映画『彼女がその名を知らない鳥たち』完成披露試写会舞台挨拶、蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊、白石和彌監督
初めての一般向け試写会となる会場で、本作のメインキャストと監督が登壇し、舞台挨拶を行いました。主演の蒼井優はこれから観客に作品を披露する心境を聞かれると、「ワナワナしてます。(この映画を観たら)ここにいらっしゃる方全員に嫌われるんだろうなと思います。でも本当に良い映画なので楽しんでください」とコメント。松坂桃李も「これを観終わった後は皆さん(僕を)嫌いになるんだろうなと思ってて、僕の名前が書いてある内輪を持ってくださっている方もいるんですけど、帰りにはゴミ箱に捨ててるだろうなと思います」と挨拶。さらに竹野内豊も「クズしか出ていない映画を観に来てくださり本当にありがとうございます。誰一人共感できる人がいないんですけど、観終わった後に心を揺さぶられるステキな映画になっているので最後までご覧頂ければと思います」と、いかに自分達が演じたキャラクター達が最低で濃いかを表現しました。
蒼井優は、一般的にみて”最低な女”である十和子役を引き受ける際の心境を聞かれると「オファーを頂いた時は白石監督と、阿部さんの出演しか決まってなかったんですけど、このお二方とお仕事をできるなら嬉しいなと思って引き受けました。脚本を読めば読むほど本当に(十和子は)最低だし、演じれば演じるほど最低なんですけど、その後に松坂さんと竹野内さんが出演されることが決まり、私(が演じる十和子)よりも最低な人(キャラクター)が出てきて救われる部分もありました(笑)。本当クズ合戦みたいな感じでした」と答えました。続いて十和子に共感できる部分があるかという問いには、「いや〜“ない”って言いたいんですけど、女性ならどこか常識とか人間関係とかで、当たり前のように排除している選択肢を、全部広げているのが十和子なだけであって、結構観てくれた友達とか知り合いとかも、“共感できたって言いたくないけど、実はわかるところもある”とおっしゃる方が多いんです。皆さん、私(十和子)のことを最低だと感じると思いますが、お手柔らかに観て頂ければと思います。(十和子は)永久凍結させたい女の部分が全部解凍されちゃって、腐っちゃってるんです」と、演じたキャラクターをけちょんけちょんに言いながらも、どこか愛を覗かせていました。
十和子に病的なほど執着している佐野陣治を演じた阿部サダヲは、全く清潔感のないキャラクターを演じる上で苦労した点を聞かれ、「本当に良い役だったし、苦労はそんなにしなかったんですけど、まず現場に行ったらすぐ汚されるんで。一応お風呂とか入ってたんですけど、どうでも良いかなっていう瞬間もありました。あの頃は、お弁当の時間とか、下に落ちたものを平気で食べてました。全然それで大丈夫でした」と答え、会場の笑いを誘いました。さらに「観て頂けるとわかるんですが、細かいところまで監督のこだわりがすごいんですよ。見えるかどうかわからないですけど、足の指の間にもゴミが入っているんです。それを毎朝つけられるんですよ。ぜひ観て頂きたい」とコメントし、会場は笑いに包まれました。蒼井が「水虫の設定なので、爪も全部そういう風に…」と掘り下げると、阿部は「初めてネイルの温める機械に手を入れましたよ」とコメント。さらに監督が「ナミ爪と言って、手がガタガタな人にしたくて、皆で研究したんです」とこだわりを明かしました。この時期、阿部は、その爪を何日か持たせるためにそのまま撮影現場の大阪で買い物とかに行ったそうで、皆に「そういう人なんだ」という目で二度見されたそうです(笑)。
