映画のお仕事は、監督・女優以外にも数え切れないほどの種類があります。プロデューサー、照明、音響、衣装、メイク、宣伝、劇場営業…。映画を作る現場から、映画をユーザーに届けるところまで、さまざまな現場で働く女性にお会いする機会があれば、お話を聞いて、現場の状況などを掲載できればと思います。
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今回は、近未来に生きる若者達の葛藤を描いた『LAPSE ラプス』“リンデン・バウム・ダンス”に主演のSUMIREさんにインタビューをさせて頂きました。ファンタジーのような世界観で包まれながら、独特な緊張感も漂う本作で、どんなスタンスで演じられたのか。そして、AIなどの技術や、ファッション、映画…などに、普段どんな風に接していらっしゃるのか聞いてみました。
<PROFILE>
SUMIRE
1995年生まれ、東京都出身。2013年、Chara「やさしい気持ち」MV(島田大介監督)の出演をきっかけに注目を集め、2014年より雑誌「装苑」の専属モデルに。2018年は是枝裕和監修で話題になった、くるり「その線は水平線」MV(遠藤薫監督)を皮切りに、『サラバ静寂』(宇賀那健一監督)でヒロインに抜擢され映画デビュー。『リバーズ ・ エッジ』(行定勲監督)へと続き、ファッションモデル、女優として表現の場を広げている。
マイソン:
抽象的に描かれていて、解釈を委ねられるシーンがいくつかあり、それが印象的だったんですが、そういったシーンはどんな風に作っていったんでしょうか?
SUMIREさん:
監督からシーンに入る毎に「ここはこういう感じにやって欲しい」というポイントは受けていました。
マイソン:
演じる側として、具体的に真相をわかっている状態で演じられていたのか、それともそこは敢えて説明なくSUMIREさんの解釈で感じたまま演じられていたのか、どっちなんだろうって思いながら観てました。
SUMIREさん:
半々ですね。良い意味で曖昧な感じで演技をするっていうやり方がたぶん今の自分には合っていたりもするし。
マイソン:
そうですよね。だからこそ、すごくファンタジックな部分と近未来的でちょっとスリリングな部分を感じられたのだと思います。あと、死というテーマを考える上で、母や父だと近過ぎるし、おばあちゃんと孫っていう距離感がすごく良いなと思いました。SUMIREさんにとっておばあちゃんってどういう距離感の存在ですか?
SUMIREさん:
ヨウのほうがすごくおばあちゃん子かも知れないんですけど、私もおばあちゃん子なので、すごく共有できる気持ちがありました。私自身もおばあちゃんとの距離感はヨウと同じくらいなので、うちのおばあちゃんはまだ元気ですけど、もしヨウのおばあちゃんと同じような状況になったら、私も同じことをするだろうなって思います。
マイソン:
劇中では、そんな大好きなおばあちゃんの運命がAIに決められるかも知れないという設定で、AIに運命を決められるくらいだったら…みたいな結末でしたが、逆に日常的にAIに決めてもらったほうが楽って思うことはありますか?
SUMIREさん:
私は普段結構優柔不断なところがあるんですよ。でも、何でも良いよって言いながら口に出さないだけで、優柔不断なりに「これは嫌だ」ってことが、実は結構あったりするから、決めてもらわなくて良いかも(笑)。ただその時は決めるのに迷うだけで、結局は自分でこうしたいっていうのがあるのかな。自分は自分でやるよって。
マイソン:
最近は「電気消して」と話しかけると、人間に代わって電気を消してくれたりする商品もありますが、ああいうのはどうですか?
SUMIREさん:
いや、でも怖いですよね。何でこんな機械がそんなことまでできるんだろうって。そういうのをまだ理解できてなくて、追いついてないですね。
マイソン:
別に頼まなくても自分で消せますもんね(笑)。
SUMIREさん:
そうですね。持っていても結局使わないで自分で電気消しちゃいそう。
マイソン:
じゃあどちらかというと、アナログのほうが好きですか?
SUMIREさん:
アナログ派ですね。パソコンも持ってないんです。機械が基本的に苦手なんですよね。だからある程度あれば良いかなって。携帯とテレビとか。最新のものにそんなにこだわってないです。
マイソン:
劇中で「明日死んじゃうとしたら何をしたい?」って聞くシーンがありましたが、SUMIREさんだったら、最後の1日にやりたいことって何かありますか?
