映画『悼む人』完成報告会見、高良健吾、石田ゆり子、貫地谷しほり、椎名桔平、大竹しのぶ、堤幸彦監督、天童荒太(原作者)
2014年12月1日、本作の完成報告会見が行われました。今回の会見には、キャストと監督に加え原作者も登壇しました。本作で苦労した点について監督は「特別な苦労はありませんでしたが、今日はどんなものが撮れるだろう、どんな演技を見られるだろうという期待感を持ち続けることができ、この作品と正面から向き合うという体験できたので、とても清々しく撮影できました。でもどう編集するのか相当悩んで、何パターンも作ってはもう一回ということを何度も繰り返しました。でも今は納得できるものが出来上がったので、皆さんに早く観て頂きたいと思っています」と話しました。映画を観た感想を原作者の天童荒太は「何社もオファーがあったのですが、堤監督に一番熱い思いを感じ、僕も協力したいと思いました。何度か撮影現場を見学させて頂いて、その都度監督に撮ったものを見せて頂き、また普通ならあまりないはずですが編集時にもできる度に毎回呼んでくださいました。意見を言えば直してくださり、共に作り上げるような感覚になれました。すでに映画を7〜8回観ているんですが、キャストの方々の素晴らしい演技と映画の美しい情景にその都度涙が出ました」と語りました。
高良健吾は本作への思いについて尋ねられると、「来年でデビューして10周年となりますが、10代後半から20代の前半は、正直役者をしていて毎日楽しくないと思っていました。たまたまだったとは思うのですが、当時は殺人や自殺をする役柄も多く、どうして人を殺す気持ちとか、自分から死ぬ人の気持ちを考えないといけないんだろうって思っていました。でも今回『悼む人』で静人役をやらせて頂くときに、今回は死者を悼む役ということで、今まで自分がやってきた役が全部この役に繋がるように思えました。10代後半や20代前半のときの自分は、役者の仕事のせいで本来考えなくても良いことを考えないといけないと思っていましたが、その経験があったからこそ、今回静人役をやって死と向き合えたんだと思います」とコメントしました。普通に生活しているだけでは、体感できない感情と向き合わなければいけないという意味では、やはり役者って大変な仕事なんですね。でもそんな若い頃の経験があったからこそ、すべて今に繋がったと考える高良健吾にかっこ良さを感じました。
本作のタイトルにもある“悼む”ということについて尋ねられると、石田ゆり子は「悼むということについて考えたことは、この作品に出会うまではありませんでした。例えば道にふと供えられているお花がいつも気になっていて、でもそれを見て見ぬふりをしてただ通り過ぎることしかできなくて、そのことでいつも胸を痛めていました。悼むというのはすごく難しいことだと思うのですが、私はふとその人が生きていたことを思い出して、今はこの世にいないけど生きていたということに気持ちを添えるとか、ふと祈るとかそういうことだと思います」と語りました。同様の質問に大竹しのぶは「誰かが亡くなるとまず悲しんだり苦しんだりすることで精一杯で、悼むということをするまでに時間がかかってしまいます。悼むことができて初めて生きることに繋がる、それが悼むってことだと思います。今までも父や友人などいろいろな人を悼んできた経験はありますが、その人たちに向かって、私たちはここで生きているよって思うことが心からの悼みだと思います」と話しました。映画のなかでは主人公の静人がいろいろな方の死と向き合い、悼む様子が描かれているようですが、どんな風にして死を悼むのか気になります。
今回の会見では、“悼む”ということに話題が集中し、キャストはそれぞれ頭を悩ませながら真剣な表情を見せている場面が多かったです。でも時々、椎名桔平が“悼む”というテーマに上手く絡めて自身の亡くなった愛犬に対する思いを楽しく披露したり、「50歳になって初老になりました」など発言し、場を明るく和ませている様子が印象的でした。
会見でも皆さん話していた通り、悼むということは本当に難しいテーマですが、本作をきっかけに死や悼むことについて考えられたらと思いました。映画の公開は2月14日です。どんな内容なのかはぜひご覧ください。
『悼む人』
2015年2月14日より全国公開
配給:東映
©2015「悼む人」製作委員会/天童荒太
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