トーキョー女子映画部の取材リポート

女子目線で取材!トーキョー女子映画部ホームはhttp://tst-movie.jp

03 8月

役所広司が「正直、やりたくなかった」と語るほど感じたプレッシャーの要因とは?『日本のいちばん長い日』

Posted in 未分類 on 03.08.15 by Merlyn

映画『日本のいちばん長い日』完成報告会見、役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、原田眞人監督

2015年5月20日、本作の完成報告会見が行われ、役所広司を始めとしたキャストと監督が登場しました。今回の登壇者は男性ばかりで、華やかさはないものの(笑)、それぞれスーツ姿でビシッとキマっていて、劇中に走る緊張感を彷彿とさせる空気が漂っていました。

まず本作を製作することとなったきっかけについて、監督は「『日本のいちばん長い日』は、1967年にも映画化されたのですが、僕のなかで昭和天皇が描かれていなかったことがずっと心に残っていました。当時は、昭和天皇が登場する映画が公開されることが許されないような雰囲気があったので、昭和天皇を具体的に描くことができなかったんだと思います。でも、2006年にアレクサンドル・ソクーロフ監督の映画『太陽』が公開され、そのなかでイッセー尾形さんが昭和天皇の役を演じていましたが、問題なく公開されたのを知り、僕も機会があれば昭和天皇を前面に出した『日本のいちばん長い日』を作りたいと思いました。その後2013年になり、プロデューサーと “再来年は戦後70周年だけど、『日本のいちばん長い日』の企画ってどこかで進めているのでしょうか”という話になり、すぐにプロデューサーが原作の権利を確認してくれました。そしたら権利がまだ空いているということで、今回の企画が進んでいきました」と語りました。


阿南陸軍大臣を演じた役所広司は、「1967年版の『日本のいちばん長い日』では、阿南役を三船敏郎さんが演じていて、しかも僕は以前にも別の作品で三船さんが演じた山本五十六役をやったことがあったので、“また、三船さんの役か”ってプレッシャーを感じ、正直やりたくありませんでした(笑)。でも原田監督から言われると断れませんし、きっと新しい阿南陸軍大臣を作ってくれるんじゃないかと思い喜んで参加することにしました」と話しました。そんな役所広司のキャスティングについて、監督は「原作の権利確認の段階から、阿南役は役所広司さんに決めていました。本来の阿南陸軍大臣っていうのは、すごく家庭的な人だったようで、役所さんのスケール感ある古典的な雰囲気が一番阿南に合うと思いました」とコメントしていました。
昭和天皇役を演じた本木雅弘は、「この役のお話を頂いたときには、逃げ出したいような気持ちと同時に逃したくないという気持ちで揺れました。そのときに、義母の樹木希林さんから“私は、あなたにこの役がきた意味合いがわかるような気がします。原田監督はとても力のある方だし、昭和天皇を演じる機会はなかなかないと思うから受けるべきなんじゃないかしら”と背中を押してくれ、演じることを決めました」と、樹木希林による後押しがあったことを明かしました。樹木希林は、『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』などで原田監督作品に出演しているので、監督と実際にお仕事をされての経験も踏まえた上で、本木雅弘に助言したのかも知れませんね。

今回が戦争映画初出演となった松坂桃李は、「戦争映画はすごく緊張感があって激しいイメージがあったのですが、この作品は緊張感がありつつも、そのなかで日常の部分もしっかりと描かれているので、すごく新鮮でした。僕が演じた畑中少佐は、日本が戦争で勝つことを信じて疑わず、最後まで生き抜いた人という印象で、この役を頂いたときは、緊張と不安しかありませんでしたが、監督を信じて走り続けようと思いました」とコメント。松坂桃李は、役づくりとして撮影時に坊主頭になった感想について、「髪がすぐに乾くし、何て楽なんだろうって思いました(笑)」と話していました。松坂桃李は坊主頭にしても、顔立ちの綺麗さが際立っていて、畑中少佐の純粋で真っ直ぐなキャラクターとすごくマッチしていました。
堤真一は「最初は、体育会系の役なのかと思ったら、すごく知的な内閣書記官長という役だったので、かなり戸惑いました(笑)。この役は山﨑努さんが演じた内閣総理大臣の補佐的な立場の人物で、今までも山﨑さんとお芝居をしたことはありますが、こんなに共演シーンが多かったことはなかったので、すごく楽しみにしていました。でも実際に現場に入ると、僕が常に一番年下の状態だったので、すごく緊張しました。本当に、現場は嫌になるくらい緊迫した空気だったので、映画を観る方にもその緊張感が伝わればと思います」と話しました。

役所広司は、役づくりについて「まずは坊主にして、膨大な資料をできるだけ読みました。僕としては、この映画で描かれる長い1日を境に、日本人は全然違う国民になったような気がしています。この日以前の人たちは、まだ腰に刀を挿している侍に近いような感じがするので、その精神に少しでも近づけたら良いなと思って演じました」と話しました。そして最後の挨拶では、「前回の『日本のいちばん長い日』が公開されたときに、僕はまだ子どもで、当時ほとんどの同級生が『猿の惑星』を観に行っていたのですが、僕は『日本の一番長い日』を観に行った記憶があります。だから、まさかこうして自分がこの映画に参加するとは夢にも思いませんでした。前回は戦争を体験した世代の方々がこの映画を作ったと思いますが、今回は全く戦争のことを知らないスタッフたちと作りました。そしてまたいつか、もっと若い人たちが作るかも知れませんし、そのときは、僕が鈴木貫太郎役で、松坂くんが阿南陸軍大臣を演じるかも知れません(笑)。映画人としては、こういう戦争映画を作り続けなければいけないと思っています。まずはこの映画がたくさんの人に愛されることを願っています。ぜひご覧ください」と話しました。
それぞれのキャストがプレッシャーや撮影現場での緊張を語っていましたが、映画を観ていてもその緊迫した空気は常に漂っていて、すごくハラハラしてしました。本作には、今回登壇したキャスト以外にも、たくさんの登場人物が登場し、戦争終結の瞬間を大きなスケールで描いた作品となっています。ぜひ大きなスクリーンでその緊張感を体感してください。

『日本のいちばん長い日』

2015年8月8日より全国公開

http://nihon-ichi.jp/

配給:アスミック・エース、松竹

©2015「日本のいちばん長い日」製作委員会

トーキョー女子映画部での紹介記事

映画批評&デート向き映画判定、キッズ&ティーン向き映画判定

http://www.tst-movie.jp/hh05_na/hh05_na_nihonno_ichibannagaihi.html

トーキョー女子映画部サイトに戻る→ http://www.tst-movie.jp/index.html

役所広司が「正直、やりたくなかった」と語るほど感じたプレッシャーの要因とは?『日本のいちばん長い日』 はコメントを受け付けていません

Comments are closed.