映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
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<PROFILE>
1998年10月9日生まれ、東京都出身。子役として雑誌モデルやCMなどで活躍。2012年にTVドラマ『家族ゲーム』、映画『レンタネコ』、2014年に『福福荘の福ちゃん』など出演。また、2013年にはFUNKY MONKEY BAYBYS「ありがとう」のPVにも出演し注目を集めた。2015年公開の映画『くちびるに歌を』ではナズナ役を演じ、そのほかにも映画、ドラマなど幅広く活躍している。
左写真:ヘアメイク:横山雷志郎 スタイリスト:有本祐輔
シャミ:
本作の出演はオーディションで決まったそうですが、歌のオーディションもそのときにあったんですか?
恒松祐里さん:
はい、ありました。
シャミ:
事前にそのための練習はされていたんですか?
恒松祐里さん:
お風呂で練習したり、部屋で練習したりしていました。あと私は猫を飼っているんですが、その猫が「拝啓、この手紙〜」って私が歌うと、ニャーって合いの手を入れてくれるようになったんです(笑)。
シャミ:
それはすごい!猫も練習に協力してくれたんですね。
恒松祐里さん:
はい、かなり協力的でした(笑)。
シャミ:
今回のナズナ役はもともと希望していた役柄だったんですか?
恒松祐里さん:
一次審査のときにナズナとコトミとエリを演じたんですけど、そのときに「どの役が一番自分に似ていると思いますか?」って聞かれて、「ナズナです」って答えたら二次審査からナズナ役に進んだという感じです。
シャミ:
オーディションに受かったときはどんな気持ちでしたか?
恒松祐里さん:
ちょうどほかのオーディションの帰り道で電車に乗ろうとしたら携帯が鳴って「もしもし」って出たら、マネージャーさんから「ナズナ役、受かったよ!」って言われました。よくドラマとかにある自分だけ止まっていて周りが動いているというシーンがあるじゃないですか、本当にそんな感じになりました。驚いて「えっ!!本当ですか?」って言ったら、乗ろうと思っていた電車を乗り過ごしてしまって(笑)。でもそれくらい衝撃的なことでした。
シャミ:
歌は半年に及ぶ特訓があったそうですが、実際にはどんな練習をされていたのでしょうか?
恒松祐里さん:
合唱の練習といってもそれだけじゃなくて、腹筋をしたり体づくりから入っていきました。あとは、合唱に強い学校にお邪魔させて頂いて、そこで声の出し方とか準備体操の仕方を一から教わったり、たくさんの方の協力があって今の合唱ができたと思います。
シャミ:
なるほど〜。共演された合唱部メンバーと独自に行った練習方法などはありますか?
恒松祐里さん:
練習というわけではありませんが、アルトとソプラノで向かい合って、一文字ずつ交互に「は」「い」「け」「い」とかって歌う遊びをよくやっていました。ソプラノとアルトで音程がわかれるところだと、音が全然変わってしまうので「変な歌になるね(笑)」って言いながら、みんなで楽しく遊んでいました。
シャミ:
そうすると歌がさらに楽しくなりそうですね。恒松さんの思う合唱や音楽の良さってどんなところだと思いますか?
恒松祐里さん:
合唱は一人じゃできませんし、一人欠けていても歌えないところですね。ハーモニーが一つになって、しかもみんなの一番良い歌声が重なったときにだけすごく良い合唱になるので、そういうレアな感覚がすごく好きです。みんなで心を合わせて歌うとすごく大きな力になるところが合唱の魅力だと思います。
シャミ:
舞台挨拶のときに皆さんが歌っていたのを聴かせて頂いたのですが、映画を観た直後だったので、内容や観たときに感じたことを思い出して余計に感動してしまいました。やっぱり合唱にしかないパワーってありますよね。では、コンクールのシーンで舞台に立ったときはどんな気持ちでしたか?
恒松祐里さん:
やっとここまで来たんだという感じでした。エキストラの方がたくさんお客さんとして来てくださっていたので、この人たちに感動してもらえるような歌になれば良いなっていうのと、ナズナ的には松山先生(木村文乃)のためにも頑張って歌わなきゃなっていう感じでした。
シャミ:
ナズナは、柏木先生が再びピアノを弾けるようになる上でキーパーソン的な役柄だったのですが、演じる上でプレッシャーを感じたり、難しかったところはありますか?
恒松祐里さん:
私はあまりプレッシャーを感じないタイプなのですが、難しかったところで言うと、ナズナとお父さんの微妙な距離感です。嫌いだけど完全に嫌いにはなれないお父さんっていうニュアンスの出し方が難しかったです。
シャミ:
そういったナズナの微妙な気持ちを演じる上で心掛けたことはありますか?
恒松祐里さん:
お父さんとの思い出のなかには、楽しかったこともきっと何個かあるはずだし、あんなにひどいお父さんでも本当のお父さんであることには変わりないので、そういうところを常に頭に置いて演じるように心掛けました。
シャミ:
なるほど〜。普段の元気なナズナとお父さんの関係で悩むナズナの心情の変化にはすごく惹き付けられました。ちなみに恒松さんご自身がナズナと共通するところはありますか?
恒松祐里さん:
私とナズナは性格的にすごく似ていると思います。私は昔、学級委員をやっていたことがあって、割とみんなを引っ張るのが得意な方で、そういうところはナズナに近いと思います。あとは人前で弱いところを見せない部分もナズナに似ていますね。
シャミ:
ありがとうございます。では、最後にこれから本作を観る方に向けてメッセージをお願いします。
恒松祐里さん:
この作品は、何か悩んでいることや苦しんでいることがある人が観ると、すごく前向きな気持ちになれると思います。合唱も素晴らしいのですが、ストーリーもすごく良いので、この映画を観て爽やかな涙を流して、今抱えている悩みや苦しんでいることと向き合うきっかけになってもらえたら良いなって思います。
ほかにも好きな映画は『ヘアスプレー』だというお話や、将来のために英語を勉強してハリウッド映画に出演してみたいというお話もありました。映画のなかでは、お父さんとの微妙な距離感や、柏木先生と1対1で真剣に話す様子など、ナズナの繊細な心の動きを演じる様子も観られます。ぜひ彼女の活躍ぶりを劇場でご覧ください!
2015年1月20日取材
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2015年2月28日より全国公開
監督:三木孝浩
出演:新垣結衣
木村文乃 桐谷健太
恒松祐里 下田翔大 葵わかな 柴田杏花 山口まゆ 佐野勇斗 室井響
渡辺大知 眞島秀和 石田ひかり(特別出演)
木村多江 小木茂光 角替和枝 井川比佐志
配給:アスミック・エース
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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© 2015 『くちびるに歌を』製作委員会 ©2011 中田永一/小学館