トーキョー女子映画部の取材リポート

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01 5月

この作品と母が撮った幼い頃の私の写真集と決して一緒にしないで欲しい『ヴィオレッタ』

Posted in 未分類 on 01.05.14 by Merlyn

映画『ヴィオレッタ』エヴァ・イオネスコ監督、アナマリア・ヴァルトロメイ映画『ヴィオレッタ』来日舞台挨拶、エヴァ・イオネスコ監督、アナマリア・ヴァルトロメイ

2011年カンヌ国際映画祭で上映され大変話題になりながらも、日本での公開実現まで3年を要した本作がいよいよ公開されるということで、2014年4月16日、監督のエヴァ・イオネスコ監督と主演のアナマリア・ヴァルトロメイが来日しました。

本作は、子どもの頃に写真家である実母に撮られたヌード写真集「エヴァ(初版タイトルは“鏡の神殿”)」を世に出され、さらに最年少でPLAYBOYに載った少女としてセンセーショナルを巻き起こした、エヴァ・イオネスコ監督の少女時代の実体験を、写真集の発売から34年経った2011年にエヴァ・イオネスコ監督自らが映画化した作品。これだけ聞くとかなりスキャンダラスなので、観る前では本作がどういう内容なのかいろいろな憶測をされるかも知れませんが、映画を観ると少女時代に監督が心に抱いていた苦悩や葛藤がひしひしと伝わってきます。

映画『ヴィオレッタ』アナマリア・ヴァルトロメイそんなエヴァ監督の少女時代となるヴィオレッタを演じたアナマリア・ヴァルトロメイは「私にとっては1作目となる映画だし難しい役でしたが、実際撮影中はそこまでわからなかったのでそれほど難しいと感じていませんでした。でもこうして一緒に映画を作らせて頂いたことは喜びに感じています」と当時を振り返りました。撮影当時は12歳だったアナマリアは現在15歳。見た目はすっかりお姉さんになっていましたが終始にこやかで本当にかわいらしい女優さんでした。むしろ12歳ながらに妖艶さを漂わせていた劇中で観る彼女の方が大人びて見えたくらいです。だからこそ、スクリーンで観る女優としての彼女と、一人の少女として目の前にいる彼女のギャップがすごくて、これが女優さんとしての才能、力量なんだなと改めて実感しました。将来がすごく楽しみです。

そして、本作で描かれている母と娘の愛憎劇について聞かれた監督は「母親が娘のことを所有物のようにしている歪んだ愛情を描いています。それに耐えられなくなった娘が自分の力で人生を変えていきます。ヌードに関しては想像できるシーンはありますが、実際にはヌードのシーンは出てきません」と説明。司会者から「冷静な視点で描かれていたように思いますが」と言われると、「そんなに冷静でもなかったですよ(笑)。感傷的で爆発しそうなものも潜んでいたと思います」と心境を明かしました。既に公開されたいろいろな国での観客の反応については、「プレスの批評などを見る限りでは、この作品で私が謳いたかったことが理解されたと思っています。どこの国でも検閲の問題はありませんでした。私はこの映画は理性やモラルの問題を提起していると思うので、日本で検閲の問題があるというのを聞いて驚きました」とコメント。日本ではR指定を越える表現が描かれているとされ「区分適応外」という判定が一度出たそうですが、配給会社が映倫に再審査を求めていて、偶然にもこのイベントの日に再審査の結果が出たと映画『ヴィオレッタ』エヴァ・イオネスコ監督いうことで、その場で書面の内容が発表されました。「児童ポルノを称賛するかのような母親の行為に対して、娘が強く反発して自立していくという、児童ポルノ自体に否定的な描かれ方がされている。本作品を区分適応外として公開の道を事実上閉ざすことは表現の場をできるだけ確保するという当委員会の使命からも相当でなく、区分適応外と判断することはできない。よって区分適応外を外す」という判決が下ったとのことで、同時にR-15というレイティングも発表され、修正の必要は一切なしということが伝えられると、監督は「良かったです」とほっとした様子でした。

監督が子どもの頃に写真集が出版されたときにも児童ポルノかアートかという議論が飛び交ったようですが、監督が体験したことをそのまま映画にするとなると同じことが起こってしまうのではと思われる方もいるかも知れません。でも観て頂けるとわかりますが、そういう表現は一切なく、心理描写を軸として描かれた一人の少女の成長物語であり、親子の愛憎劇となっています。そして監督は「今回いろんなプレスの方もいらっしゃると思いますが、この映画のプロモーションに関して、私が母親に小さい頃に撮られた写真とこの映画を一緒にしないで欲しいと思います。それだけはお願いしたいと思います」と語りましたが、宣伝的に話題にされそうな偏った情報発信をするのではなく、ちゃんと映画本来の内容を正しく伝える義務が私たちマスコミにあることも改めて自覚させられたイベントでした。子どもから大人へと成長していく過程で自分の意志とは裏腹に大人にさせられていく少女の繊細な心情を見事に描いた本作。親子の愛情の深さ、そしてそれゆえの憎しみと反発、いろいろなことを感じ考えさせられる内容の作品となっていますので、ぜひ多くの方に観て欲しいです。

映画『ヴィオレッタ』アナマリア・ヴァルトロメイ『ヴィオレッタ』R-15

2014年5月10日より全国公開

配給:アンプラグド

http://violetta-movie.com/

© Les Productions Bagheera, France 2 Cinéma, Love Streams agnes b. productions

トーキョー女子映画部での紹介記事

辛口?甘口?映画批評&デート向き映画判定

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