映画『ペンギン・ハイウェイ』製作発表会見、北 香那、蒼井優、石田祐康監督、森見登美彦(原作)
アニメーションスタジオ、スタジオコロリドによる第1回長編作品として、森見登美彦の同名小説を映画化した『ペンギン・ハイウェイ』が2018年8月に劇場公開されます。製作発表会見には、主人公の少年アオヤマ君の役をオーディションによって獲得した北香那、“お姉さん”役を演じた蒼井優、監督の石田祐康と、原作者の森見登美彦が登壇しました。石田監督はかなり緊張している様子でしたが、それを他の登壇者や会場内の関係者が微笑ましく見守っていて、会場の雰囲気が和みました(笑)。そして、こういう雰囲気そのままがきっとこの作品に反映されているんだろうなという期待も膨らみました。
今回オーディションによって大役を掴んだ北はオーディション当時について聞かれると、「(オーディションのことは)はっきり覚えています。声優さんはすごく憧れの存在で、自分の声でお仕事してみたいなという夢もあったので、すごくドキドキしました。緊張したんですけど、お家でどうしゃべろうかと考えて、オーディションではそれを出せたんじゃないかなと思います」と答えました。その時の様子については監督も覚えているとのことで「もしかしたら今の僕に負けず劣らず緊張されてたかも知れないですね。でも、その後の頑張りがあって、北さんしかいないと思いました」と絶賛。オーディションに受かった時の心境を北は「感極まって泣いてしまって、“夢が叶った!”って思いました」と付け加えました。脚本については、「脚本を読んだ時に、柔らかくてすごく可愛らしい雰囲気の作品だなと思ったんですけど、それだけじゃなくて、生きるとは何だろうとか、すごく考えさせられるような内容でした」と述べ、自身が演じたアオヤマ君については、「あんな小学校4年生がいたら、スゴイなって思いました。でも、アオヤマ君みたいに忘れられない思い出を小学生の時に1度で良いからしてみたかったです」と話しました。北は、アオヤマ君と同世代の妹がいるそうで、小学校4年生の様子を掴もうと、授業参観に参加したり、研究したそうです。研究熱心な姿勢にも共感を覚えますね。
蒼井優は脚本について「“ペンギン・ハイウェイ”と聞いて、こういう絵になりますよという資料を頂きましたが、想像していた話とは全く違うほうにどんどん進んでいきました。今は前を向いてがむしゃらに生きてますけど、読み終わった後、自分の遠い記憶のなかでキラキラした時間があったんだというのを思い出させてもらえました。ペンギンとかが出てくるので、小さいお子さんも楽しんで頂ける作品になると思いますが、お母さん世代、お父さん世代にも楽しんで頂けるだろうし、私は(特に)お父さん達に観て頂きたいなと思いました」と、本作が気に入ったようでした。続けて自身が演じた“お姉さん”のキャラクターについて聞かれると、「アオヤマ君に影響を与えるお姉さんの役なんですけど、やってみて自分のなかにお姉さん的要素がないって思って。小さい子を引っ張っていくみたいな役を今までやったことがなかったんだなということに気付き、声優として新しいチャレンジをさせて頂いて、良い勉強になりました」と謙虚に語りました。
原作者の森見は、「この作品は自分のなかで特別な小説で、少年時代を舞台にした作品を作ることは、自分のなかの原点みたいなところを出して書くことになります。この作品は一番自分の根っこにあるものを描いたということで特別なんです」と話しました。さらに映画化されることについては、「最初は抵抗がありました。特別な作品なので、変なことになって欲しくないなと、若干心配しながら送り出したんですけど(笑)。でも、監督ともお話をして、絵コンテも頂いて、過程を踏むうちに、“あ、これは素敵な作品になりそう”と思いました」と振り返りました。
監督は、今作で意識した点を聞かれると、「子ども時代の記憶をもとに作るっていう意味において、原作を読ませて頂いた時に、“子どもって、こういう事するよね。こういう事、考えるよね”っていうのを、同じ少年だった自分としては、随所に感じ取りまして。自分も懐かしくなるような体験を、アオヤマ君が楽しそうにやってくれるんで、作っているこちらも乗れるんですよね」と返答し、監督の話す様子から、ワクワクがたくさん伝わってきました。最後に監督は、「自分は今まで小さなスタジオで、小規模な短編や、CMなどを作ったり、そういったところでそれなりにアニメ作りを頑張ってきました。それが今回自分にとっては運あってというか、このような素晴らしい原作で、素晴らしい女優の方とご一緒できて、こういう大きな舞台で作品を作ることができて、大変嬉しい気持ちです。と同時に、ちょっとおっかない気持ちですね。そういう意味でも緊張はしてますが、緊張してばかりもいけないなというところで、やるだけやったろうという気持ちでいたいなと思っています。今まで以上に多くの方に観て頂ける作品になると思うので、皆さんにいち早くお届けしたいし、反応を見たいなと思います」と熱く語りました。
石田祐康監督は、大学在学中の2009年、「フミコの告白」で国内外の賞を多数受賞。2013年、短編アニメーション『陽なたのアオシグレ』で劇場デビューし、同作でも、第17回文化庁メディア芸術祭にてアニメーション部門、審査員特別推薦作品に選出されるなど、アニメーション界で今大いに注目を浴びているクリエイターです。ぜひ皆さんもご注目を。そして2018年8月の公開をお楽しみに!
『ペンギン・ハイウェイ』製作発表会見:2018年3月1日取材 TEXT by Myson
『ペンギン・ハイウェイ』
2018年8月、全国劇場公開
公式サイト
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
トーキョー女子映画部での紹介記事
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今アニメーション界で最も注目されるクリエイター石田祐康が挑む『ペンギン・ハイウェイ』に北香那、蒼井優が声の出演 はコメントを受け付けていません