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05 11月

原作者も度肝を抜かれた!監督が挑戦した映画オリジナルの部分とは?『紙の月』

Posted in 未分類 on 05.11.14 by Merlyn

映画『紙の月』完成報告会見、宮沢りえ、大島優子、小林聡美、角田光代(原作者)、吉田大八監督

2014年8月21日、本作の完成報告会見が行われました。普通の主婦が横領に手を染めていくという難しい役柄を演じた宮沢りえは、「会見が始まる前にパンフレットを見ていたのですが、改めて映画の主演をさせて頂くのは7年ぶりなんだなと思いました。今回はその7年間に溜めておいたものを本当に出し切れたと思います。台本を頂いたときは、正直すぐにやりたい気持ちにはなれませんでした。衝撃的なシーンもありますし、今まで自分がやったことがない役だったので、時間がちょっとだけ必要でした。でも吉田監督とお仕事をしてみたかったのと、見たことのない自分に出会いたいという思いで、今回の仕事を受けました。できあがった映画で自分の姿を見ると、案の定今までに見たことのない自分の顔があって衝撃でした」と語りました。映画の主演自体は7年ぶりだったようですが、舞台を中心に活動していたそうで、その経験のすべてを今回の映画に託したと話していました。

本作で厳格な先輩社員役を演じた小林聡美は、「普段は親しみやすい庶民的なキャラクターなのですが、台本を読んだときに今回の役柄は厳格ですごく仕事のできる銀行員だったので、取っ付きにくい人に見えるように怖い感じで演じました。そしたら想像以上に怖くなってしまって、自分で観ても怖かったです(笑)」とコメントしました。大島優子は宮沢りえと小林聡美との共演について「監督が宮沢さん、小林さんと常に的確なやり取りをしているのを間近で見ていました。お二人とも監督が言ったことをそれぞれ自分のなかに吸収して、次のテイクで演じていました。大先輩が監督に言われたことを自分のなかできちんと考えて、噛み砕いて表現していく姿を見て、私自身も自分のなかで考えて素直に表現していけば良いんだなと思いました」と話しました。緊張感のある会見のなか、大島優子が周囲に気を遣いながら、コメントをしたり話を振る様子はとても好印象でした。

そして原作者の角田光代は、自身の作品が映画化されたことに関して「自分の作品が映画になるのはいつも嬉しく思います。実際に映画を観ましたが、ものすごい映画でした。度肝を抜かれるというか、私は本当にびっくりしました。小説だとどうしても言い訳を書いてしまいがちなんですが、この映画には言い訳や個人の持つ正義っていうものが全く入っていないんです。そうやって作り上げたことが素晴らしいと思いますし、何一つ良いことが起きていない物語なのに観たあとにすごく爽快な気分になるんです。それが私はすごく不思議な気分でした」と原作とはまた違うおもしろさがあることを語りました。また、映画では原作にはないオリジナルキャラクターが登場していることについて監督は、「原作を読んで、すごく世の中のいろいろなことに対して牙をむいているような感じがしたんです。それを映画で表現しようと思ったときに、小説と同じようにやることも大事ですが、原作に挑戦する姿勢を見せないと失礼だと思いました。それで映画の表現を煮詰めて考えていったときに、小説にはいなかった登場人物を入れるという答えが自然と出てきました」と語りました。どんな物語でも文字で読み進めるのと、映像で観るのとでは違う感覚がすると思っていましたが、やはり作り手としてもいろいろと考えて工夫をしているんですね。

続いて、主人公との共通点について宮沢りえは「彼女に共感できるという方はたぶんいないと思うのですが、あることがきっかけで何かが大きく動き出すということは、どんな方にもあることだと思います。梨花の場合は狂気というタンクをどんどん満タンにして、悪いことに手を染めているのにその手が真っ黒じゃないと感じているんですよね。でも唯一共感できるとしたら、到達点を脇目に見ながらもまだまだ進もうとする貪欲さの部分で、そういうところはもしかしたら自分のなかにもあるような気がします」と話しました。

今回の会見に登壇した宮沢りえ、大島優子、小林聡美は、それぞれ持ち味の違う素敵な女性でしたが、劇中ではまた違った一面が観られます。原作を知っている方も知らない方も楽しめる作品です。ぜひご覧ください!

『紙の月』

2014年11月15日より全国公開

http://kaminotsuki.jp

配給:松竹

© 2014「紙の月」製作委員会

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