映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
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今回は自身で手掛けた舞台の戯曲を映画化し、初監督に挑んだ『バチェロレッテ ーあの子が結婚するなんて!』レスリー・ヘッドランド監督にインタビュー!作品からあふれ出すガールズ・パワーをそのまま感じさせる元気でキュートな若き女性監督です。
PROFILE
1980年11月20日生まれ。劇作家、脚本家、監督。マーティン・スコセッシやM・ナイト・シャマランなどを排出したニューヨーク大学の芸術学部ドラマ科で美術学士を取得したのち、ロサンゼルスを拠点として、演出家、劇作家、テレビドラマの脚本家として活躍。本作は、七つの大罪を基にした舞台劇「シネフィリア(色欲)」「バチェロレッテ(暴食)」「アシスタンス(強欲)」「サーファー・ガール(怠惰)」「リバーブ(憤怒)」「アクシデンタル・ブロンド(嫉妬)」のなかの1編「バチェロレッテ(暴食)」を映画化したもの。舞台版の「バチェロレッテ(暴食)」は2010年7月に初演され、チケットが即完売される盛況ぶりだった。本作で映画監督デビューし、現在は『きのうの夜は…』(1986年に公開、ロブ・ロウ、デミ・ムーア出演作)のリメイク作品の脚本を手掛けている。
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マイソン:
本作はウィル・フェレルさんが熱望したのをきっかけに映画化されたと聞いたのですが、それを聞いたときにどう思いましたか?
ヘッドランド監督:
実は企画開発をしていたテレビ番組でウィルと仕事をしていたんです。その縁があってウィルが芝居を観に来てくれました。アダム・マッケイ(本作の製作者の一人)とウィルは一緒に会社を経営しているのですが、彼らから映画化したいと言われたときは衝撃でした。そのあとクランクインの日まで夢を見ているような気持ちで、いつなんどき、私が彼らに電話すると「えっ、誰?」と言われたり、逆に電話がかかってきて「本当に申し訳ない。僕らは大きな間違いを犯してしまった」と言われるんじゃないかと思ってハラハラしていたくらいです。
マイソン:
今回、舞台の戯曲を映画化されるにあたり、演出で特に工夫した点、気を付けた箇所はありますか?
ヘッドランド監督:
舞台の場合はキャラクターを確立すれば、それで引っ張れるのですが、映画の場合はプロットが大切になってきます。映画ではストーリーが変化していかないとお客さんもついていけないので、それを意識しながら脚本を作りました。お芝居の場合は1つの部屋で全てが完結するので、迷走的で大きく何かがあるというよりもどんどんいろいろなことが起きて最悪な状況に陥っていくという内容でしたが、映画の場合はウェディングドレスを破いてしまって3人がそれを直すために奔走するという設定があると話が前に進むわけですね。また、当然1つの部屋だけじゃなくて街に出たり、いろいろな動きも生まれてくる、そういう差がありました。
マイソン:
今回3人のメインキャラクターがいますが、監督ご自身が近いと思うキャラクターは誰ですか?あと何か自分の経験は描かれていますか?
ヘッドランド監督:
妹が2人いるんですが、2人とも私より先に結婚して“まだ結婚してる(笑)”。けれど私はまだ結婚していないんです。でも、この映画を作ることができたんです!ただ、決してこの映画の彼女たちみたいに悔しいとは思いませんでした。義理の弟たちも本当に最高な子たちですし。でも妹の結婚式で周りの人が「いや〜、かわいそうにね、先にいかれたんだね〜。けど大丈夫だよ、もしかしたらいつの日かチャンスが来るからさ」と言われたりして。そんな人には「もう!この映画を観て下さい!それに私、日本まで来ちゃってるのよ!」って言いたくなります。ところで先に聞きたいのは、第一印象で誰が一番私に近いと思います?
マイソン:
えー!ジェナですかね〜?
ヘッドランド監督:
みんなにジェナって言われるの(笑)。けど、本当はジェナになりたいって思ってて、ケイティと同じような繊細なところもあって、レーガンのようにちょっと怒りっぽいところもあります。さっき言ったような結婚式で「かわいそうにね」と言う人たちに対して、自分は「あ〜そうそう。じゃお酒飲んで下さいね」というリアクションだったのですが、このレーガンというキャラクターは「本当は私も結婚したいの」「彼氏がいるのに何も動いてないの」という気持ちがあって、それが何か1つのプレッシャーとなっていたら、彼女はどう反応するんだろうという部分を本作で膨らませているんです。やっぱり私は物書きですから、もし自分がそういう考えだったらどうかなというところから想像してみるんです。そういった感受性を持った部分をどんどん詰め込んでいったのがレーガンたちであって、だからこそ俳優たちが私に「これ、彼女たちはどう思ってるんでしょう?」と聞かれたときに答えられるのだと思います。自分が似てるからというわけではなくね。
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マイソン:
日本では結婚率がどんどん下がっていると言われていますが、監督にとって“結婚”はどういうものですか?
ヘッドランド監督:
わからないというのが正直なところです。結婚がおとぎ話のようではないというのはわかります。私の女友だちには、映画とかで結婚生活が描かれていると「なぜ私の夫婦生活はこうじゃないの?」「私の家庭はこうじゃないの?」と言う人が結構います。映画で結婚や結婚式というのはすごくファンタジックに描かれているものが結構ウケているけれど、現実的にはそうじゃないということを受け入れがたいと思っている人もたくさんいるのがおもしろいですよね。個人的には、もう少し大人になってリアリティを受け止めることができなければ結婚はできないと思っています。妹たちはとても幸せに結婚生活を送っています。もちろん白馬に乗った王子様のような相手と結婚したわけじゃないので、大変な努力も必要だと思います。結婚している間に、結婚する前の関係とは大きく変わってくるわけですから、私も大人にならないといけないし、それと同時に「そろそろよね?」「結婚まだなの?」なんて言う人たちに対して「なんでそんなに結婚しなくちゃいけないの?」「は?なんで?」なんて言いたくなってしまう自分もいます。なぜ結婚しなくちゃいけないと迫られるのでしょう。どう思いますか?
マイソン:
私も監督と同意見です。
ヘッドランド監督:
それは素晴らしい!昔はお金、地位、安定のためにも「結婚しなくちゃいけない」という時代だったと思いますが、今は必要ないわけですから。結婚して何か得があるんでしょうか?セックスはしたいときにできるわけで、結婚したら自由にセックスはできないし、すっごく変ですよね〜(笑)。今回初来日ですが、日本の方がアメリカの女性とすごく感覚が似ているのでとても驚いているし、すごく嬉しいです!
マイソン:
アメリカも日本の女性も悩みは同じですね!では最後に日本の女性に一言お願いします。
ヘッドランド監督:
実際この作品は製作して形になるまでにすごく時間がかかりました。しかも結構内容がショッキングに受け取られるようで、物議を醸したりもしています。男性が観ると大変ショックを受けるみたいですが、女性が観ると「何でこれがショッキングなの?」って思えたり、そんなところも楽しめると思います。「あ、こんな子いるいる!」って思えるんじゃないでしょうか。よろしくお願いします。
2012年12月3日取材
監督・脚本:レスリー・ヘッドランド
出演:キルスティン・ダンスト/アイラ・フィッシャー/リジー・キャプラン/ジェームズ・マースデン
配給:ギャガ
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©2012 Strategic Motion Ventures, LLC
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