この特集も年末恒例の企画となりました。2014年に公開された作品を振り返り、当部のマイソンとシャミがそれぞれ鑑賞した作品から主観的にベスト5を選びました。まだご覧になっていない方はぜひ、劇場、ブルーレイやレンタルで観てみてください!
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マイソン |
シャミ |
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1 |
種類は違えど、結末の衝撃は『セブン』に似た怖さがありました。誰にでも起こりえるという視点で観ると、このストーリーのほうがリアルなので怖いと感じる人が多いかも知れません。ただ事件を解決するサスペンスとしてだけでなく、その根底にある人間の本質を浮き彫りにするストーリーがゾッとさせるのだと思います。そういった映画の構造やストーリーもさることながら、役者の演技も素晴らしかったです。映画を観て終わりではなく、観た人の心、さらにはもしかしたら生活にまでさざ波を起こす影響力があるのでは…ということで、1位にしました。 |
私たちの近未来でもありえる話だと想像するだけでワクワクしましたし、オシャレで温かい世界観がとにかくツボでした!AIとの恋愛模様が描かれているという点でも斬新さを感じますが、男性が恋に落ちていく過程が観られるのもおもしろかったです。何よりもスカーレット・ヨハンソンのセクシーボイスが忘れられません。 |
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2 |
田舎町で起きている父と息子の一見地味〜な物語をここまでドラマチックにステキに描くとは!息子が父を超えるとき、そして父が“父”になるときって、こういうことなんだろうなと、女子目線で観ても、父と息子の関係がとても羨ましくなるような人間ドラマが描かれています。そして、キャラクター描写がとてもうまい!俳優たちの演技もとても光っていて、特にこの老夫婦の可愛さ、憎たらしさったら、ありゃしない!モノクロで描かれながら、物語が進行するにつれ、彼らの人生がカラフルに見えてくるような、添加物一切なしの素材勝負の作品です。 |
メイジー役のオナタ・アプリールの演技が素晴らしい。物語が子どもの視点から描かれているからこそ、大人の身勝手さ、残酷さが浮き彫りになり、観ている側もいたたまれない気持ちになりました。血の繋がりだけでない家族の形を提示してくれたのも新鮮でしたし、何よりも私自身に新しい考え方をもたらしてくれた一作でした。 |
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3 |
やっぱり入れずにはいられないキム・ギドク監督作。毎度クレイジーな作品を世に出してくれる監督ですが、今回も度肝を抜かれました。衝撃的なストーリーに、全編セリフがないというのも斬新ですが、だからといって奇抜さに終わらずに、強烈な哲学とメッセージが込められていて、怖いのに笑えるという奇妙な感覚を味わわせてくれるから、やみつきになってしまうのです。誰にでも薦められるタイプの作品ではないですが、好奇心旺盛な人にはぜひ観て欲しい秀作です。 |
どの家族にもあり得る話で、すごく生々しさを感じました。母親が倒れたことをきっかけに、借金や家族関係の問題がいっきに出てくるのですが、そんなどん底状態からなんとか立ち上がっていくことで家族が本当の家族になっていく姿が胸を打ちました。 |
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4 |
私自身も亡くなった父を思い出し、号泣させられた作品です。ファザコンと言われるかも知れませんが、親を慕う子どもなら、子ども大人問わず誰もが泣いてしまうはず。親の愛情の深さだけでなく、子どもの愛情も深いものだと改めて実感させられた作品で、親子関係って、年月が経つにつれ、生活が変わるにつれ変容はあっても、やっぱり強固なものだということを気付かされました。改めて家族を大事にせねばと思いましたね。 |
観れば観るほど味が出てくる作品です。一言で言ってしまえば、意味不明な話となってしまうのですが、解釈次第で物語が大きく変わってしまうところが本作の魅力です。静かに淡々と進む物語のなかに、たくさんの伏線が散りばめられていて一度観ただけでは回収しきれません。こういういつまでも考えさせられるタイプの作品は、たまらなく好きです(笑)。 |
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5 |
これはまず大いに笑わせてくれたということで高評価!そして、こんなにふざけまくっているのにも関わらず、伏線の引き方が上手なのが憎いんです。特撮はたまに手作り感が出ていてハリウッド大作とは比べものになりませんが、逆にその辺は懐かしさというか親しみを感じる部分でもありました。映画は大衆のものであるというスタンス、映画の作り手や出演者が楽しく作ったのであろうムードが作品に良い感じで漂っているので、5位にランクイン。 |
“相対性理論など難しい用語はさておき、とにかく親子愛に泣けました。あれこれ想像しながら観ていましたが、結局予想に反した展開を持ってこられたあたり、クリストファー・ノーランにやられた感でいっぱいです(笑)。宇宙に果てしない可能性を感じると共に、親子や家族の強い絆を感じる素敵な作品でした。 |
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総評 |
他にケイト・ブランシェット主演の『ブル−ジャスミン』、会話劇が毎度見事なリチャード・リンクレイター監督作“ビフォア”シリーズ最終章『ビフォア・ミッドナイト』や『6才のボクが、大人になるまで。』、双子の少年が激動の時代を生き抜く『悪童日記』あたりも迷いましたが、いずれにせよ今年は全体的に質の良い映画に当たった確率が高かった気がします。良い映画が増えれば映画ファンも増えるはず。来年公開の作品にも今からワクワクしています。 | 今年は家族や愛をテーマとした作品に特に心惹かれることが多く、いろいろな愛の形を見せてもらったように思います。上記以外に『ダラス・バイヤーズクラブ』『ジャッジ!』『アバウト・タイム〜愛おしい時間について』などを入れたくてかなり迷いました。どの映画も私自身に刺激を与えてくれ、また一つ世界が広げてくれた作品ばかりです。来年もまた素敵な映画との出会いがありますように! |
コミックの映画化は以前から多くありましたが、今年の邦画に関しては、少女漫画系ラブストーリーの映画化が多かった印象です。多くの作り手が、世の中は胸キュンを欲していると読んだのでしょうか(笑)?真意はわかりませんが、とにかく邦画に関しては、他に『るろうに剣心』シリーズなど、洋画に負けない大作アクションも登場して、洋画と邦画のせめぎあいもさらに激化してきましたね。でも観客の奪い合いではなく、両方に興味を持って頂けるようになると良いですね。2015年も映画界が盛り上がりますように!私たちもいち映画好き女子としてこれからも頑張ります!
2014.12.26 TEXT by Myson&Shamy