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03 12月

ライアン・ゴズリング、デイミアン・チャゼル監督、実際に宇宙に行くのは遠慮!?『ファースト・マン』来日

Posted in 未分類 on 03.12.18 by Merlyn

映画『ファースト・マン』来日記者会見:ライアン・ゴズリング、デイミアン・チャゼル監督映画『ファースト・マン』来日記者会見:ライアン・ゴズリング、デイミアン・チャゼル監督/山崎直子氏(宇宙飛行士)/前澤友作氏(株式会社ZOZO代表取締役、#dearMoon Projectホストキュレーター)

 

『ラ・ラ・ランド』で組んだライアン・ゴズリングと、デイミアン・チャゼル監督が、2019年2月8日に日本で劇場公開される『ファースト・マン』のPRのために来日。ライアンは「再びお招き頂き本当にありがとうございます。日本に来るのは大好きなのでとても興奮しています。特にデイミアン監督と一緒にこの素晴らしい『ファースト・マン』という映画を皆さんにお届けするために来られたことを光栄に思います」と挨拶しました。

デイミアン監督は「全くライアンと同じ気持ちです。とてもワクワクしています。『ラ・ラ・ランド』で日本に来たのが初めてだったんですが、以来早く戻ってきたいと思っていましたし、この作品を携えてこられたことでワクワクしています。皆さん気に入ってもらえると嬉しいです」と続けました。

映画『ファースト・マン』来日記者会見:デイミアン・チャゼル監督『ラ・ラ・ランド』よりも前から企画されていたという本作をなぜ今撮ろうと思ったのか聞かれたデイミアン監督は「ジェイムズ・R・ハンセンの原作がもとになっているんですが、それを読んだ時に『セッション』の頃からの自分の一つの問いかけが延長線上にあるような物語だと感じました。それはゴールを追究するのに人はどれくらい代償を払わなければいけないのかということであり、そのプロセスを考察するなかで、その問いかけをさらに掘り下げられるのではないかと考えました。ある意味ゴールという意味では月面着陸ほど大きなゴールもないことですから、この非常にアイコン的なキャンバスをバックにこの問いを掘り下げたいと思いました。でもライアンと一緒にリサーチをしたり、この作品の準備を進めていくうちに、自分の中でこの作品が変わっていきました。ゴールについての物語というよりも、ニール・アームストロングがどうしてこういうことを達成できたのか。言ってしまえば彼には深い悲しみや喪失、そういったものがあり、それがある意味彼を月に駆り立てた一つであったように感じられました。なので、宇宙へのミッションとそれから妻のジャネットとの関係を含めた、親密でエモーショナルな物語のバランスを取りながら作るという作品になりました。究極的には彼とジャネットや家族との関係性が、その物語を伝えたいという僕達の気持ちを駆り立てたのだと思います」と熱弁しました。

映画『ファースト・マン』来日記者会見:ライアン・ゴズリングライアンはニール・アームストロングの役でオファーが来た時の感想を聞かれると、「もちろん歴史的に偉業を成し遂げられた人物を演じられることを幸福であると感じたと同時に非常にプレッシャーを感じました。この原作を読むまでは自分は全くニール・アームストロングという人物を理解していなかった。そして、彼の家族との関係や、ミッションを成し遂げるまでにどれだけ多大な犠牲を伴ったのか…。深い悲しみや喪失感、いろんなことが背後にあったんだということを感じて、それを背負った上で、歴史的な象徴的な人物を演じるということは非常に重荷にも感じましたし、自分にとって刺激的な挑戦でもありました」と答えました。

映画『ファースト・マン』来日記者会見:ライアン・ゴズリングさらに役作りやその準備について聞かれると、ライアンは「自分にとってラッキーだったのは、奥様のジャネットさんが亡くなられる前に実際に対面できたこと、あとニールの生家である農場に妹のジューンさんを訪ねてお話を聞いたり、もちろん2人の息子さんにもお会いできました。当時の知人や実際にNASAで働いていた同僚などいろいろな方からお話を聞き、皆さん惜しみなく協力してくれました。そのおかげで役作りの助けになりました」と話しました。

映画『ファースト・マン』来日記者会見:山崎直子氏(宇宙飛行士)そして、ここで日本の宇宙飛行士代表として山崎直子氏が登壇。宇宙飛行を経験した立場から本作でリアルに感じた点を聞かれると、「アポロ計画時代の宇宙船のちょっと古めかしい機械の感覚と、危険と隣り合わせの過酷な訓練の日々。それに対して、日常生活の中の一コマ一コマのシーン。ごく当たり前の日常との対比がものすごくリアルだなと思いました。で、心理描写にものすごく共感しました。仲間の死であったり、いろんなことを乗り越えて、最後にジャネットさんと向き合う。ずっとミッションに身を捧げていた者が1人の人間に戻ったニール・アームストロングさんを見られた気がして、そこにすごく共感しました」と絶賛しました。

