マイソン:
シチュエーション的にはすごく非現実ですけど、役的には結構親近感を持って演じられたんですね。日常で山田さんが逃げたくなる瞬間ってどんなときですか?
山田裕貴さん:
最近すごく思うのが、“自分のこと”を話したり写真で撮られているときよりも、“役のこと”を話している方が弾むんですよね。ものすごく気の知れた人たちなら別ですけど、そういうところはまだ人見知りというか。役を演じている方が自分を解放できているなと思うし、そっちの方がやりやすいんです(笑)。自分がどんな人間かってことは話すよりも接して気づいてほしいと思うので、「自分のことを話してください」と言われたときに、自分の全ては伝わらないんじゃないかなって思っちゃうんですよ。だからそういうときに逃げたくなるかもしれないです(笑)。
マイソン:
たしかにそうですよね、言葉だけが全てではないですもんね。じゃあ、最後に映画好き女子に向けて見どころをお願いします。
山田裕貴さん:
田村直人は最初ちょっと歪んでいるけど、たった1日の出来事ですごく成長します。血もあってすごく過酷な映像が流れるなか、最後はものすごく爽やかに終わるので、血とかが苦手な方もちょっと踏ん張って観て頂きたいです。頼りない主演ですが、本当に素晴らしいキャストの方々に助けてもらっていて、キャストの方々の個性ある雰囲気とか、そのなかにポツリといる僕をぜひ観て頂けたらなと思います!
趣味は映画鑑賞という山田裕貴さんが一番好きな映画
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』映画批評はこちら
2014.4.8 取材&TEXT by Myson