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06 4月

ダイアン・クルーガー、初めての母国語ドイツ語での演技、ヘビーな役柄について語る『女は二度決断する』

Posted in 未分類 on 06.04.18 by Merlyn

映画『女は二度決断する』来日記者会見、ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ファティ・アキン監督映画『女は二度決断する』来日記者会見、ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ファティ・アキン監督

第75回ゴールデングローブ賞外国語映画賞、第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞(ダイアン・クルーガー)を受賞した、ファティ・アキン監督最新作『女は二度決断する』のPRで、ファティ・アキン監督、ダイアン・クルーガー、デニス・モシットが来日し、記者会見を行いました。ダイアン・クルーガーの衣装がとても独特で、ロックなのにエレガントな雰囲気があり、さすがだなと思いました。品のある美しさを持つ彼女だからこそ、着こなせる衣装ですよね。

映画『女は二度決断する』来日記者会見、ファティ・アキン監督本作は、ドイツのハンブルグで、トルコ移民の両親のもとに生まれたファティ・アキン監督が、ドイツで2000~2007年の間に起きた、ネオナチグループによる連続テロ事件に触発され作られた映画です。本作で主演のダイアンは、夫と息子をテロで亡くした女性を演じていますが、役作りについて聞かれると、「非常にいろいろな難しさのある役だったので、最初は“果たして私はこの役をこなせるのだろうか”という不安が多少ありました。私自身、子どもがいないので、そういった心配もありました。また、映画の最後で彼女はある決断を下すわけですが、その決断に向けてどのように芝居をしていこうか、そしてその最後のワンシーンを信憑性を持って演じることができるかといった不安がありました。撮影に入る前、一人で数ヶ月間、いろいろな役作りに時間を投じました。重要な要素となったのが、同じような境遇にいる遺族の方々とお会いすることでした。筆舌に尽くしがたい悲痛、苦悩を抱えている方々のお話を聞いて、次第に共感を覚えるようになりました。これが大きかったです。あとは監督とキャラクターについて話し合ったり、撮影に入る前にハンブルクでいろいろなところを訪れてみたり、カティヤは入れ墨をしているので、いろいろなタトゥーも試してみました。最終的に一番力になってくれたのが監督で、私は100%監督を信頼して、監督についていくという気持ちで臨むことができました」と、振り返りました。

次に、ドイツ語のタイトル“どこからともなく”に込めた思いや意味を聞かれたファティ・アキン監督は、「邦題は何て言うの?」と逆に質問。通訳さんがまず日本語で、『女は二度決断する』と伝えると、即座に「良いね!」と反応し、会場を沸かせました。その後「誰のアイディアなの?」と映画会社の方に確認し、「このポスターを作ったデザイナーのアイデアです」と回答を得て、ご本人が会場にいると知り、監督は大きな拍手を贈りました。映画のテンションとは異なり、とても楽しい方だなと思いました(笑)。そして、質問への回答で「ドイツ語のタイトルの音感がとても気に入ってるんですね。英語で直訳しますと“Out of nowhere”で、これを日本語にしますと、“突然どこからともなく”という意味を持っています。僕は脚本家でもありますが、映画というものはそもそも複数のアートのフォルムを一つにしたものであって、翻訳もアートの一つだと思うんですね。ドイツ語の音感というのは、戦車のパンツァーのように前に進んでいく強さ、ドイツ的なものを感じて好きだったんですね。でも、それを英語にしてしまうと、10代の人が書いたポエム、詩みたいになってしまって、違うなあと思ったりもしました。今回作曲をクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジというバンドのメンバー、ジョシュ・オムさんが手がけてくださっていて、彼の楽曲にもとても影響を受けて作った映画で、このバンドの既存曲の中に“イン・ザ・フェイド”という今回の英語タイトルの曲があります。その意味は誰も知らなくて、どういうことかわからないけれど、何かぴったりきた。そして主人公カティヤはまさに焦点が合わなくなってきていて、自分という人間の焦点もぼやけてきている。フェードアウトする寸前、その空間に彼女がおり、消えつつある、そういう意味に捉えて、すごく良いと思ったので、英語タイトルとして選びました。ですから、いろいろなレベルでいろいろな意味合いを感じていただければと思います。トルコ語のタイトルを英語にしても、ちょっと英語のタイトルとしては良くないのですが、トルコ語にするとバラードのような、楽曲のような質感があるタイトルなんです」と、あらゆる言語のタイトルを紹介しながら、そこに込めた意味を明かしてくれました。