他に劣らず最低な男、水島を演じた松坂は、脚本を読んだときの感想を聞かれ、「ゲスだな〜という一言に尽きますね。本当にペラペラで」とコメント。共感した部分を聞かれると、「共感できたら終わりだなというか、(このキャラクターは)結構なもんだぞと思いました」と答えました。すると監督が咄嗟に「でも何も説明しなくても、ああなってたよね」とツッコみ、すんなり水島を演じていた松坂をいじりました(笑)。そんな役ながら松坂は、「こんな役を監督がふってくださって、嬉しかったんで、すぐにやりたいですと答えたんです」と言うと、阿部が「でも最初、監督は“何で受けたの?”って、言ってましたよね(笑)」と当時を振り返り、白石監督は「僕が松坂君だったら、受ける理由が見つからないと思ったんで」と、いかにこのキャラクターがゲスなのかという会話を繰り広げました。
野心のために十和子を利用し捨てる黒崎を演じた竹野内は、苦労した点を聞かれると「苦労というか、白石監督のこの素晴らしい作品で、これだけの豪華なキャストの皆さんが揃っているなかでちゃんとできるかなという不安はあったんですけど、監督が的確なヒントを投げてくださるんですよね。本当にいろいろと助けて頂きましたし、とにかく白石監督の現場は楽しいんですよ。撮影期間は本当に幸せでした」と話しました。白石監督は黒崎というキャラクターをどう演出をしたのか聞かれると、「僕はこれまで割とクズがいっぱい出てくる映画を撮ってるんですけど、そのなかでも竹野内さんが演じた黒崎は歴代のナンバーワンのクズだったので、それを竹野内さんにやって頂けるってわかったときはテンションが上がりました。一つひとつ、どういう経緯でこうなったのか、映画に描かれていない部分もディスカッションしながら作っていきました」と撮影を振り返りました。さらに監督は「ここまで散々、(本作のキャラクターは)皆クズだ、ゲスだと言ってきましたけど、実は僕はそう思ってなくて、ちょっとずつ人間味があったので、そこを抽出していきました。蒼井さんとも“どこまでお客さんに嫌われて良いのかな?”と話していたんですが、観終わった後に絶対美しいと思える映画にする自信はありました」と演出について語りました。
印象に残っているシーンの話題になると、松坂は「印象的なシーンが多くて…、でもパッと浮かんできたのは大阪城(のシーン)かな」と言うと、「あ〜」と納得の声が監督から上がりました。松坂は「こんなに綺麗な夜景のなかで…(こんなことさせるの?)って思えるシーンなんですよ」と言うと、蒼井は「全編大阪ロケだったんですけど、ほとんど大阪っぽいところじゃなくて。唯一大阪城が大阪の象徴という感じで出てくるんですけど、“その前でそれ?”っていう…(笑)。ほんと大阪の人に怒られるんじゃないかなと思います」と、ある意味で見どころと言えるシーンを明かしました。
そして、他の男性陣と共演シーンがわずかだった阿部は、出来上がった映画を観た感想を聞かれ、「撮影の時に(男性キャラクターが)どういうことをやっているのか知らなかったので、酷すぎて笑っちゃった。悔し泣きって言うんですかね、何なんだこいつらはと。殺してやりたいです。(俳優としての2人は)普段はすごく良い人達なんですよ。(竹野内と)ものすごく寒いなかですごいシーンを撮った後は“よくやったね”って握手してね。僕達、同い年なんですよ。こんな同い年ある?」と言うと、会場は爆笑に包まれました。
と、この日は、誰が一番最低かという話題で持ちきりでしたが、観た後はそういう会話で盛り上がること間違いなしです。女子が観るとより語り甲斐があるストーリーなので、ぜひご覧ください!
完成披露試写会舞台挨拶:2017年9月28日取材 TEXT by Myson
『彼女がその名を知らない鳥たち』R-15+
2017年10月28日より全国公開
公式サイト
©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
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松坂桃李の最低男ぶりがウマ過ぎる!阿部サダヲ、竹野内豊は“こんな同い年ある?”『彼女がその名を知らない鳥たち』 はコメントを受け付けていません