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ビニー／信じる男

2017年7月21日より全国順次公開
ファントム・フィルム
公式サイト

ほんと、ボクサーっていろいろなドラマチックな実話がありますよね。本作もその一つですが、首の骨を折り、脊椎固定手術を受け、歩けるようになるのも奇跡といわれるなか、ボクサーとして復活したビニー・バジェンサの物語です。ビニーを演じたマイルズ・テラーは、8ヶ月間かけて85㎏から76㎏まで体重を落とし、体脂肪率は19パーセントから6パーセントまで落としたというから驚き。『セッション』での鬼気的な演技が印象的でしたが、本作でも抜かりのない肉体改造をして、迫真の演技を見せてくれます。もう一人、名演を披露しているのはアーロン・エッカート。はげ頭にでっぷりお腹で、これまでのアーロン・エッカートとは別人とも思える風貌で、トレーナー役を好演しています。
ビニーはなぜそこまでしてボクサーであることに執着したのか…。それは本人にしかわからないと思いますが、何かに夢中になったことがある人なら、それをやめる怖さ、できなくなる怖さは感じたことがあるでしょう。そんな彼の「諦めるのが簡単なのが、怖いんだ」というセリフが深く心に刺さり、“諦めた時、本当に怖いことは何か”を改めて考えさせられました。本作は、望む生き方を貫く勇気をくれる秀作です。

女性は好みが分かれそうな作品ではありますが、主人公ビニーのようなストイックな男子と付き合っている人は、彼と一緒に観て、感想を語り合うと、お互いが普段どういう思いでいるのかを理解し合えるかも知れません。ビニーほど壮絶な状況にはならないにしても、お互いの人生を大きく変えるかも知れない状況にあるカップルは、これを機に話し合うと良いのではないでしょうか。

かなり壮絶な人生が描かれていて、簡単に真似できるものではありませんが、ビニーの精神からは学べるものがあります。危険な事は真似しなくて良いですが、自分の生き甲斐は何なのか、自分が絶対に譲れないものは何なのか、本作の鑑賞を機に考えてみてください。まだ見つかっていなくてもこれからきっと見つかるはず。夢中になれることができたら、諦めないでやり遂げる勇気を本作からもらってください。

2017.6.28　TEXT by Myson