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歴史的人物や歴史を探る2ー世界を揺るがしたヒトラーとアートの関係
ヒトラー、ナチスにまつわる映画はいつまでも尽きませんが、今回はヒトラーとアートとの関係を描いた作品をご紹介します。
映画・DVD
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『ミケランジェロ・プロジェクト』
第二次世界大戦、終戦間際にあった実話をもとに描かれた作品。ヒトラーの命令で、ドイツ軍は侵攻したヨーロッパ各国の美術品を次々と略奪していきました。そのなかには、ミケランジェロ「聖母子像」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」「モナ・リザ」、ロダン「ダヴィデ像」ほか、レンブラント、ルノワール、ゴッホ、ピカソなど、数々の名作が含まれていました。そこで7人の男たちで結成された特殊部隊“モニュメンツ・メン”が、これらの歴史的財産を守るために立ち上がります。彼らは兵士としてはド素人ですが、芸術のエキスパートとして戦場の最前線でナチスが略奪した美術品の数々を“奪還”すべく全力を尽くします。モニュネンツ・メンが数々の美術品を奪還していく様は爽快でありつつも、隠し場所がばれそうになり無残にも焼き払ってしまうナチスの非道を目にすると、心が痛みます。ヒトラーは、政治家になる前に画家を目指していたので、芸術品を愛する心があると思いたいですが、その夢が破れたから屈折した思いをどこかに持っているのか、やっぱり結局は戦争の道具として見ていたというのを実感します。結局奪還しても、元の持ち主がわからないケースもたくさんあるとのことで、切ないですね。
持ち主への返還というテーマでは、次にご紹介する『黄金のアデーレ 名画の帰還』も合わせて観るとおもしろいですよ。 |
2015年11月6日より全国公開中
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. |
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『黄金のアデーレ 名画の帰還』
20世紀の終わり、アメリカに暮らす82歳の女性マリア・アルトマンが、19世紀の美術界で一世を風靡した画家グスタフ・クリムトの代表作で、世界で最も高額な絵画ベスト10に入る“黄金のアデーレ(正式名:アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像T)”の返還を求め、オーストリア政府を訴えるという物語。これも実話です。絵のモデルとなったアデーレの姪マリア・アルトマンは、戦時中に泣く泣く両親を置いて夫とオーストリアから逃れ、アメリカに在住。故郷オーストリアでの戦時中の辛い経験のために、二度と帰国したくないとまで思っている彼女ですが、愛国心はもちろんあります。だからこそ、オーストリア政府、そして国民が、彼女の返還要求に対して冷たい態度を示すのも理解できているのです。でも、彼女が取り戻したいのは、物体としての絵画ではありません。“家族”を取り戻したいという願いをもとに、彼女は若き弁護士と戦います。
ナチスはユダヤ人の家からあらゆるものを略奪していきますが、彼らにとってはただの戦争の道具、駆け引きの道具だったかも知れませんが、持ち主にとっては金額に関係なく宝物なんですよね。 |
2015年11月27日より全国公開中
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
©THE WEINSTEIN COMPANY / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ORIGIN PICTURES (WOMAN IN GOLD) LIMITED 2015 |
『ミケランジェロの暗号』
舞台は1943年のベルリン。徐々に戦況が不利になっていたナチス・ドイツは、イタリアとの同盟を強固にするため、ムッソリーニが欲しがっていたミケランジェロの絵を贈ることに。だが、贈られた絵画は贋作だったことが判明し、イタリアの怒りを買う…。これは、本物の絵画の持ち主であるユダヤ人家族が、必死でナチスから絵を守ろうと奔走するストーリーです。好き勝手やられてばかりはいられないと、知恵を働かせて絵を守ろうとするユダヤ人と、ナチスの攻防を、意外にもコミカルに描いた作品です。 |
ブルーレイ&DVD発売中
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©2010 AICHHOLZER FILM & SAMSA FILM ALL RIGHTS RESERVED. |
人に感動をもたらす芸術作品さえも戦争の道具、犠牲になっていたという歴史に驚きますが、今でも未解決の案件も多く、戦争がいかに深い爪痕を残したかが実感できますね。現代の私たちにできることは、こういったことをいつまでも忘れないように、平和に純粋に芸術を楽しめる世界に感謝することなのかなと思います。
→歴史的人物や歴史を探る1ーアドルフ・ヒトラー/ナチス
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2015.11.30 TEXT by Myson