映画『イヴ・サンローラン』来日サロン会見、ピエール・ニネ
2014年8月8日、本作でイヴ・サンローラン役を演じたピエール・ニネが来日し、サロン会見が行われました。スラッと伸びた足に、小さい顔がすごく印象的で、若くも大人っぽくも見える表情(2014年、現在25歳)は、つい目が離せなくなるほどの美形男子でした(笑)。大勢の記者からたくさんの質問が出るも、しっかりと話す姿もまた好印象でした。
まずイヴ・サンローラン役を演じることになった経緯について、「僕にとって思いもよらないオファーでした。パリで舞台のリハーサルをしているときに、監督から電話がかかってきて、“一緒にビールを飲まないか”と誘われました。そのときに監督が“歴史に残るラブストーリーで、クリエーションに関するストーリーを書き上げたので君にも出て欲しい”と言ってくださり、すぐにオーケーをして“ところで僕は誰を演じるの?”と聞いたら、答えは“イヴ・サンローラン”でした。僕のような若い俳優にこれだけ伝説的で複雑な人物の役柄がオファーされるということは、なかなかないことですし、僕はすごくチャンスに恵まれ、幸運だと思いました」と話しました。
続いて、役作りについては「撮影に入る5ヶ月半前から準備しました。まずはさまざまなイヴ・サンローランの映像を観て、観察しました。それから彼の声の研究もしました。イヴ・サンローランの声をiPodに入れて、それを毎日3〜4時間聞きました。そうすることで、彼独特のもろさが表れた話し方を吸収するようにしました。それから3人のコーチに付いてもらいました。1人目は、実際にイヴ・サンローランと15年間一緒に仕事をされたデッサン職人の方です。この方から学ぶことで、映画のなかではスタントを使わずに僕自身がデッサンを描けるようにしました。2人目はフィジカルコーチで、この方からは純粋に体の使い方を教えてもらったり、時が立つに連れてイヴ・サンローランのシルエットが変わるので、その体をどう作っていくのかをコーチしてもらいました。3人目は、ファッションの専門家です。この方からは、ファッション業界のこと全般を学びました。ファッション業界というのは独特の専門用語が多い世界なので、まずはそれを習いました。あとは布の使い方、選び方、触り方、モデルの体にどう巻き付けるのかなど、実際にクチュールのアトリエで行われている仕事の仕方を学びました。これは1週間に2〜3回コーチのところへ通って全てを吸収し、撮影現場に入ってからは身に染み込んだものを即興で使える状態にまで持っていきました」と語りました。役作りと言えば、肉体改造の話はよく聞きますが、デッサンの描き方や布の扱い方などを体が自然とできるまでやり込むとはすごい。映画を観る際は、ぜひ彼の動作一つ一つに注目して観ましょう。
また、イヴ・サンローランとの共通点について尋ねられると、「僕も一生懸命に彼との共通点を探しました。これだけ伝説的である意味業界の聖人のような人物を演じるには、何か自分と共通点を見つけて、“結局のところ彼も人間なんだ。彼を演じるのは可能なんだ”と、彼を攻略したいと思っていました。でも結果としては、すごく自分とは違う人物だということがわかりました。だからこそ膨大な準備が必要だったんです。やはりイヴ・サンローランというのは、22歳にして躁うつ病と診断され、非常に孤独な人物で、僕自身とはすごく違います。でも唯一、共通する点は、仕事における早熟性だと思います。彼も若くしてファッションに情熱を覚えてそれを職業にしたと思うのですが、僕も若いときに演劇に興味を持って俳優になることを決めたので、若くして道が定まったという点においては、唯一共通点と言えるかも知れません」とコメントしました。
最後にファンに向けて「ぜひこの映画を観てみてください。イヴ・サンローランという人物が何もないところから、いかに自分の帝国を築き上げたかが見どころだと思います。そして彼の知られざるダークな面も描かれています。でもポジティブなメッセージとして言えるのは、イヴ・サンローランという人は自分の苦しみや孤独をクリエーションに昇華させることができたということが素晴らしいと思います」と話しました。
ピエール・ニネは、俳優として今後は「毎回顔を変えていけるカメレオンのような俳優になりたい」とも話していました。また俳優の仕事以外に、脚本を執筆したり、フランスのテレビシリーズでは監督も務めるなど、かなりマルチな才能を発揮しているようです。俳優としてはもちろん、そのほかのところでも今後の活躍ぶりが楽しみです。でもまずは映画『イヴ・サンローラン』で、彼の努力の成果をチェックしましょう!
『イヴ・サンローラン』
2014年9月6日より全国公開
配給:KADOKAWA
トーキョー女子映画部での紹介記事
辛口?甘口?映画批評&デート向き映画判定
http://www.tst-movie.jp/hh01_a/hh01_a_YvesSaintLaurent.html
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甘くてかわいい表情の裏に、ストイックで完璧な役作りアリ!『イヴ・サンローラン』ピエール・ニネ はコメントを受け付けていません