映画『チョコレートドーナツ』来日懇親会&会見、トラヴィス・ファイン監督、アイザック・レイヴァ、ジャスティン・ヘレラ(アイザック・レイヴァの母)
2014年5月24日、日本公開から既に1カ月以上経っている現在もなお大ヒットが続いている状況を受けて、監督のトラヴィス・ファインと、主演の1人マルコ役を演じたアイザック・レイヴァ、アイザックの母ジャスティン・ヘレラが来日しました。この会見は「ダウン症のある人たちの夢を叶えるためには?」というテーマでダウン症のご本人やそのご家族も参加して行われ、3人はマスコミ、一般の方からの質問にたくさん答えてくれました。
まず始めの質問で俳優になりたいと思ったきっかけとなった映画を聞かれたアイザックは「今はパフォーミング・アーツの学校に通っていて、それが本作に出るきっかけを生んでくれたんですが、実は子どもの頃から役者になりたいと思っていました。きっかけはディズニー・チャンネルで、あの夢のような世界で自分もあんなことがやりたいと思うようになりました」と答えました。それに続けて監督は「アイザックにこの役への起用を伝えたとき、彼が泣き始めてしまって、“自分の人生の夢が叶いました”と言ってくれました。彼が本当に長いあいだ抱えていた夢が叶う瞬間を見ることができたことは僕にとってもすごく感動的でした」と当時の様子を語ってくれました。次にアラン・カミングの起用について質問を受けた監督は、「他の役者さんも考えましたが、彼はとても才能があり、シリアスなドラマ、コメディ、歌やダンス、全てこなすことができる。それ以外の面でも、彼はゲイであることを公言し、ゲイの権利や平等を求める長年の活動が認められて、母国の英国からはナイトの称号(爵位)を与えられています。ただ役を演じるだけでなく、そういった経験や、平等や権利を求める活動をしてきた側面を持っているからこそ起用したんです」とキャスティングの背景を明かしました。
次に映画の現場は長時間の仕事になるのでアイザックが続けられるようにどのように支えたのかというお母さんへの質問もありました。「このオーディションを受けて本当に配役されるかも知れないと感じたときに息子と会話をしました。映画は長時間にわたる撮影で楽なことばかりではないと説明したんです。彼の場合長時間立つことが辛いのでそういうことも含めて大丈夫なのか聞いたら、彼は“準備はできている、やります”と言いました。実際撮影が始まってからも一度も文句を言うことはありませんでした。母の私から見ても疲れきっている様子がわかっていましたが、頑張り続けた彼を誇らしく思います」とジャスティン。次いで監督は「こういうタイプの役や子役の方とお仕事をするときは、役者さん自身だけでなく、その親御さんも一緒にオーディションをする必要があります。ジャスティンは素晴らしい女性であり母でありとてもプロフェッショナルでした。実はクリスマスのシーンをホームムービー用に8ミリで撮ったことがあったんですが、カメラがうまく作動せず撮り直すことになったとき、ベテランの役者さんたちが“またやらなきゃいけないんですか”という空気のなか、アイザックが“またクリスマスなの!?”と明るく言ってくれて、彼の喜びが他の皆に感染したようでした。ベテランの役者さんたちも自分たちが愛する演技というのはこういうことなんだと、“疲れた、帰りたい”という気持ちではなくもっと前向きに捉えなければいけないんだと、アイザックによって初心を思い出させてもらったようです」と撮影時のエピソードも披露してくれました。
あと、マルコはチョコレートドーナツが好きという設定でしたがアイザックはペパロニのピザが好きで、好きな俳優はザック・エフロンとテイラー・ロトナーということも話してくれて、日本人の皆はあまり知らないかなと思ったアイザックは、「皆がわかる芸能人を言えなくてごめんね」という優しい言葉もかけてくれました。今回は3人とも初来日とのことで、一番驚いたのは人の多さだったそう。この会見の前のイベントでダンスに参加したときに日本の飲料ポカリスエットを初めて飲んで、英語で汗(スエット)という言葉が入っていてちょっと怖かったそうですが美味しかったと言っていました。会見ではアイザックの会場の皆に対する優しさを感じられ、彼を支えるジャスティンや、彼を起用したことでいろいろなことに感動を得たという監督のお話からも、この作品に込められた愛と人の温かさを感じられた会見でした。
『チョコレートドーナツ』
2014年4月19日より全国公開
配給:ビターズ・エンド
© 2012 FAMLEEFILM, LLC
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