映画『ラスト・ナイツ』東京国際映画祭パノラマ部門正式上映舞台挨拶、伊原剛志、紀里谷和明監督
2015年10月28日、東京国際映画祭にて本作の舞台挨拶が行われました。客席から登場した伊原剛志と紀里谷監督は、映画宣伝用に作ったというビジネスカードを観客に配布しながら舞台まで歩きました。伊原剛志は「このカードは、僕と監督、クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマンの全部で4枚集めると、L.A.にご招待です!ただし、クライヴ・オーウェンモーガン・フリーマンのカードは現在作られていません(笑)」と早速、冗談で会場を沸かせました。
本作のビジョンについて監督は「この作品のベースは日本の“忠臣蔵”になっていて、当初は日本を舞台に日本人キャストで作る予定でした。でも、黒澤明監督の『乱』という作品がシェイクスピアの“リア王”を戦国時代に置き換えて作っていたことを思い出し、この作品ではその逆ができるんじゃないかと考えました。そして今回挑戦したもう一つのことは、ありとあらゆる国籍の方と一緒に映画を作るということでした。いろいろな国の方が集まって一つの作品を作ることで、今後の映画づくりの可能性が広がると思ったんです」と話しました。
伊原剛志は、紀里谷監督との仕事について「皆さん紀里谷監督といえば、CGを使っているというイメージですよね。でもこの作品には、ほとんどCGはありません。本当に紀里谷監督が撮ったの?と思うくらい今までのイメージとは違う作品になっています。撮影中は、僕と監督の2人だけが日本人だったのですが、監督が出演者の待機するトレーラーに来て“待たせてすみません。もうすぐ始まりますから”と、一言声をかけて現場へ向かう姿が、僕にはこの映画のなかで戦っている戦士の一人に見えました。世界に出てこんなに多くの国の役者を使える日本人監督は他にいないと思います。紀里谷監督は、今後も世界で活躍する監督だと思っているので、僕もぜひ付いていきたいと思っています」と監督を賞賛しました。それに対し監督は「本当にありがたいお言葉だと思います。僕としては、今回すごく優秀な方達に囲まれたと思っています。監督の力なんて本当に些細なものでして、どれだけ優秀な方達と一緒に仕事をするのかが重要なんです。僕は、映画を自分の子どもだと思っていて、その子どもを多くの方と作り育ててきました。今回は3人目の子ども(本作は『CASSHERN』『GOEMON』に続く3作目)となるのですが、本当に毎日が戦いでした。マイナス20〜30度のなかを、毎日12時間以上撮影し、完成した子どもです。こうして無事皆さんにお届けすることができることを大変嬉しく思っています。ぜひ皆さんの目で確かめて頂き、この子を好きになってもらえれば嬉しいですが、嫌いでも仕方ありません。でもそのくらい僕達が命をかけて作った映画だということだけは、伝わればと思います」と熱く語りました。撮影場所はチェコだったそうですが、相当寒い場所なんですね(苦笑)。そんな過酷な状況下で、アクションシーンなどもほとんどCGなしで作ったそうですよ。
またクライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマンと仕事をした感想について、伊原剛志は「一緒の画面に映っても僕の存在が負けないように心掛けました。でも実際に共演しているシーンを観たら、意外と存在が負けていなかったので大丈夫だなと自画自賛してしまいました(笑)。でもこうやって素晴らしい方々と共演させて頂き、今後も機会があればもっともっと海外の作品にも出演してみたいと感じました」とコメント。監督は「お二方とも技術も人柄も本当に素晴らしい方々でした。できれば今後、日本人、外国人とか国籍関係なしに、皆が一緒に映画を作っていくような世界になることを心から願っています」と話しました。監督は、本作がハリウッドデビュー作となりますが、その先にはまだまだ壮大な夢があったとは驚きです。いつか“邦画”“洋画”という言葉がなくなる日が来るかも知れませんね。紀里谷和明監督の今後の活躍にもますます期待が高まります。まずはお二人の自信作『ラスト・ナイツ』をぜひ劇場でご覧ください!
『ラスト・ナイツ』PG-12
2015年11月14日より全国公開
配給:KIRIYA PICTURES、ギャガ
©2015 Luka Productions
トーキョー女子映画部での紹介記事
映画批評&デート向き映画判定、キッズ&ティーン向き映画判定
http://www.tst-movie.jp/hh09_ra/hh09_ra_LastKnights.html
イイ男セレクション/クライヴ・オーウェン
http://www.tst-movie.jp/selemen/selemen_ka.html#selemen_CliveOwen
トーキョー女子映画部サイトに戻る→ http://www.tst-movie.jp/index.html
紀里谷監督が目指すのはハリウッド進出だけではない!?『ラスト・ナイツ』 はコメントを受け付けていません
映画『サヨナラの代わりに』来日記念イベント、ヒラリー・スワンク、黒木メイサ(スペシャルゲスト)
その後、ヒラリー・スワンクのファン代表として黒木メイサが登場。本作の感想について「本当に素晴らしい作品で、もう一度映画館で観たいと思っています。主人公2人が叫ぶシーンは特に大好きです」とコメント。続けて「ALS患者という難役でしたが、ケイトを演じる上で一番大変だったことはどんなことですか?」と質問すると、ヒラリーが「一番難しかったのは舌が動かず話せないことを表現することでした。喉で空気を出して発声するのですが、これはすごく難しかったです。特にケイトの通訳であるベック(エミー・ロッサム)が側にいないシーンの場合、私の演技だけで観客に言葉を理解してもらわなければならず、当然普通に話してはいけないので、リアルなALS患者を演じることと言葉を伝えることのバランスが大変でした。でも私にとってもは大きな挑戦となり、すごくやりがいがありました」と答えました。
『サヨナラの代わりに』
映画『トランスポーター イグニション』来日記念イベント、エド・スクレイン、佐々木希(スペシャルゲスト)



映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ジャパンプレミア、ヒュー・ジャックマン、リーヴァイ・ミラー、ジョー・ライト監督、松田聖子(日本語吹替版主題歌担当)
続いて、リーヴァイ・ミラーが「コンニチハ!ボクハ、リーヴァイデス」と日本語で上手に自己紹介をし、本作で演じたピーターパン役について「とにかく信じられないような経験ができました。ピーターパンはみんなのアイコンですし、そんな大役を自分が演じられたことは本当に嬉しかったです。それにこの物語は映画オリジナルのストーリーなので、皆さんが本で知っているピーターパンではありません。そういうとても新鮮な作品になっているので、ぜひ皆さんに楽しんで欲しいです」とコメント。今回が初来日となったリーヴァイ・ミラーは、映画のなかでは短髪でしたが、今回は髪が伸びクルクルヘアになっていて可愛かったです。
イベントの後半には、日本語吹替版の主題歌を担当した松田聖子が登場。するとヒューが「さっきは、聖子さんが来る前だったのにリーヴァイのお祝いを先にしてしまってごめんなさい。聖子さん、ぜひ“ハッピーバースデイ”を歌ってください」と予想外の提案が(笑)!松田聖子は少々驚きながらも快諾し、アカペラで“ハッピーバースデイ”を1曲歌い上げました。やはり生の歌声はとても綺麗でしたよ。松田聖子の歌手魂を感じました。何度もお祝いされたリーヴァイ自身は終始ドギマギしていましたが、「素晴らしい歌をありがとうございます。本当に感謝しています」と感激の様子でした。ヒュー・ジャックマンの松田聖子への無茶ぶりには、みんなが驚かされましたが(笑)、本当に優しい人だと実感しました。
『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』
第28回東京国際映画祭レッドカーペットイベント:

劇場版アニメ『ガラスの花と壊す世界』(2016年1月9日公開)の声優を担当している宮野守が登場すると、「キャー!まも〜(宮野守の愛称)」というファンからの黄色い声が飛び交っていました。この日は白いスーツ姿で登場しましたが、長身に爽やかスマイルがキマっていて、まさに白馬の王子様のようでしたよ!ただ後ろにいる真っ黒い格好の人たちは怖かったです(苦笑)。


レッドカーペットイベントの終盤では、『残穢【ざんえ】‐住んではいけない部屋‐』 (2016年1月30日公開)より、竹内結子、橋本愛、中村義洋監督が登場。先日、竹内結子は、東京国際映画祭のラインナップ発表会にも登壇していましたが、この日はドレスアップしていてさらに綺麗でした。
そして最後にオープニング作品『ザ・ウォーク』(2016年1月23日公開)より、ロバート・ゼメキス監督、ジャック・ラプキー(プロデューサー)、クロージング作品『起終点駅 ターミナル』より、佐藤浩市、本田翼、篠原哲雄監督が登場しました。ロバート・ゼメキス監督は「オープニング作品として選んで頂き嬉しく思っています。皆さんに『ザ・ウォーク』を観て頂き、楽しんでもらえることを心から願っています」と語りました。そして佐藤浩市は、「今回僕が出演した作品は、大変日本らしい映画です。映画祭はとても華やかですが、その中心に映画があることが一番嬉しいです」とコメントしました。
【第28回東京国際映画祭】



第28回東京国際映画祭ラインナップ発表会:


また、今回のコンペティション部門には日本から『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』『さようなら』『FOUJITA』の3作品がエントリーしており、発表会の後半には、各監督とキャストが登場しました。まず『FOUJITA』の小栗康平監督は、「東京国際映画祭には初めての参加となります。『FOUJITA』は、1940年代のパリに生きた画家、藤田嗣治さんについて描いた作品で、彼が現代に生きる我々に何を問いかけてくるのかという点を意識して作りました」と語り、主人公の藤田嗣治役を演じたオダギリジョーについては、「オダギリくんは猫っぽいんですよね。なよっとしていて、独特の身体感覚があるイメージで、そこが藤田と通ずるところだと思いました。また、普通の俳優さんの場合は自己顕示欲が強い方が多いのですが、オダギリくんはそうではなかったんです。“監督が良ければ結構です”と任せてくれるところがあって、これはすごく大事な部分でした。俳優が監督や共演者などに、自然に身を任せてくれることで、その作品は無限大に広がっていきます。オダギリくんはまさにそういう俳優で、この作品を豊かにしてくれました」と絶賛しました。今回オダギリジョーが演じた藤田嗣治は、本人にかなりそっくりです。ぜひ作品を観る前に藤田嗣治を調べてからご覧ください。
『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』の中村義洋監督は、作品について「僕は昔かなり怖がりでしたが、ホラーを撮っていくうちに怖がりを克服してしまいました(笑)。でも今回の原作に関しては、そんな僕でも相当怖かったです。でもこの作品を作る上ではその怖かった気持ちを大事にして作りました。主演の竹内さんは、出演が決まってからも怖くて1ヶ月以上、脚本を読んでくれなかったんですよ(笑)」と暴露すると、竹内結子は「あまりに怖くて(苦笑)。まず企画の段階で原作を頂いたのですが、帯に“手元に置いておきたくない”と書いてあって、これはヤバいぞと自分のなかでアラームが鳴りました。でも出演も決まっていたので、何度も読もうと試したのですがなかなか読めず、結局撮影に入る直前に、事務所の明るいところで人が大勢いるなかで読みました(笑)」と話しました。続けて「撮影中はもっと怖かったのでは?」と尋ねられると、「監督は和やかな雰囲気の現場を作ってくれたのですが、ロケ先が倉庫とか不穏な場所ばかりだったので、なるべく早く家に帰って、鍵を閉めて、何なら塩でも撒いておこうかと思うくらいでした(笑)。なので私は撮影していても怖がりを全く克服できませんでした」と恐怖心を語りました。これだけ怖いと言われると、逆にどれだくらい怖いのか興味が湧いてきますね(笑)。
『さようなら』の深田晃司監督は、作品について「この作品は平田オリザさんの戯曲をもとにしているのですが、戯曲の場合は20分くらいの短い内容で、明かされていない部分が多かったんです。なのでその余白の部分を膨らませていく作業を連想ゲームのような感覚で作り上げていきました」とコメント。主人公を演じたブライアリー・ロングは「撮影に入る前に監督と福島へ行きました。そこで原発によって避難を余儀なくされている方々とお会いしたのですが、その様子がとても印象的で心を動かされました。またこの作品がフィクションとはいえ原発を扱った作品なので、出演することに大きな責任を感じました。福島の方々の状況を完全に理解することは難しいと思うのですが、私のできる限りの想像力でどうにか福島の方々の気持ちに近づけたらと思いました」と語りました。本作には、アンドロイドも出演しており、その共演については「以前にもアンドロイドと共演したことがあったので、今回も抵抗なく演じることができました」とアンドロイド慣れしていることをアピールしました(笑)。ブライアリー・ロングはとにかく日本語が流暢でビックリしました。
【第28回東京国際映画祭】
映画『ジョン・ウィック』ジャパンプレミア、キアヌ・リーブス、野村忠広(柔道家、ゲスト)
後半にはそんな“ガン・フー”にちなんで、オリンピック柔道で金メダリストに輝いた野村忠広が登場し、キアヌ・リーブスに黒帯をプレゼントしました。野村忠広は、柔道家目線で本作を観た感想を「やはり敵と組んでいるときの格闘技には一番注目しました。柔道の技が出たときは、本当にちゃんとその技が出来ているか細かくチェックしていました(笑)。でもかなり上手だったので、相当練習を積んだのではないでしょうか。やはり止まっている相手を投げるのと、銃を持ってアクションをしながら投げるのとでは全然違うので、すごく難しかったんじゃないかと思います」とプロ目線の意見を語ると、キアヌ・リーブスは「本当に難しかったです。今回は3〜4ヶ月に渡るトレーニングを積み重ねました。柔道は初挑戦でしたが、足や体を置く位置や掴み方など、本当にいろいろなことが細かく組み合わさって動きができていることを改めて感じました。訓練は大変でしたが、積み重ねたことにより“決まった!”と思える瞬間をほんの少しだけ味わえました」と話しました。また続編の撮影を控えたキアヌ・リーブスに野村忠広が“大外刈(おおそとがり)”という技をオススメする場面もあったのですが、その場でやってみることができず、エアー練習していた様子がおもしろかったです(笑)。
『ジョン・ウィック』R-15



映画『岸辺の旅』日本凱旋披露試写会、深津絵里、浅野忠信、黒沢清監督
そんな二人の夫婦役について監督は「最初からこの二人しかいないと思っていました。二人とも普通に電車に乗ったり、スーパーにいてもおかしくない、当たり前の日常性を持っている方々で、それと同時に普通の人にはない選ばれた特別な人でもあるという両面性を自然に持っていることが、何よりも決め手でした」とキャスティングが即決だったことを明かしました。
『岸辺の旅』