映画『女は二度決断する』来日記者会見、ダイアン・クルーガーそして、今回母国語ドイツ語での演技に初挑戦し、ドイツで撮影したダイアンは、「当然ながら、ドイツ語で演じるのと英語やフランス語で演じるのは違います。その違いは言語ゆえの違いというよりも、もう少し違うところにあるのかなと感じました。ドイツを離れて25年経つわけですが、久々に帰国して、長期間の撮影で実際そこで生活をしてみたわけですね。元々ドイツ出身なので、文化だとか、それぞれのキャラクターの背景だとか、キャラクター同士のやりとりも手に取るようにわかりました。そういうところは、例えばアメリカで映画を撮る時とは全然違います。どんなにあがいても、オハイオ育ちの女性やフロリダ育ちの女性の気持ちは、どうしてもわかるのに限界があるわけですからね。今回、ドイツでドイツ人の女性を演じた時の手応えといいますか、そこにいる空気や背景は、手に取るようにわかる感じは確かにありました」と語りました。

最後に、この映画は実際の事件からインスピレーションを受けたという点で、主人公の最後の決断にはどういう思いを込めたのか、それをダイアンはどのような気持ちで演じたのかという質問が出ました。監督は「この物語は、ある意味復讐というものを扱っている。そうすると、やはり物語の進み方はそんなにたくさん選択肢がなくて、主人公がいて敵対するものがいて、その中で最終的な結論があるということになる。脚本を書いている時は、チェスのようだと思い、このアイデアを思いついた時は、観客も予測していないような一手だと思いました。そのエンディングが象徴するところとは別に、自分の気持ちの上でこの物語にはこのエンディングが正しいのだと、最初からずっと感じていたんです。そして、実はこのエンディングを思いついたのは、脚本を執筆するかなり前、長めのあらすじを考えている時だったんですね。早い段階でこのアイデアがあったことは、とても良かったと思います。現場で、あるいは現場でなくてもダイアンさんと話をしている時に、カティヤという女性の行動を考えて、最終的にどうなるか、彼女が取る選択がわかっているからこそ、“彼女だったらこうする”“こうしない”という会話ができました。彼女がとる最後の選択についてはネタバレになりたくないので、まずは4月14日に劇場公開してから観客の皆さんがどう思うか、先に知りたいです」と答えました。ちなみに本作は順撮りをしたそうです。続いてダイアンは「どうやってどのようにして、カティヤがあの決断に到達していくのか、それをどう演じていくのか、最初はわからなくてどうしようかと思いましたが、最終的には彼女を理解できるようになりました。これが最終手段なのである、という彼女の気持ちがすごくわかるようになりました」と話しました。

映画『女は二度決断する』来日記者会見、ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ファティ・アキン監督こうして聞くと、どんな決断だったか、皆さんとても気になりますよね!主人公の身になるととても難しい決断だと思いましたが、私はこのラストにすごく納得しました。ぜひ皆さんもご自身の目で確かめてください。

映画『女は二度決断する』来日記者会見:2018年3月23日取材 TEXT by Myson

 

映画『女は二度決断する』ダイアン・クルーガー『女は二度決断する』
2018年4月14日より全国劇場公開
公式サイト
©2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions,
Pathé Production,corazón international GmbH & Co. KG,Warner Bros. Entertainment GmbH

 

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