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04 9月

スピルバーグからもアドバイスを受けた『ダンケルク』クリストファー・ノーラン監督来日記者会見

Posted in 未分類 on 04.09.17 by Merlyn

映画『ダンケルク』来日記者会見、クリストファー・ノーラン監督/岩田剛典(ゲスト)映画『ダンケルク』来日記者会見、クリストファー・ノーラン監督/岩田剛典(ゲスト)

 

“ダークナイト”シリーズや『インセプション』『インターステラー』など独創的な世界観の作品で、多くのファンを魅了してきたクリストファー・ノーラン。そんなノーラン監督が、今回手掛けたのは、史実の映画化でした。まるで戦場に取り残されたような没入感が味わえる『ダンケルク』。7年ぶりに来日を果たした監督がこの作品についての思いを語りました。
最初の質問では、「今回は史実の映画化でとても臨場感がありましたが、どんな思いを込めましたか?」と聞かれると、「史実に基づく映画を作るのは初めてなので、徹底的にリサーチしました。まず最初にしたことは実際に当時ダンケルクにいた方の証言をいろいろと調べていきました。緊迫感溢れる映画、お客様に当事者であったかのような、主観的に撮った映画を作りたかったので、徹底的に調べました。また歴史学者のジョシュア・レヴィンさんの力も借りました。彼が帰還兵達の証言を集め、彼に歴史アドバイザーとして今回の作品を手伝ってもらいました。この作品を企画していくなかで、ジョシュアさんにご存命のダンケルク体験者を紹介してもらって、幸いにも彼等にインタビューをし、あの浜辺で何が起きたのか、直接お話を聞くことができました。ご存命の方は御年90代の方々で、映画が完成するまでに残念ながらお亡くなりになった方もいますが、お会いできて光栄でした。実際の体験をお聞きすることができたので、こちらもとても心を揺さぶられました。彼等の実体験談がこの作品に反映されているわけですが、脚本を書いていく上でのアプローチは彼等の体験談を架空の人物に語ってもらうという手法を取りました」と作品作りの背景を明かしました。
映画『ダンケルク』来日記者会見、クリストファー・ノーラン監督次に「戦争映画によくある残虐なシーンがあまりなかったが、それはどうしてか?」と問われると、ノーラン監督は「今回なぜ血を見せたりしなかったのかというのは、ダンケルクのお話は他の戦争のお話とは性質が違うからなんです。これは戦闘ではなく、撤退作戦なんです。逃げなくてはいけないので、語り口としてはサスペンススリラーを描く手法を取りました。従来の戦争映画は、戦争がいかに恐ろしいかというホラーとして語る、つまり目を背けたくなるようなものだと思うんですが、この作品は目を背けたくなるどころか、目が釘付けになってしまうというアプローチを取っています。ですので、この作品の緊張感は他の戦争映画とは違うものだと思います。敵の姿も見せていません。何かジリジリと寄ってくる敵の存在を感じさせる手法でサスペンスフルに撮っています。そして何よりも時間との競争である部分もこの作品をサスペンスフルなものにしています」と語りました。
そして、大ヒット作を多く世に送り出している監督に「あなたはオリジナリティを追求しながら、興行的にも良い成績を収めるという希有な事を成し遂げています。振り返ると(そういう点で共通する)スティーブン・スピルバーグや、ジョージ・ルーカスのような監督がいて、あなた自身も“スター・ウォーズ”が好きとおっしゃっていますが、フィルムメーカーとして彼等から影響を受けている事があったら教えてください」という質問が出ました。するとノーラン監督は「スピルバーグ監督やジョージ・ルーカスの影響を確かに受けています。例えば“スター・ウォーズ”は7歳の時に観たのですが、決定的な出来事でした。後々映画を撮ることになる人物、一人の人間として非常に大きな影響を受けました。またスピルバーグさんは今回ご自身が持っていた『プライベート・ライアン』の35㎜のプリントを貸してくださいました。私はそれをスタッフのためにも上映したんですが、とても参考になりましたし、今観ても名作だなと思いました。人にショックを与える力強さは変わらないなと思いました。つまりこの作品と競争するわけにはいかないという認識に至ったわけですが、スピルバーグ監督が『プライベート・ライアン』で成し遂げた緊張感というものは、私達が『ダンケルク』で狙っている緊張感とはやはり異質のものだというのも再認識しました。またスピルバーグ監督からは、水上で撮影する時はどうしたら良いのか等、良いアドバイスをたくさん頂きました。実際にお会いすることができた監督、ジョージ・ルーカスさん、スピルバーグさんなどの影響を受けたり、助けを頂いているのみならず、もう少し遡れば、アルフレッド・ヒッチコック監督やデヴィッド・リーン監督の影響も受けています。監督として意識するのが重要だと思うのは、今まで監督達がどういった事をどのようにして成し遂げたのかを学ぶということです。そういう事を参考に自分の映画作りをしていくということが大事だと思います」と丁寧に答えました。
さらに「世界中で今いろいろな対立が強まっているなか、敵を倒すのではなく、逃げるという題材を選んだところに監督の思いを感じるのですが」という問いが出ました。「映画の作り手として、今世の中で起きている事の影響を受けずにはいられないので、多少映画のなかに反映している部分はあるかも知れません。でも故意にそうしているわけではありません。今世の中で起きている事をモチーフを使って描き、あるいは説教をするつもりは毛頭ございません。ダンケルクでの出来事が今日の世の中で語っているとすれば、個人として達成できる事、個人としての業績をもてはやす傾向にありますが、そうではなく“集団で皆が協力しあってできる事の偉大さ、個人では成し得ない事を皆で力を合わせればできる”というメッセージがあると思います。このダンケルクの物語は英国人であれば誰でも聞いていますが、皆で力を合わせればどんな逆境も乗り越えられると思い出させてくれる話なんですね。でもイギリスのみならず、どんな文化圏でも皆さんに訴えかけ、訴求でき、共感して頂けるものだと思います」と熱い思いを話しました。