SUMIREさん:
え〜、でも最後の1日ですよね。美味しいものが食べたいですね(笑)。もうちょっと日数があったら、どこかへ行くとかもありかなと思うんですけど、明日ってなったらもうすっごい美味しいものを一緒にいたい人と食べたいですね。
マイソン:
明日って言われたら、なかなかやることは限られますもんね。
SUMIREさん:
「明日!?で?」ってなりそう(笑)。
マイソン:
ハハハハ(笑)!たしかにそうですね。それで、話題は変わりますが、他の作品でもSUMIREさんはすごく存在感があるし、演技や佇まいがすごく自然だなと思います。すごく自然に表現することが身に付いていらっしゃるのかなと思います。芸能界には自然に入ろうって思うようになったんですか?
SUMIREさん:
小さい頃は、こういうの良いな、ああいうのも良いなっていうのがあっても、その中に芸能界はなかったんです。でも中学生くらいの時にフリーペーパーみたいなものでモデルをやらせてもらった時に、こういうの楽しいなって思い始めて、そこからちょっとずつ自分の中でモデルへの意識が高くなっていった感じです。
マイソン:
今回の作品の中でも服装がキャラクターによって特徴的でしたね。
SUMIREさん:
ディスコのシーンとかは、あんまり足下が見えないかも知れないですけど、すっごい厚底の靴を履いていて、それはあの場の雰囲気に合わせているのと、あの年代があるからこそのあのパンツスタイルだったりします。あと、草原のシーンは2人とも白いワンピースを着て、あれも夢の中の世界というか、現実の世界で起こっていることではないから、その夢らしさを表した上での白なのかなとか、いろいろ思う部分はあります。
マイソン:
普段映画とか観られていて、目がいくのってファッションですか?
SUMIREさん:
ファッションとかその人が役に合っているかどうかとか、顔立ちとかは結構見ますね。あの人可愛いとか、カッコ良いとか。
マイソン:
映画で好きなジャンルとか国ってありますか?
SUMIREさん:
インド映画とかおもしろいなって。去年観た『search/サーチ』っていう映画の監督(アニーシュ・チャガンティ)もインド系の方で、やっぱり作品がおもしろくて。だからインド系の監督が作る映画って結構おもしろいと思ってます。
マイソン:
じゃあ好きな監督で選んで映画を観たりもしますか?
SUMIREさん:
いや、あんまりこだわりはないんですけどね。あと、やっぱり恋愛ものとかは観やすいからよく観ます。だからそういうのでオススメを探したり、友達に聞いたりします。
マイソン:
そうなんですね。では最後に、本作でSUMIREさん自身が一番好きなシーンを教えてください。
SUMIREさん:
結婚式でヨウだけ真っ黒な服を着て、お母さんやお姉さん達と同じテーブルでご飯を食べていたシーンです。母と姉はおばあちゃんのことをあんまりお世話していないので、それに対してやっぱりヨウは気に入らなくて、その反抗的な気持ちが服とかヨウ自身の顔、仕草にすごく出ているなって。演じたのは自分なんですけど(笑)、表現できているというか、わかりやすいかなっていうのは、作品を観て思いました。
マイソン:
SUMIREさんと同じ世代の若い方が本作に共感しそうなポイントは、どんなところでしょう?
SUMIREさん:
若い子皆かわからないんですけど、私が演じたヨウって、あの年齢というのもあってか、ちょっとムスっとしているというか、表現下手というか、ぶっきらぼうなところがあるんですよ。だから若い世代皆1回は通るべき感情だったり、思春期とは同じようで違うような感じで、そういう部分は結構わかってもらえたりするのかなって思います。
マイソン:
本日はありがとうございました!
2019年2月16日より全国順次公開
「リンデン・バウム・ダンス」SUMIRE/小川あん
「SIN」ノ俊太郎/内田慈/比嘉梨乃/平岡亮/林田麻里/手塚とおる
「失敗人間ヒトシジュニア」アベラヒデノブ/中村ゆりか/清水くるみ/深水元基
配給: アークエンタテインメント
本作は、クリエイティブチームBABEL LABELが描く、3つの未来の物語で構成されたオムニバス作品である。
「リンデン・バウム・ダンス」あらすじ
2038年、人間は人工知能に医療を委ねるようになっていた。寝たきりの祖母の世話をする大学生のヨウは、AIが祖母の運命を左右するという状況に腹立たしさを感じていた。そんななか、法律改正により祖母の延命中止が決まってしまい…。
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