ミン:
研吾と融は理屈を越えたところでお互いを求め合っていて、剣を交えずにはいられなかったのだと思いますが、魂レベルで惹かれ合うというのはちょっと羨ましい関係にも思えました。
熊切和嘉監督:
そうですね。僕もある種の恋愛だと思って撮っていたし、俳優2人もそれを理解して演じていたと思います。
ミン:
本作で監督が表現したかったイメージを敢えて言葉にするとしたら?
熊切和嘉監督:
うーん。“共鳴する2つの魂”ですかね。
ミン:
2人の決闘シーンがあまりにも凄まじく、まさに“魂で共鳴し合っている”ようで圧倒されました。激しい嵐のなか、黒い雨と剣が放つ鋭い光のコントラストにも目を奪われましたが、どのようにしてあのシーンを作り上げたのでしょうか。
熊切和嘉監督:
雨は墨を混ぜて黒くしていますが、もともとはただの雨を降らす設定だったんです。でも、諸事情で撮影の予定が9月に延びてしまって。9月といえば台風の時期だし、どうせなら嵐の中で決闘させようかという話を脚本家の高田さんにしたところ、「それは良いね」となって。原作にはない、融が過去に災害に遭ったという部分の構想も同時に膨らんでいって、最終的に2人が濁流にまみれて同化していくような決闘シーンにしようということになったんです。
ミン:
濁流をイメージしての黒い雨なのですね。映像はカラーですが光と影に彩られたモノクロ映像のような印象も受けました。
熊切和嘉監督:
おっしゃる通り、その感じも狙っていました。
ミン:
決闘シーンの撮影に3日もかかったそうですが、どうやって、あの張り詰めるような緊張感とモチベーションを保ったのでしょうか。
熊切和嘉監督:
意識して緊張感を保ったわけではなくて、風を吹かせて、雨降らせて、その音に声がかき消されないように皆が自然と怒鳴っている状況ですから、自ずと緊迫した空気になっていました。チンタラしていたら陽がのぼってしまうという焦りもあって、緊張が緩むヒマがなかったですね。
ミン:
監督もかなり集中力を使われたんじゃないですか?
熊切和嘉監督:
僕自身は、あれだけ美しい俳優達をドロドロにしているので楽しかったです(笑)。
ミン:
やだ、熊切監督ったらドS(笑)!
熊切和嘉監督:
いやいや(笑)。実は、あのシーンはクランクインして5日目くらいに撮影しているんです。
ミン:
ええー!撮影5日目であのクライマックス感って出せるのですか!?
熊切和嘉監督:
スケジュールの都合でどうしてもそこで撮らなくてはいけなくて、僕自身は「それはさすがに勘弁してほしい」と言ったんですけど、綾野くんは準備万端だったみたいで「監督、僕はいつでもいけますよ!」って。虹郎くんもそれを聞いて、半分強がりかも知れないけど「僕もいけますよ!」って言うので(笑)、じゃあやろうかっていう感じで撮ったんです。
ミン:
綾野さんと村上さんの役者魂、さすがとしか言いようがないですね!
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2017年12月6日よりブルーレイ&DVD発売、レンタル開始
監督:熊切和嘉
出演:綾野剛
村上虹郎/前田敦子/片岡礼子/神野三鈴/康すおん
風吹ジュン/小林薫/柄本明
販売・発売元:TCエンタテインメント
矢田部研吾は、剣の達人であった父に幼い頃から鍛えられ、その世界では一目置かれる存在となる。しかし、父にまつわるある事件から生きる気力を失い、荒れ果てた生活を送っていた。そんな研吾を立ち直らせようと、もう1人の師匠である光邑師範がラップのリリック作りに夢中な高校生、羽田融を研吾に引き合わす。剣道の経験は浅いながらも、融は恐るべき剣の才能の持ち主だった…。
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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