リアルさを絶賛された監督は演出でこだわった点について「非常にリアルな作品にすることはとても重要なことでした。特に宇宙飛行士の経験としてそれがきちっと映画にリアルに反映されていることがとても重要でした。そのためにはジャネットさんやお子さん達にたくさんお話を伺ったり、宇宙飛行士の同僚の方、例えばデイブ・スコットさん、バルゾ・オルドレンさん、マイク・コリンズさんのような宇宙飛行士の方にお話を伺うということを重ねていきました。僕らは宇宙飛行士ではありませんし、宇宙に行ったこともなければ、ローンチ(発射)も実際に見たことがありません。ですから描こうとしていることとすごく距離があるように実は感じていて、大きなプレッシャーがあったのですが、その分リサーチと実際に経験していらっしゃる方々とお時間を過ごすことでそれを埋められるのではと考えました。NASAも含め皆さん、僕らにたくさんの時間を抑えてくださって、5分だけでも時間を頂けたら有り難いと思っていたんですが、セットにも来て下さったり、撮ったシークエンスを観てコメントを頂いたり、1日ご一緒させて頂いて自分の時はこうだったというお話を伺うことができました。山崎さんにリアルに感じて頂けたのは、本当に彼等が貢献してくださったからだと感謝しています」と撮影を振り返り、答えました。

山崎氏はニール・アームストロングに共通すると感じる部分を聞かれると、「恐れ多いことですが、すごく共感しながら映画を拝見しました。宇宙に行くということはあくなき好奇心でありつつ、いろいろなものを背負っていくというのはいつの時代も共通しているのかなと思います。国家の思いや仲間の死を乗り越えてという思いだったり、家族にプレッシャーを与えているなかでの思いだったり、いろいろなものを乗り越えていくという部分は非常に共感しました。特に印象に残っているのは、ニールさんが宇宙飛行士の面接を受けているシーンで最後に意地悪な質問をされるんですね。“お嬢さんの死がミッションに影響を与えると思うか?”と。ニールさんは言葉を選びながら“可能性はある”と答えていました。もちろん仕事に集中すると同時に、やはり人間として父親としての部分で嘘をつきたくないと。そういった部分が私も1人の親として共感したんですね。でもそれを受けながらニールさんを信頼して一緒に訓練していく地上の部隊の方、そういった信頼関係を観て、宇宙開発はまさにチーム力だなと思いました。そして、さきほど監督もおっしゃっていましたが、この映画もいろいろなチームワークと信頼感に寄って、心の部分をとても引き出しているのかなと思いました」と述べました。

『ファースト・マン』来日記者会見:前澤友作(株式会社ZOZO代表取締役、#dearMoon Projectホストキュレーター)最後は、株式会社ZOZOのCEOで、民間初となる月周回へ世界的なアーティストを招待し、月を見て作品を創作してもらおうという宇宙規模の壮大なアート・プロジェクト“ディア・ムーン”を計画、2023年に月に行く事を発表した前澤友作氏が登場しました。前澤氏は社員の方と一緒に本作を観たそうで、リアルな描写も絶賛しながら、「この数年で観た映画の中でダントツ僕の中ではナンバーワンです。僕の周りのスタッフは、この作品を観て、僕が月に行くのは不安になったと言いました。僕自身は逆にワクワクしたというか。そんなこともあんなことも起きるだろうと覚悟のもとに観たので、怖くなったりせずにワクワクしています」と、実際に宇宙に行く気持ちを膨らませたようでした。

デイミアン監督は「月に行きたいですか?」と聞かれると、「正直ちょっとわかりません。この作品を作っている間、当時どのような危険があって、未知数であったか、居心地の良い体験でもなかったわけですし、大変であったということをより知ることになりました。さらにどんな努力、汗があったのかを知ることになり、この作品を作る前と比べると、躊躇する気持ちが大きくなったかも知れません。けれど先ほど前澤さんとお話することができまして、月を近くで見られるということに大変嫉妬します。すごくシュールでユニークな風景が広がっていると思うと、ご自身の目で見られる前澤さんに嫉妬します」と答えました。

映画『ファースト・マン』来日記者会見:ライアン・ゴズリング、デイミアン・チャゼル監督/山崎直子(宇宙飛行士)/前澤友作(株式会社ZOZO代表取締役、#dearMoon Projectホストキュレーター)ライアンも同じ質問をされると、「この映画の撮影は実際に宇宙服を着たり、精巧に作られた宇宙船のセットに乗ったり、すべての瞬間を一コマ一コマ撮影を心から楽しんだんですけども、それ以上に楽しいというか気分が高揚したのが、デイミアン監督が“カット”と言った瞬間に、“足を踏み出して地上に降り立った”時なんです、そのほうが自分的にはホッとしました。楽しいことはたくさんあったんですけれども、自分は行きたいとは思わないので、山崎さんや前澤さんの勇気に感服します。私にはその勇気はないので、地上から遥か宇宙を見つめて、皆さんを影ながら応援しています」と本音を明かしました。

映画『ファースト・マン』来日記者会見:ライアン・ゴズリング、デイミアン・チャゼル監督/山崎直子(宇宙飛行士)/前澤友作(株式会社ZOZO代表取締役、#dearMoon Projectホストキュレーター)宇宙飛行にまつわるお話はこれまでいくつも映画化されていますが、ここでお話に出ているように本作ではその裏側がどっぷり描かれています。なので、私も宇宙飛行には行かなくていいかなと、ライアンに同感です(笑)。そんなリアルな映像と、深い人間ドラマが観られる本作。ぜひ大きなスクリーンでご覧ください。

映画『ファースト・マン』:2018年12月3日取材 TEXT by Myson

 

映画『ファースト・マン』ライアン・ゴズリング『ファースト・マン』
2019年2月8日より全国公開
配給:東宝東和
公式サイト
©Universal Pictures

 

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