映画『ダンケルク』来日記者会見、岩田剛典(ゲスト)

クリストファー・ノーラン監督から、サイン入り脚本のプレゼント!

そしてここでクリストファー・ノーラン監督の大ファン代表として、岩田剛典(EXILE/三代目J Soul Brothers)が登壇しました。岩田はノーラン監督を目の前にして「感激です。自分は表現者である前に一人のノーラン監督ファンでしかないので、今日はホンモノのノーラン監督にお会いできて光栄です」と嬉しさいっぱいの表情。本作を観た感想は「今までのノーラン作品とテイストも違いますし、史実をもとに作られたということで、良い意味でノーランぽくないなと思ったんですが、本編が始まったらすぐに5秒くらいで戦場に連れて行かれた感覚でした。自分が戦場にいるかのような、VR体験みたいな疑似体験をさせてもらえる、映画ならではの表現にも最後までこだわってらっしゃって。あとは音もチクタクチクタク鳴っているのも印象的でラストは…。あ!ネタバレになりそう。なかなか戦争映画というと、食わず嫌いな方もいると思いますが、ものすごくエンタテインメント作品でもあり、本当にドキドキハラハラさせられる作品としてはテーマ性を抜きにしても楽しめます。登場人物一人ひとりにもストーリーがあって、当時の人間の心情だけど現代の生活でも実感、共感できる作品でした」と絶賛。岩田を含め若い人にも響くという点についてノーラン監督は「願わくばどんな年代の観客も楽しんで頂ける作品であればと思いますが、今おっしゃったように特に若い世代に訴えかけるような映画になっていればと思います。キャスティングをする上でも、例えばハリウッドによくありがちな40代の俳優に若い兵士役をやってもらうということはしたくなかったんですね。実際に戦場で戦っていたのは、18、19、20歳そこそこの兵士でしたから、今回もいろんな若者を見てキャスティングをしました。映画『ダンケルク』来日記者会見、クリストファー・ノーラン監督/岩田剛典(ゲスト)ドラマスクールに行ってスカウトしたり、エージェントがまだついていない若い俳優さんを見たりしました。映画初出演という方にも出て頂いてます。というのは、これは非常に大事なポイントで、戦場の現実というものを見せていかなければいけないと思ったからです。若い人々も共感できるよう作品になっていればと思います。自分の年齢の人達がこういう現状を突きつけられたんだ、こういう事をやっていたんだと見せることになるので、共感して頂ければと思います」と答えました。

映画作りではいろいろな段階を楽しんでいるというノーラン監督ですが、一番楽しいのは音のミクシング作業だそうです。「数ヶ月がかりでやっていくのですが、その頃には編集も終わっていて、画としては完成しているんです。サウンドミクシングでは、より良い作品にするために、何千という音、効果音、音楽を繋ぎ合わせます。非常に充実感のある作業です」と話しましたが、そのこだわりはノーラン監督作を観れば一目瞭然。今作『ダンケルク』も音へのこだわりがすごく伝わってくる出来映えになっているので、ぜひ音響の良い環境で本作を観て頂ければと思います。新しいジャンルに挑戦したクリストファー・ノーラン監督最新作、必見ですよ。

 

 

来日記者会見:2017年8月24日取材 TEXT by Myson

 

映画『ダンケルク』ハリー・スタイルズ/フィオン・ホワイトヘッド/アナイリン・バーナード『ダンケルク』
2017年9月9日より全国公開
公式サイト
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

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