タイトルからはもっと軽い内容を想像していましたが、実話をもとにした本格派時代劇ということで、緊張感が漂う内容になっています。現代のように携帯電話があれば、誤った伝達をすぐに取り消すこともできるのでしょうが、江戸時代なので何時間、何日もかけて人が手紙をもって伝えに行くしかありません。現代のように情報が溢れすぎて正確でない情報が紛れ込んでいるという問題とは種類が異なりますが、情報の正確さがいかに大事かというのは時代が変わっても同じなんだなと実感できます。あとはやはり侍という立場が重きを置かれていた時代に、生き方に選択肢が少ないという辛さがヒシヒシと伝わってきました。人として正しいことをする以前に、仕えている人にとって正しいか、自分の身分にふさわしいかどうかで行動することを望まれる時代。その中でも自分の意志を何らかの方法で貫こうとするキャラクターが何名か登場するので、誰か共感できるキャラクターが見つかるはずです。そして注目すべきは、バーナード・ローズが監督を務めた点。ローズ監督は原作にはわずかしか登場しなかった雪姫(小松菜奈)のキャラクターを創造し、主要人物の1人に位置付けました。彼女の存在は、現代の女性に共感をもたらしてくれるので、ぜひ女子の皆さんも観てください。 |
ロマンチックな展開はあまりないので、デートムービーではないように思いますが、江戸時代の男性社会を描きつつ、女性キャラクターも丁寧に描かれているので、男女共に楽しめる内容になっています。時代劇ですが、若手人気俳優が多く出演しているので、若い世代のカップルにもとっつきやすいと思います。 |
安政2年(西暦1855年)に行われた“安政遠足(あんせいとおあし)”という行事は、記録を競うマラソンとして日本で初めてのものとされています。その背景にあった実話をもとにした本作は、教科書で習う視点とは違ったおもしろさがあり、こういうところから日本史に興味がわくと、勉強の苦も減るのではないでしょうか。子ども向けの内容ではありませんが、子どもも登場するので、大人と違った視点で観てください。 |