2014年9月19日より全国公開
20世紀フォックス映画
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前作で驚異的な能力をみせた猿のシーザーの生き方は、私が想像していたものとは良い意味で異なっていました。その部分が本作でメインのテーマになるのですが、シーザーは人間の良い面と悪い面を両方見ていて、彼の判断はその両方に基づいて下されます。一方、シーザーの右腕的存在のコバは人間に虐待され続けていた過去を持つため、シーザーの指示に従いつつも人間を受け入れる余裕は持ち合わせていません。地球はほぼ猿に支配されている状況のなかで、わずかに生き残った人間達が電力を取り戻すためにやむなく猿たちが生息する山に入り、猿たちは絶滅したと思い込んでいた人間に遭遇し問題が勃発するというのが本作の冒頭。人間側にも猿側にも共存する方向で考える者、戦ってどちらかが生き残るしかないと思っている者がいます。本作は、人間の優しさを忘れずに生きているシーザーが、リーダーとしてどんな判断を下すのか、また人間側のリーダーもどう判断を下すのかが物語の鍵となりますが、一番興味深かったのは、猿がどれだけ人間に近づいたとはいえ、やはり習性には忠実ということです。人間と同じように考えたのでは“猿の惑星”ではありません。こういったところをないがしろにせずちゃんと描いている部分がとても良かったですが、人間のように策略だけで物事を進めないからこそストーリーのおもしろさが引き立つと思いました。同じルーツの人間と猿ですが、ちょっとは猿を見習った方が良いというか、人間は進化し過ぎて、地球で暴走しているのは人間なんじゃないかなと思わせてくれる内容でした。地球が地球に支配されるSF映画と一言で括ればそれまでに聞こえますが、とても哲学的なストーリーで私は大好きです。ぜひ観たことがない方も、本作や前作、そして少なくて主オリジナル版は1作目は観てみて欲しいです。 |
良くも悪くもイメージがとても強い作品なので、観ず嫌いの人もいるかも知れません。でもドラマ性、メッセージ性が強い作品なので、どんな人が観てもある程度の満足度は感じられると思います。ただ、どうせ観るならば前作から観た方がストーリーに入り込み易いのでまずはDVDを一緒に観てみて、気に入ったら本作も一緒に観ると良いでしょう。さらに気に入ればオリジナル版も観てみてください。ロマンチックな要素はそれほどないので、カップルの親密度はあまり気にしなくて良いでしょう。 |
大人向けの映画ではありますが、小学校高学年以上ならば充分に楽しめるストーリーです。猿の生命力と対比して、人間の弱さも描いた作品なので、自分たちの今の生活がいかに恵まれていて、それがなくなると途端に人間は生きるのに困るという現実も実感して欲しいと思います。人間にも猿にも同じように、仲間のなかで考え方がいろいろ分かれることもあるし、それをどう解決していくかなどにも注目して、感じたことをぜひ誰かと話し合ってください。 |
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2014.9.3 TEXT by Myson