映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
TOP > 映画界で働く女TOP > 映画界で働く女性にインタビュー&取材ラインナップ > HERE
ツイート
<PROFILE>
1989年3月18日イングランド生まれ。父はロックバンド“ジェネシス”のボーカル、フィル・コリンズ。幼い頃から子役として活躍し、5歳のときにアメリカへ移住。ユース・アカデミー・フォーオ・ドラマティック・アーツ卒業後、南カリフォルニア大学に入学。記者、司会、コメンテイター、モデルとして幅広く活躍し、ファッションアイコンとして若い層から高い支持を得る。2010年『しあわせの隠れ場所』でサンドラ・ブロックが演じる主人公の娘役で映画デビュー。出演作は『プリースト』『ミッシングID』『白雪姫と鏡の女王』『シャドウハンター』など。
マイソン:
10代の思春期から子どもを持つ30歳までの12年間を演じられて、仕事、出産、子育てなど人生をシミュレーションされたと思いますが、ご自身の価値観に変化はありましたか?
リリー・コリンズさん:
良い質問ですね。今まで聞かれたことがない質問です。ロージーが家族の意見にちゃんと耳を傾け、リスペクトしているところや、受け継いできた教えを継承していくことを学んだような気がします。例えば、私はシングルマザーに育てられましたが、すごく素晴らしい母親で彼女から多くを学びました。自分がいつか子どもを持ったら、母から教わったことをそのまま伝えていきたいと思います。そうやって継承していくことって大事なのかなと。それとロージーには、子どもとの距離の取り方について学ぶところが多かったです。友達として“イカしたお母さん”でありながらも、親としてちゃんと威厳を保って境界線をビシッと引く。そういうバランスってとても難しいと思うんですが、今回いろんな年齢の女の子と共演させてもらうなかで、いろいろと学びました。自分も娘ができたらこんな風にできたらと思います。
マイソン:
今、12年間かけて演じてみて学ぶことがたくさんあったとおっしゃいましたが、恋愛も12年間かけていろいろなことを経験されますよね。この映画からどんな恋愛的教訓を学べると思いますか?
リリー・コリンズ:
何か学べるとしたら、まず何事にも理由があるということです。それと、将来何があるかわからないけれど、良きパートナーを見つけるためには、どう生きていくか意識しなければいけない、つまり己を知らなければいけないということです。自分自身をよく知って自分を固めてからじゃないと、人に与えることはできないし、人から与えてもらうこともできない。自分を確立させていくには時間がかかるかも知れないけれど、いろんな困難が人を形成していくわけだから、そういう経験をすることが大事だと思います。自分で「私って、こうなんだ」ってちゃんとわかったときに、それなりの人が現れるんだろうと考えています。でも、どうだか…たぶんそうなんじゃないかな(笑)。
マイソン:
この2人は18歳ですんなり結ばれていたら楽だったけれど、12年間かけたからこそ良い関係を築けたと思ったのですが、その辺はどう思いますか?
リリー・コリンズ:
人ってやっぱり変わっていくし、好みも変わってしまうわけだから、10代のときに好きだった人が今も好きとは限らないですよね。いろんな恋愛を経ていくなかで、付き合う相手一人一人が、私はどういう人物かを教えてくれるわけです。例えば「私はこれはイヤだ」と感じる体験からも、自分がどんな人かわかってきて、そうやって人は形成されていくと思います。アレックスとロージーに関しては、道は分かれますが、お互いにいろんな経験を経ていくなかで、ことあるごとにお互いを頼るわけです。それには何がしかの意味があるはずで、やっぱりタイミングもあるんですよ。自分自身とその相手もそれなりの精神的成熟を遂げていないとダメだし、タイミングも合っていないといけない。じゃないとスタートがおかしくなってしまいますよね。スタートがダメだとそこからうまくいくことはあまりないと思うので、両方が良いタイミングでスタートしなければいけないと思います。
マイソン:
それでは最後に一番好きなシーンを教えてください。
リリー・コリンズ:
一つに絞れないよ〜(笑)。でも、赤ちゃんを初めて抱いたシーンかな。脚本では、助産婦さんが抱っこしているけれどしゃっくりをするので母に手渡すというくだりになっていたんですが、本番で生後9日の赤ちゃんが本当にその瞬間にしゃっくりをしたんです。そんな偶然に、私も感情がこみ上げてきて泣いちゃいました。あのシーンは本当に偶発的に1回だけ起きた瞬間を映していて、赤ちゃんを抱いて自分のなかから母性も出てきて、そういう体験をしたことがなかったので、本当に印象に残っています。
2014年12月2日取材
2014年12月13日より全国公開
監督:クリスチャン・ディッター
出演:リリー・コリンズ/サム・クラフリン
配給:ファントム・フィルム
公式サイト 映画批評/デート向き映画判定 映画に隠された恋愛哲学
イギリスの小さな町で育った、6歳からの幼なじみロージーとアレックスは、ずっと一緒に過ごしてきた友達以上、恋人未満の間柄。18歳になった2人は、アメリカのボストンにある大学へ行くという夢を持っていたが、ある男子とパーティーの勢いで一夜を共にしたロージーが妊娠してしまい、2人は別々の道を歩み始める。その後12年間、お互いに思いを秘めたまま、距離を縮めたり遠のいたりを繰り返すが…。
©2014 CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH