トーキョー女子映画部の取材リポート

女子目線で取材!トーキョー女子映画部ホームはhttp://tst-movie.jp

12 2月

“使用人だった父母やその前の代へのオマージュでもある”byリー・ダニエルズ監督『大統領の執事の涙』

Posted in 未分類 on 12.02.14 by Merlyn

映画『大統領の執事の涙』リー・ダニエルズ監督映画『大統領の執事の涙』来日会見、リー・ダニエルズ監督

2014年2月6日、本作の公開を目前に控え、リー・ダニエルズ監督が来日しました。今回の会見は日本外国特派員協会で行われ、多くの外国人記者も来場していました。さっそく、本作はインディペンデント作品でありながら、多くのアカデミー賞受賞俳優が出演していることについてどうやって実現したのか質問された監督。「まずは素材、ストーリーが良かったからです。今回はそれぞれに政治的な活動をなさっている役者さんが多く、この作品に関わることで自身のステートメントをお伝えしたいと思っていらっしゃいました」と答えました。なるほど、政治に関心の高いアメリカでは、こういう理由も珍しくないんでしょうね。「なんと8人のアカデミー賞受賞者が物語がとても魅力だととてもエキサイティングされて、ただでも仕事をしたいと言ってくれました。そんな彼らを役に埋没させてしまう作業は大変でしたし、批判されましたが、出来る限り最上のことはしました。実は製作にゴーをかけてもらうのに、オプラ・ウィンフリーさんの名前があっても進まず、白人の俳優の方々がいたおかげで製作できた作品です」と裏話も披露してくれました。この時代のエンターテイメント業界でもまだ人種差別の影はあるんですね。

映画『大統領の執事の涙』リー・ダニエルズ監督次に本作や『それでも夜は明ける』と言った作品に関して、アフリカ系アメリカ人のコミュニティからネガティブな反応もあったという話題が上がりました。そこで監督は「自分の作品については観る前にそういう反応があったのは確かです。でもご覧頂いてからは、ご家族皆で観てもらえるような作品としてアフリカ系アメリカ人のコミュニティからも非常に愛されています。自分にとっては、使用人だった父と母、その上の代も使用人であり、その上の代は奴隷であったわけですが、彼らに対するオマージュでもあります。こういった作品はどれだけ語られても足りないと思っています」と、監督自身のルーツをもとに映画作りをしているスタンスを語ってくれました。

本作を作るにあたってどのようなリサーチをしたかという問いには、「フィラデルフィア出身なんですが、少年時代に北カロライナ州の祖母に会いに行くときに、アルファベットを学びました。それは【白人専用】【有色人種用】と分かれているのを認識するためにアルファベットを覚えなければいけなかったからです。6時間の旅の間に覚えましたが、子どもですから“白人専用の水飲み場ではきっとスプライトかジンジャーエールが出るのではないか”と水飲み場では父の目を盗み、白人用で飲んでみた記憶もあります。こういう記憶が人生を通してあります。アメリカで人種に関する問題というのは、人は考えないようにしがちで、まるで存在しないかのような振りをしています。自分もそうだったのですが、今回リサーチをしているなかで、いろいろなことを知り、怒りを覚えました。例えば、自分の息子に父として性教育をするよりも人種、民族についての会話のほうが難しく、辛いです。だって、自分の子どもに“なぜ皮膚の色が違うからと言って、不当な扱いを受けるのか”を説明しなければいけないのです」と話しました。「セシルと息子のルイスの描写については、何が正しくて、何が正しくないのかを描いている部分でもあります。セシルがすることは全て息子たちにより良い生活をさせるためですが、息子たちはそれだけでは満足しません。正直、私にとっても他の方の反応よりも、自分の息子や娘の反応が一番大切なんです。実際に作品を息子に見せたら、“ドキュメンタリーの部分がちょっと弱いけど、結構いいんじゃない”と言ってくれて嬉しかったんです。でも、映画化するためにハリウッドに持ちかけてもゴーが出ず、自分でお金を工面してようやく作り上げたという話を息子にしたら、“だってそれはパパの仕事じゃない。もしスーパーマンやスパイダーマンが有色人種のキャラクターだったら、何か1つやり遂げたと僕は思うよ”と言われました。そのときにハッと気がついたのはセシルとその息子ルイスと同じだということです。上の世代がどんなに頑張っても、次の世代はさらに多くのものを求めて、足りないと思うんです。これが人生なんだなと思います」と語ってくれました。

日本にいるとなおさら人種差別の実態は遠いお話に感じてしまいますが、まだまだ戦っている方がいらっしゃるという事実を映画からも監督のお話からも知ることができました。人種差別のお話として、親子の話として、いろいろな視点で観られる作品です。ぜひ多くの方に観て欲しいです。

映画『大統領の執事の涙』フォレスト・ウィテカー『大統領の執事の涙』

2014年2月15日より全国公開

配給:アスミック・エース

http://butler-tears.asmik-ace.co.jp/

©2013,Butler Films,LLC.All Rights Reserved.

トーキョー女子映画部での紹介記事

辛口?甘口?映画批評&デート向き映画判定

http://www.tst-movie.jp/hh04_ta/hh04_ta_daitoryonoshitsujinonamida.html

トーキョー女子映画部サイトに戻る→ http://www.tst-movie.jp/index.html

“使用人だった父母やその前の代へのオマージュでもある”byリー・ダニエルズ監督『大統領の執事の涙』 はコメントを受け付けていません。

Comments are closed.