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22 5月

河瀬直美監督と永瀬正敏らが作品への愛と魂を携え、いざカンヌへ!『光』完成披露舞台挨拶

Posted in 未分類 on 22.05.17 by Merlyn

映画『光』完成披露舞台挨拶、永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、藤竜也、河瀨直美監督

第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部⾨に正式出品が決定した本作の完成披露舞台挨拶が行われ、カンヌ入りを直前に控えたメンバー、永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、藤竜也、河瀨直美監督が揃って登壇しました。視覚障がい者に向けた映画の“音声ガイド”制作の仕事に携わるヒロインと、視力を失いつつある弱視の天才カメラマンが出会い、ぶつかり合いながらも互いに深く影響し合っていく姿を描く本作。主人公の雅哉を演じた永瀬は「やっと、皆さんに観ていただけます!楽しんでください!」と晴れやかな表情で挨拶しました。

ヒロインの美佐子に大抜擢され、初めてカンヌの地を踏むこととなった水崎は「河瀬監督が魂を込めた作品です。撮影中は孤独を感じることもありましたが、撮影後に取材などを通して作品を振り返ると、監督を筆頭に皆が愛を注いで出来た映画なのだなと思います。(カンヌで)世界中から集まった方に観てもらえることが本当にうれしいです」と感激で声を震わせながらコメントしました。

劇中映画の監督と主演俳優の2役を演じた藤は河瀬監督について、「“花盗人(はなぬすびと)”という言葉がありますが、河瀬直美さんは“魂の盗人”です。撮影前に、ひと言かふた言声を掛けられると、俳優達はたちまち根こそぎさらわれて、直美さんの世界に放り込まれてしまう。心地良いと同時に、少し恐怖を感じたりしてね(笑)。幸せな体験をさせていただきました」と述懐。美佐子の上司と劇中映画のヒロインの2役を務め、さらに藤とのラブシーンも演じた神野は「ラブシーンは夢のようでした。撮影中は、人間が自然や太陽や風やほかの生き物から受けるような絶対的な愛を河瀬監督からずっと感じていました。これは初めての経験で、その愛を感じながら私は役を生きることができました。出来上がった作品を観たとき、私は監督の光の細胞の一つになっていました」と、詩的な表現で河瀬組で過ごした時間を語りました。

これらの言葉を受けて河瀬監督は「難産でした。ここまで来るのに、くじけそうになることもたくさんありましたが、映画に魂を捧げた私にとって、この作品が誕生したことの喜びは計り知れません。初号試写を終えたときは、立ち上がれずにその場で感謝しました」と振り返りました。さらに、カンヌ国際映画祭への出品が決まったときは、「日本では明け方の時間にフランスにいるプロデューサーから電話をもらいました。出品が決まったと聞いた瞬間に太陽が昇って、自宅のリビングに光が差し、その光景を見て “光”というものは世界を巡るんだと思いました。カンヌのレッドカーペットを踏みしめられる人は一握りです。第70回という記念すべき年に、皆と喜びを分かち合えることを想像して涙が止まりませんでした」と感動の瞬間を振り返りました。それを聞いた永瀬は、「カンヌ行きの電話をもらったとき、監督は号泣されていて。僕はただ、ありがとうございますとしか言えなかった。監督の思いが伝わって、僕も電話を切ったあとに号泣しました」と明かしました。

本作で映画の“音声ガイド”を取り上げた意図について河瀬監督は「見えなくなってしまった人には、映画は無縁のものになるというイメージもあるかも知れません。でも、見えなくても感じていることがあるかも知れない。見えている人、見えていない人という分け方ではない人間の繋がりとして、この映画が存在できると思いました」と語りました。このテーマに対して周りからは、「難しい」「観客にウケないんじゃないか」と言われることもあったそうですが、河瀬監督は「大変さがあるからこそ作る意味がある。完璧じゃないから、知らないことを知りたい。そのハングリーさが活力になるんです」と強い意志をもって作品を完成させたことを語りました。

最後の挨拶ではキャストを代表して永瀬が「お世話になった視覚障害者の方の思いも含めて、すべてをこの映画のなかに置いてきました!映画は観てくださる人がいて完成します。どうぞご覧ください」と客席に向かって呼びかけると、河瀬監督も「河瀬直美のすべてを注ぎました!世界で一番すばらしい映画です!」と力強く挨拶し、会場を後にしました。

カンヌでの反応も楽しみな本作。皆さんも、ぜひ劇場でご覧ください!

完成披露舞台挨拶:2017年4月27日取材 TEXT by min

 

『光』
2017年5月27日より全国公開
配給:キノフィルムズ
公式サイト
ⓒ2017 “RADIANCE” FILM PARTNERS/KINOSHITA、COMME DES CINEMAS、KUMIE

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