映画『渇き。』完成披露試写会、役所広司、小松菜奈、清水尋也、橋本愛、國村隼、オダギリジョー、中谷美紀、中島哲也監督
2014年6月9日、本作の完成披露試写会が行われました。舞台挨拶に登場したキャストの前には各役柄をイメージした2文字の言葉のパネルが置かれ、役所広司は“狂犬”、小松菜々は“天使?”、中谷美樹は“偽善”など、どれもかなりインパクトのある言葉ばかりが並んでいました。キャスト陣はそれぞれの言葉に納得の様子で、役所広司は「撮影の前にこの言葉をもらっていたら、もっと良い演技ができたかも知れない(笑)」と話していました。
役所広司はロクデナシの父親役について「こういうキャラクターは初めて演じさせて頂きました。非常に挑戦的なことばかりで良い経験をさせてもらい、気持ちよく演じることができました。監督は毎回ものすごく強烈な役をくれ、作品自体の個性も強いので、参加するのがいつも楽しみです。監督の撮影は長いのですが、お芝居を丁寧に撮ってくれるので俳優にとってはとても得だと思います」と語りました。同じく國村隼も「キャラクターがみんなクレイジーですが、僕もこういう変態の役は初めてやりました」と話していました。監督は冗談で「國村さんはいつもこんな感じじゃないですか(笑)」と言っていたものの、やはりベテラン俳優陣の新しい一面を引き出せるとは、中島監督のすごさを感じます。
そして本作が映画デビュー作となる小松菜々は撮影について「難しい役柄な上に、豪華な俳優さんや女優さんとご一緒だったのでプレッシャーや心配がありました。でも周りの人たちのサポートのおかげで最後まで撮影することができました。加奈子が“天使なのか、悪魔なのか?”と聞かれると、確かに悪魔なのかも知れません。でも彼女には天使の部分もあって、人を惹き付ける不思議な魅力を持った女の子だと思います」とパネルについてもコメント。さらにMCより「怖いと噂をよく聞く中島監督とのお仕事はどうでしたか?」と尋ねられると、小松菜々は「噂では怖いと聞いていたんですけど、私が緊張しているのをわかってくれて、緊張させないようにしてくれたり、すごく気をつかって頂きました。優しいクマさんみたいな方だと思います(笑)」と話しました。すると中谷美樹も便乗し「監督は優しいクマさんみたいな方です(笑)」と一言冗談を言い、「監督は上っ面ではない人間の本質を真摯に見つめていて、人が目を反らしたくなるような人間の本質にも正面から向き合って、それをエンターテインメントに消化する才能がある方です。凡才である私はいつもたくさんのものを引き出してもらえるので、毎回監督とお仕事をさせてもらえて良かったなと思います」と語りました。すると監督が「中谷さんには、始まる前に今日は絶対に僕の悪口を言わないようにと釘を刺したので何も引き出せませんよ(笑)」とすかさずコメント。中谷美樹は『嫌われ松子の一生』出演時に監督から厳しい演出をされたということで、この日も監督についての質問が多かったのですが、今ではすっかりお互いに冗談を言い合える仲のようで、見ていておもしろかったです。
今回オーディションでボク役に抜擢された清水尋也は「こんなに大きな作品に関わらせて頂くのは初めてで、監督も中島監督で、最初は不安しかありませんでした。リハーサルのときも優しくして頂いて、クランクインしたときはリラックスした状態でのびのびと演技ができました」と語りました。それぞれのキャストの話を聞き、監督は本作の演出について「あんまり細かく言うタイプではないんですけど、舞台に立ってもらってあとは自由にやってもらいました。役所さん、小松さん、清水くんはこの映画の中心人物を演じていて、ずっと映画に出ているので何回かリハーサルをやりましたが、それ以外の人たちはほとんど放ったらかしにして、“なるべくやり過ぎてください。ほかの監督だったら絶対に怒られるような芝居をしてください”と言って自由にやってもらいました。だからキャストそれぞれほかの映画では観られない魅力がこの映画には出ているので、その辺も楽しんで欲しいと思います」と話しました。
最後にこれから観る方に向けて役所広司は「こういうタイプの映画は、今の日本映画界ではなかなか通りにくい企画だと思いますが、中島監督だからこそこの映画が成立できたんだと思います。それだけ通りにくい映画だからこそ、スタッフもキャストもこの映画に参加したいと思ったんだと思います。結果的にお客さんたちに、“変わった日本映画がある”とたくさんの人に観てもらえたら嬉しいです」とコメント。監督は「本当にヘビーなお話ですが、最初に原作を読んだときに絶対に映画化したいと思って動き出しました。まさかこんな映画にお金を出してくれる人はいないと思ったので、小さな映画として自主映画のような感じで作ろうと思っていました。でも本当にいろいろな方々の協力があって、素晴らしい俳優さんが集まってくれ、大きな劇場で皆さんに観て頂けるということは、自分でも信じられないくらい嬉しい気持ちでいっぱいです。血だらけで目を伏せたくなるシーンもたくさんありますけど、目を伏せて頂いて良いので、なるべく途中で外に出ることなく、最後まで我慢して観て頂きたいです。そうするときっと人間ドラマとしての本作のメッセージを受け取って頂けると思います」と話し、舞台挨拶が終了となりました。
ちなみにほかのキャストのパネルは、清水尋也が“傀儡(操り人形)”、橋本愛“鬼怒”、國村隼が“悪徳”、オダギリジョーが“鬼畜”となっていました。どうしてこの言葉になったのかは映画をご覧頂ければきっと納得できると思います。とにかくハチャメチャで、狂気に満ちた物語で、怖いシーンもありますがつい先が気になってしまうおもしろい作品です。ぜひ劇場で不思議で狂気に満ちた世界を堪能してください。
『渇き。』R-15
2014年6月27日より全国公開
配給:ギャガ
©2014「渇き。」製作委員会
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