映画『ベイビー・ドライバー』来日記者会見、エドガー・ライト監督
『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』など、エッジとユーモアの効いた作品で映画ファンを魅了し続けてきたエドガー・ライト監督が、本格的なハリウッドデビュー作となる『ベイビー・ドライバー』の記者会見で約6年ぶりに来日しました。
本作は、音楽にノって天才的なドライビングテクニックを炸裂させる犯罪組織の“逃がし屋”、通称“ベイビー”の活躍を描くクライム・サスペンス。無類の音楽好きであるライト監督は、会見の前日にも新潟県湯沢町苗場スキー場にて開催された「FUJI ROCK FESTIVAL ’17」を訪れ、存分にフェスを楽しんだようです。
音楽とアクションの絶妙なシンクロが見どころの本作。その撮影方法について監督は、「リハーサル段階から、現場で実際に音楽をかけて撮影しました。セリフがないシーンは大音量で音楽をかけ、ベイビーだけが曲を聴いているシーンではアンセル・エルゴートがヘッドホンで楽曲を聴いて撮影をしています。また、すべての登場人物が楽曲に反応しているシーンでは、皆にイヤーウィックを使用して撮りました。シーンによってメソッドは違いますが、大きな鍵となったのは、劇中で流れる音楽をキャストも実際に撮影で聴いているということです」と明かしました。
また、カーアクションと音楽をマッチさせるアプローチについては、「アイデアを思い付いたのは『ショーン・オブ・ザ・デッド』を製作するより前。21歳の頃から音楽とアクションを融合させるビジョンは持っていました。過去作品でも部分的には行っていますが、本作では全編で行うという挑戦をしました」とコメントしました。
ベイビーが事故の後遺症である耳鳴りを、音楽を聴いて打ち消すという設定はどのように思い付いたのかを聞かれると、「初期の段階にいくつかのアイデアがあって、それが徐々にまとまった感じですね。もともとベイビーは音楽を常に聴いていて、音楽を聴いているときしか機能できないキャラクター。オリヴァー・サックスの「音楽嗜好症」という書籍を読んで、耳鳴りの症状を抑えるためにずっと音楽を聴いている人がいると知り、ヒントを得ました。ベイビーの音楽好きなところは自分にも似ています」と回答。
“逃がし屋”と“カーアクション”と聞けば、『ザ・ドライバー』を思い浮かべる人も多いと思いますが、監督のウォルター・ヒルとライト監督は普段から親交があるそうで、ヒル監督から本作へのアドバイスがあったかという質問には、「ウォルターにベイビーの事を話すのは緊張してしまって…アドバイスはもらえませんでした。ただ、本作の最後の5分に声の出演をしてもらっているんです!」と明かし、さらに「彼を試写会やプレミアに招待したのですが、なかなか来てもらえなくて。もしかして本作を観たくないのかと思っていたら、“この作品はお金を払って観たいから、初日に劇場へ観に行くよ”と言ってくれて、本当に初日に映画館で観てくれました。彼にはいつかディナーをご馳走しないといけないですね!」と嬉しそうに述懐しました。
さらに、ギレルモ・デル・トロ監督が劇場でこの作品を観て興奮し、ツイッターに13連続で感想を投稿したことについては、「彼からツイートする前に連絡がありました。たくさん誉めて貰えて驚きです。『フレンチ・コネクション』『L.A.大捜査線/狼たちの街』という史上最強のカーチェイス映画を2本も撮ったウィリアム・フリードキン監督からも電話をもらい、お褒めの言葉を頂きました!」ととびきりの笑顔を見せました。
続編のオファーについては、「続編のオファーは公開前からあったんです。でも、作品に着手するまでは続編の事は考えていませんでした。製作しながらキャラクター達について考えるのは楽しかったし、彼らが今後どうなっていくのかに興味はありますが、今はまだ具体的なことは決まっていません」と気になる回答。さらに、日本で映画を作る予定については、「ぜひ、日本で映画を作りたいです。実現するにはまずピッタリくる物語に出会わないといけないですね」と期待を煽るコメント。影響を受けた日本映画については「本作は、鈴木清順監督の『東京流れ者』に似ているとよく言われます。10代の頃は『HANABI』や『ソナチネ』『その男、狂暴につき』など北野武監督の作品をよく観ていました」とのこと。ぜひ、続編や日本を題材にした作品も観たいですよね!
最後に主演のアンセル・エルゴートについて聞かれた監督は「彼と僕は音楽に対する情熱が共通しています。まあ、アンセルの方が僕よりずっと背が高いけれどね(笑)。彼はカリスマ性があるし、スクリーンでも自信に満ちています」と賞賛しました。
フジロックでの疲れも見せず(笑)、最後まで笑顔で会見を行ったライト監督。最高にクールな音楽とアクションが満載の本作は2017年8月19日より公開です!
………ちなみに、監督は新宿・歌舞伎町の“ロボットレストラン”でも楽しい時間を過ごされたそうですよ(笑)!
来日記者会見:2017年7月31日取材 TEXT by min
『ベイビー・ドライバー』
2017年8月19日より全国公開
公式サイト
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