『沈黙-サイレンス-』来日記者会見、マーティン・スコセッシ監督、窪塚洋介、浅野忠信
キリスト教文学の傑作と称される遠藤周作の小説「沈黙」(新潮文庫)を、名匠マーティン・スコセッシが映画化した『沈黙-サイレンス-』の記者会見が2016年10月19日に都内で行われ、スコセッシ監督とキチジローを演じた窪塚洋介、通辞役の浅野忠信が揃って記者会見に出席しました。会見前には、世界初出しとなる約15分のフッテージ映像の上映も行われ、キャスト陣の迫力ある演技と壮大な映像表現に、集まった取材陣からは拍手が沸き起こりました。
江戸時代初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるため、日本にたどり着いたポルトガル人宣教師の目に映る世界を描く本作。スコセッシ監督は、原作と出会ったときの様子を「初めて読んだのは1988年。黒澤明監督の『夢』に出演するために日本に滞在したときに読了し、精神世界を追求する上で大事な本になるだろうと感じた」と振り返りました。続けて、「映画化のテーマは“文化の違い”と“文化の衝突”。信じるとは何か、という深い問いに対して当初はどうアプローチすべきかがわからなかった。数年後に脚本を書き始め、2006年に執筆が終わったが、20年以上という歳月のなかで自分も夫となり父となり、この作品と一緒に成長した。権利問題が持ち上がり、マネージャーに本作を断念するよう言われたこともあったが、ようやく映画化に漕ぎ着けた」と万感の表情を浮かべました。
本作のキャストには、アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバーらに加え、日本から窪塚と浅野のほか、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシといった実力派が顔を揃えます。なかでも難航したというキチジローと通辞のキャスティングについてスコセッシ監督は、「特別な役であるキチジローには新鮮な解釈を与えたかった。役者が見つからず撮影に入る予定が当初より遅れて困っていたとき、窪塚さんがキチジローを演じたビデオを渡された。彼は役を心底理解して、力強く素直に演じていると思った。2014年に東京で窪塚さんに会い、目の前でキチジローを演じてもらったとき、“この人だ!”と確信して、出演してもらったんだ。浅野さんは出演作の『モンゴル』『アカルイミライ』『殺し屋1』などを過去に観ていた。本人はキチジロー役を希望していたが、通辞役を演じてもらった。目論み通り、彼はパーフェクトに演じてくれたよ」と述懐しました。
そんな監督に対し窪塚は、「夢のような経験と時間を頂きました。クランクイン初日は、薄汚れた酒場での撮影でしたが、監督はきれいなスーツを着ているのに、床に自分の体を投げ出して演出されて。“スーツが汚れちゃう!”と思いました。すごく情熱を感じて、“メラメラな人なんだな”と思いました」と独特の表現で敬意を表し、続けて浅野が「役を頂いたときはびっくりしましたが、監督は俳優の奥にあるものに期待してくれている感じが常にあって、撮影期間は僕にとっての宝になりました」と話すと、それを聞いたスコセッシ監督は「ありがとう、ありがとう」と満面の笑みを浮かべ、「言葉の壁はあっても、この2人には通じ合うものを感じた」と感慨深げに語りました。
14歳のときにテレビで溝口健二監督の『雨月物語』を観て以来、多くの日本映画を鑑賞し、影響されてきたというスコセッシ監督。28年という歳月をかけ、日本文学界の至宝ともいうべき原作を、日米最高のキャストとスタッフでどう描ききるのでしょうか。『沈黙-サイレンス-』は2017年1月21日(土)より全国公開です!乞うご期待!
『沈黙-サイレンス-』
2017年1月21日より全国公開
公式サイト
配給:KADOKAWA
Photo Credit Kerry Brown
©2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.
↓トーキョー女子映画部での紹介記事
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「監督はメラメラな人!」映画化に28年かけたマーティン・スコセッシ監督を窪塚洋介と浅野忠信が絶賛!『沈黙-サイレンス-』 はコメントを受け付けていません