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02 4月

聴覚障害を持つ少女との出会いが人生を変えてくれた『ワンダーストラック』トッド・ヘインズ監督

Posted in 未分類 on 02.04.18 by Merlyn

映画『ワンダーストラック』来日舞台挨拶、トッド・ヘインズ監督/鈴木福、鈴木梨央(ゲスト)映画『ワンダーストラック』来日舞台挨拶、トッド・ヘインズ監督/鈴木福、鈴木梨央(ゲスト)

『ベルベット・ゴールドマイン』『キャロル』のトッド・ヘインズ監督が、最新作『ワンダーストラック』を携えて、20年ぶりに来日しました。本作は、原作者のブライアン・セルズニック自身が脚本を手掛けており、時代の異なる12歳の少年と少女の物語を描いた作品。最初にこの映画のお話がきた時の感想と本作の見どころについて、ヘインズ監督は、「原作を読む前にまず脚本を読んだんです。その脚本が本当に素晴らしくて、50年の時を経て2つのニューヨークの話が行ったり来たりして描かれているわけです。主人公の1人は最初から聴覚障害を持っていて、もう1人は、途中から聴覚障害を持つことになるのですが、彼、彼女が新しい環境のもとでニューヨークを経験していく姿が、物語の核になっています。ブライアン・セルズニックの作品は、必ず想像力を刺激するものであって、さらに子どもの可能性を追求したものが多いんです。私が撮った映画では、今までそういった部分をフォーカスして撮ったことがありませんでしたが、今回はなぜ子ども達について描かれていて、なぜ2つの話が同時に描かれているのかというところが注目点になるわけです」と語りました。

映画『ワンダーストラック』来日舞台挨拶、トッド・ヘインズ監督本作では、実際に聴覚障害を持つミリセント・シモンズが出演しているほか、何人か聴覚障害を持っている俳優が出演している点で、キャスティングの意図を聞かれたヘインズ監督は、「(ミリセント・シモンズが演じているシーンは)サイレントで描かれていますが、そこに実際に聴覚障害を持っている子を配役することで、真実味を出したり、彩りを与える意味で、とても重要だと思いました。アメリカ全国で探すことにしたのですが、聴覚障害の子をメジャー作品の主役にするとなると、当然ながらプロという人はいなくて、アマチュアを配役しないといけなくて、その責任や重要性をすごく考えながら探しました。最終的には、ローズ役を演じてくれたミリセント・シモンズというソルトレイクシティの女の子を見つけたわけですが、彼女の登場が私達の人生を変えてくれました。なぜなら彼女はカメラの前で本当に自然な演技をすることができて、私達が望んでいたことをすべて叶えてくれたんです。すごく才能のある子どもでした。また、サイレントパートでは、聴覚障害の俳優がたくさん配役されているのですが、実際のサイレント映画の時代でも、実はそういった方々が多く配役されていたんです。もちろん音はないですが、そういった方々は体を使った表現が非情に豊かだったので、サイレント時代には非情に重宝されたんです。今回はまさにそういった部分を活かしていきたいと思ったし、なるべく聴覚障害の人達との結び付きを強いものにしたいと思ったので、こういった配役にしました」と答えました。

次に、本作で起用されている、デヴィッド・ボウイの楽曲“スペース・オディティ”に対する監督の思いを聞かれると、「私はデヴィッド・ボウイが大好きで、実は20年前に日本に来た時にプロモーションした映画『ベルベット・ゴールドマイン』は、まさにデヴィッド・ボウイに象徴されるグラムロック時代を描いた作品でした。しかし、その当時デヴィッド・ボウイの音楽は残念ながら権利の関係で使わせてもらえなかったんです。こうしてようやくデヴィッド・ボウイの財団にOKをもらって、今回楽曲を使うことができました。夢が叶うまでには時間がかかるものですね(笑)」と、話しました。

映画『ワンダーストラック』来日舞台挨拶、トッド・ヘインズ監督/鈴木福、鈴木梨央(ゲスト)そして、この日はゲストとして、鈴木福と鈴木梨央が登場。鈴木福は英語で挨拶し、鈴木梨央は主人公の1人、ローズを意識した衣装を着て、手話も同時に披露し、会場を沸かせました。そんな2人を観て感動した監督からも、サプライズでお土産が用意されており、デヴィッド・ボウイの“スペース・オディティ”のレコードがプレゼントされました。最後にヘインズ監督は、「この映画は私が本当に心を込めて作った作品で、自分が最も信頼するクリエイティブな人達と一緒に作った映画です。この映画は、子ども達に対して、そして皆さんのイマジネーションを広げるような作品であり、ニューヨークに対するラブレターでもあり、映画に対する愛が込められている作品でもあるんです。他の作品のように音声で語られていないという部分をビジュアルも含めて観て頂き、楽しんでもらえたらと思います」と締めました。切ないけれど、優しさ溢れる本作を皆さんもぜひご覧ください。

映画『ワンダーストラック』来日舞台挨拶、トッド・ヘインズ監督/鈴木福、鈴木梨央(ゲスト)

映画『ワンダーストラック』来日舞台挨拶:2018年3月20日取材 TEXT by Myson

 

映画『ワンダーストラック』オークス・フェグリー/ジェイデン・マイケル『ワンダーストラック』
2018年4月6日(金)より全国劇場公開
公式サイト
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