『人類資金』完成報告会見、佐藤浩市、森山未來、仲代達矢、阪本順治監督、福井晴敏(原作者)
2013年8月27日、本作の完成報告会見が行われました。真っ暗なステージ上から煙に巻かれながらキャストと監督ら5名がかっこ良く登場!全員男性というだけあり、大人の渋い雰囲気が会場に漂っていました。
監督は本作について「33年前、僕がまだ美術の助手だった頃に【M資金 知られざる地下金融の世界】という高野孟さんの本を読んで、いつか監督になったらこういう題材にチャレンジしてみたいと思っていました。2006年に福井さんに原作をお願いし、それからしばらく“人類”はいたんですが“資金”がなくて7年もかかってしまいました(笑)。けどこの時代にこの映画を発表できるということは逆に良かったと思っています」とコメントしました。また今回詐欺師の役を演じた佐藤浩市は各キャラクターの描かれ方について「この作品では各キャラクターの細かい背景の説明がありませんが、監督と僕らの間では常にキャラクターの背景や性格を確認しながら芝居し、敢えて映画のなかでは細かな説明抜きに作りました。そういった説明がなくても話しが進んでいくなかで観客の方々に何か感じてもらえると思います」と話し、森山未來も今回演じた謎の人物という役柄について「僕は謎の人物を演じているので(笑)、あまりここでいろいろ話すことはできないのですが、この石優樹というキャラクターの過去の歴史、そしてMという人物と出会って作り上げてきた関係性をすごく意識して演じました」と話しました。かなり謎の多いキャラクターを演じている森山未來ですが、映画を観ると森山未來だからこそできた役だなと思えますよ。ぜひこの謎の人物には注目です!
そして超ベテラン俳優の仲代達矢は本作について「僕は佐藤浩市さんの父親の三國連太郎さんと共に社会派の映画にたくさん出てきました。当時はそのときの政治の腐敗を徹底的に叩くような作品がとても多かったと思いますし、娯楽映画と社会派映画がしっかりと分かれていました。ですがこの『人類資金』がこの時代にエンターテインメントの部分も合わせ持った社会派映画となり嬉しく思っています」と映画界を昔から知っている大御所ならではの回答をしていました。劇中の仲代達矢の存在感は圧倒的です。
その後記者より脚本づくりで大変だったことについて尋ねられると、原作者の福井晴敏は「とにかく脚本を短くすることが大変でした。原作は7〜8巻にも及ぶものなのですが、それを映画で2時間少々に収めるということ自体がいかに無謀なことであったかを思い知らされました(笑)。けどそれを無謀なままで終わらせてはいけないので、監督ひたすら切っていく作業をしました」と答えました。本作は原作を福井晴敏が書いていますが、その後脚本づくりは原作者と監督とが共同で行ったようです。ときには監督がストップウォッチを片手に全員のセリフを読み上げてタイムを計ったりという苦労話も明かしていました。やはり原作ものを映画化し、脚本を作るというのはとても大変な作業なんですね。改めてそのすごさを感じます。
今回の登壇者は全員男性でそれぞれ良さがあるものの、やはり佐藤浩市は際だってかっこ良く見えました!この日の格好が緑の光沢の入ったスーツに茶色い革靴の着こなしも抜群で、さらにその落ち着いた佇まいに大人の男の色気のようなものを感じました。本作はM資金という難しい題材を扱った話ではありますが、根本的には「お金の上手な使い方」について描かれたおもしろい作品です。ぜひ豪華キャストによる世界を巻き込むマネーゲームを劇場で観てみてください!
『人類資金』
2013年10月19日より全国公開
配給:松竹
© 2013「人類資金」製作委員会
トーキョー女子映画部での紹介記事
辛口?甘口?映画批評&デート向き映画判定
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監督の33年越しの夢が現実に!けど人類はいたのに資金がなく… はコメントを受け付けていません