2014年6月27日より全国公開/R-15
ギャガ
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「なるほど、こういう話だったのか〜」といろいろな点で圧倒されました。レトロな雰囲気を醸し出すオープニングや、中島哲也監督のアーティスティックな世界観が映えるクレイジーなパーティシーン、強烈なインパクトを持つバイオレンスシーンなど、視覚的にパンチ力のある映画です。そして、なんといっても狂気に満ちたストーリーが見応え充分。美しい娘の隠されたウラの顔という程度ではそれほど驚きませんが、彼女の不可解さは想像以上でした。でも、日常に未来も希望も感じられなくなった若者がこういう状況に陥ってしまうのは、現実の世界でもあり得ると思います。大人たちが自分たちの都合で落ちぶれていくのは勝手ですが、それを端から見ている子どもたち、若者たちは大人たちが思っている以上に奥深く人間を見透かしていたり、傷付く前に自分を崩壊させて身を守ったりしているのかも知れないなと考えさせられました。一見、藤島加奈子という娘がとんでもない奴で終わってしまうのですが、登場人物全員が狂っていて身勝手。誰もが我が身がかわいくてあらゆる防御策をとって生きている、人間のある種醜くて素の姿を映し出した一作です。 |
ときに目を覆いたくなるようなバイオレンスシーンが出てくるので、好き嫌いが出るとは思います。でも女子がそういう映画でも大丈夫なのであれば、男子と観た方が気分的に心強いと思えるかも知れません。観終わった後に清々しい気持ちになれる映画ではないですが、「あのシーンは凄かったね」「あのキャラクターが怖かったね」など、話題はいろいろ出てくると思います。ラブラブなムードにはなりにくい内容なので、友達以上恋人未満のカップルのデートに良いと思います。 |
R-15なので、キッズと15歳未満のティーンは観られません。高校生以上の皆さんは、主人公の娘で行方不明になる藤島加奈子と同じ世代なので、加奈子目線で観る人もいるかも知れませんね。完全に第三者の視点で本作を観るか、役所広司が演じている主人公など大人キャラクターに感情移入して観るか、加奈子やほかの若者たちの目線で観るかによって、感じるモノが違ってくると思いますが、敢えて親子で観て意見交換すると物語の解釈も広がっておもしろいと思いますよ。 |
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2014.6.17 TEXT by Myson