2013年11月9日より全国公開
ギャガ
公式サイト 予告編
最初に一言だけ。とても感動した作品なのですが、一点だけ残念だったことは、ブラジル人を岡田将生が演じていたこと。あれはブラジル人である必要があったのか、日系人の設定なら別になまらずに普通にしゃべってても良かったんじゃないか、もしくは本当に外国人か無名な俳優を使うのではダメだったのか…と思うほど違和感がありました。岡田将生が悪いのではなく、ミス・キャスティングに思えたんですよね。 それはさておき本作は、妻の乙美(おとみ)が突然亡くなり、まだ呆然としている父と、子どもができずに悩んでいるところへ夫の浮気相手が妊娠したという悲劇が起きた娘の物語。2人は乙美が遺した“四十九日のレシピ”からいろいろなメッセージを受け取り再生していきます。レシピといっても料理だけではなくて、掃除の仕方など家事についても書かれていて、メッセージ性の強いアルバムのようなものなのですが、そこには亡くなった乙美の思いがいろいろと詰まっていたという展開はとてもよくできていると思いました。永作博美が演じる娘の百合子は子どもができずに苦労しているという設定なのですが、乙美の人生との関わりの見せ方も巧妙でした。“子ども”がとても重要なキーワードなので女性にはとても響く内容だと思います。永作博美がお腹が大きいのを隠しながら撮影している感があったのですが、実際に妊娠中だったんですね。お腹に赤ちゃんがいる状態で赤ちゃんができない女性の辛さを演じるというのはどういう心境だったのかとても興味深いですが、お子さんが実際にいるからこそ、その辛さをもっと痛烈に感じながら演技をしていたのかなとも思います。自分には子どもができなくて旦那が浮気したと思ったら相手に子どもができて…という女性にとっては最悪の展開が描かれますが、百合子はどういう選択をとるのかどちらの立場の女性にもぜひ観て頂きたいと思います。 |
妻がなかなか妊娠しなくて、夫が浮気して愛人に子どもが出来てしまうという展開があるので、デートで気楽に観るという内容とは言えません。あと女性にとってデリケートな話題を取り上げているのでデリカシーのない相手の場合は連れて行かない方が自分のためです。ただ、夫婦の絆を描いた作品なので、夫婦で観て欲しい内容ではあります。最近こういうことで揉めたばかりというご夫婦は少々気まずくなるかも知れませんが、逆に絆を確認するためにも観てみてください。 |
大人とは全然違う視点で観ることになるかも知れませんが、子どもは大人にとってどれだけ重要な存在かを子どもなりに知るきっかけになると思います。理解できない大人の事情も出てきますが、実の親でもそうでなくても親子愛の素晴らしさを知ることで、学校でいろいろな家庭事情を抱える友だちのことも少し理解できるようになるでしょう。 |
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©2013映画「四十九日のレシピ」製作委員会
2013.10.15 TEXT by Myson